権力分立(けんりょくぶんりつ、けんりょくぶんりゅう)とは、国家の権力を性質に応じて分け、それぞれを別個の機関に分散させ、各機関に他の機関の越権を抑える権限を与え、相互に監視しあうことにより抑制均衡を図り、もって権力の集中・濫用を防止し、国民の政治的自由を保障させようとするシステム。また、そのような自由主義的統治組織原理を権力分立主義という。対義語は、権力集中、権力集中制。通常、国家の権力は、立法、行政、司法の三権に分けられるため、三権分立(さんけんぶんりつ)とも呼ばれる。
目次
1 沿革
2 三権分立と権力分立
2.1 三権分立
2.2 その他の権力分立
3 権力分立の類型
3.1 立法権優位型と三権対等型
3.2 大統領制と議院内閣制
3.3 大陸法系と英米法系
4 日本における権力分立
4.1 権力分立前史
4.2 大日本帝国憲法下の権力分立
4.3 日本国憲法下の権力分立
4.3.1 権力分立の態様
4.3.2 三権相互の関係
5 関連項目
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権力分立の考え方は、17世紀半ばに、イギリスのジョン・ロックが著書『市民政府二論』や、フランスのモンテスキューが著書『法の精神』などにおいて提唱したのを初めとされることが多い。 今日では、日本国、アメリカ合衆国をはじめとする多くの国の制度で 採用されている。
権力分立は、国政上、三権分立ともいわれる。これは、国家権力を立法権・行政権・司法権の三権に分類し、それぞれ、立法権を立法府、行政権を行政府、司法権を裁判所に担わせるからである。もっとも、その眼目は権力分立にあるため、三権以外にさらに権力を分立させることもある(行政委員会など)。
これらの三権は、法との関係に着目して、簡単に次のように説明される。
立法権:法を定立する権力
行政権:法を執行する権力
司法権:法を適用する権力
立法権は一般的抽象的な法規範を定立し、司法権と行政権は個別的具体的な事件に法を適用・執行する。ここで、「執行」と「適用」は元々一体のものである点に注意を要する。行政権が法を「執行」する際には、当然、法を「適用」しなければならず、司法権は法を「適用」して裁定するほか、自ら「執行」もする。そのため、行政と司法は、司法権が法を適用し終局的に裁定することをその顕著な違いと解すべきである。
また、行政は、立法・司法に比べて、定義づけしにくい。そのため、行政の定義については、国家作用から立法と司法を控除したものとして消極的に定義する見解(控除説)が通説とされる。これは、当初すべての権力が君主に集中し、そこから立法権が議会に移譲され、司法権が裁判所に移譲された歴史の流れにも沿うものである。現代では、大統領制と議院内閣制のいずれの体制を採る国も、行政権の増幅が大きく、いわゆる行政国家現象が顕著である。 行政権は、行政立法によって立法権と重なり、行政審判によって司法権と重なる。そのため、三権分立は、特に行政権の侵食から立法権・司法権を守る防衛原理(行政権にとっては抑制原理)としての意味が大きくなっている。
権力分立は、権力をなるべく分散させることを目指す原理である。国政上の三権分立のほか、地方自治と国政を分ける地方自治制、立法機関における両院制(二院制)、裁判所の三審制、行政機関の分担管理による省庁制(部局分掌)なども、権力分立の一種といえる。
また、報道を「法律を伝達する権力、第四権力」として含めて四者として、四権分立(しけんぶんりつ)と呼ぶこともある。
憲法学上、権力分立の在り方は、様々に分類される。その主な類型としては、立法権優位型(フランス型)と三権対等型(アメリカ型)、大統領制と議院内閣制、大陸法系と英米法系などがある。もっとも、権力分立制は各国の歴史上発達した制度であるため、その現れは国により多種多様である。単純一様に分類することはできない。
立法権優位型と三権対等型は、国家権力を立法・司法・行政の三権に分けた上で、立法権優位の構造を持つものと三権同格の構造を持つものに分ける類型である。
立法権優位型とされるフランスでは、絶対王政の下で、司法権が行政権とともに権利侵害の象徴的存在として国民から不信を抱かれており、また、国民代表への信頼から立法権に大きな信頼が寄せられていたことから、立法権優位の構造が形成されたとされる。立法権優位の構造を持つ国としては、フランスのほかイギリスが挙げられる。イギリスでは、この構造を指して議会主権ともいわれる。
三権対等とされるアメリカでは、イギリス議会への抵抗から独立に至った歴史を持ち、また、建国当初の指導者達の中に民衆への不信があったことから、立法権を担う議会への不信があり、対等な三権が牽制し合う体制を形成したとされる。