業務上過失致死傷罪
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  本項の記述は最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

業務上過失致死傷罪(ぎょうむじょうかしつちししょうざい)は、日本法における犯罪で、業務上過失致死罪(ぎょうむじょうかしつちしざい)と業務上過失傷害罪(ぎょうむじょうかしつしょうがいざい、業務上過失致傷罪とも)の総称。

業務上過失致死罪は、業務上必要な注意を怠り、よって人を死亡させる犯罪をいう。業務上過失傷害罪は、業務上必要な注意を怠り、よって人を傷害する犯罪をいう。長い名前でありさらに発音しにくいため、「業過致死(ぎょうか-)」「業過致傷」などと略される。どちらも日本の刑法211条1項前段に規定され、法定刑も同じ「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」である。

ただし、自動車を運転して同罪を犯した場合には、自動車運転過失致死傷罪として7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となる。2007年6月12日施行(後述#交通事犯の特則参照)。

なお、211条1項後段に定められる「重大な過失により人を死傷させる」犯罪は、重過失致死傷罪といい、業務上過失致死傷罪とは別の犯罪であるが、便宜上この項目で紹介する。
目次

1 概要

1.1 業務上の過失

1.2 法定刑


2 加重の理由

3 刑事責任追及の問題点

3.1 鉄道・航空事故刑事責任追及の問題点

3.2 医療過誤刑事責任追及の問題点


4 交通事犯の特則

4.1 危険運転致死傷罪

4.2 自動車運転過失致死傷罪


5 罪数

6 重過失致死傷罪

7 国外での事例

8 脚注

9 関連項目

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概要


業務上の過失

日常用語における「業務」とはいわゆる「職業として継続して行われる仕事」の事を指すが、本罪の要件たる「業務」はこれと異なる。厳密な定義には争いがあるが、本罪にいう「業務」は社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、生命身体に危険を生じ得るものをいう(最判昭和33年4月18日刑集12巻6号1090頁)。

したがって、自動車事故で人を死傷させると、業務上過失致死罪や業務上過失傷害罪が成立する。すなわち、自動車の運転は反復継続性があり、また他人に危害を与える可能性があるものであるから、私用による運転であっても業務に当たるのである。

日常用語にいう「業務」と業務上過失致死傷罪にいう「業務」とが一致する分野もある。代表的なものは医療過誤による業務上過失致死傷罪である。医師の医療行為は、医師という社会生活上の地位に基づいて継続反復して行われるものであり、その過誤によっては患者の生命身体に危険を生じるものだからである。

なお、本罪にいう「業務」は適法である必要はない。自動車運転免許一時停止処分を受け、法定の運転資格がない場合でも業務に当たるとした判例がある(最決昭和32年4月11日刑集11巻4号1360頁)。

また、重要なことであるが、本罪の構成要件には「その過失がなければ死傷するはずがなかった」という因果関係が存在することが必要である。医療過誤で患者が死亡した場合、たとえ医師に過失があったとしても、過失とは無関係の段階で救命可能性が低かった(適切な処置が行われたとしても死亡する可能性が高かった)と判断されれば、構成要件を満たさないため、本罪の適用を受けない。


法定刑

5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金である。

罰金刑の上限は50万円であったが、これを100万円に引き上げる案[1]が出ていた。これを受けて、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(平成18年5月8日法律第36号)により罰金刑の上限が100万円に引き上げられた。この改正は平成18年5月28日施行。

5年以下の懲役になったのは1968年(昭和43年法律第61号)からである。それまでは3年以下の禁錮であったが交通戦争とまで呼ばれた交通死亡事故の急増を受けて罰則が強化された[2]


加重の理由

日本の刑法では、単純な過失致死罪は「50万円以下の罰金」、過失傷害罪は「30万円以下の罰金又は科料」であるのに対して、業務上過失致死傷罪は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」と、格段に重い刑が定められている(自動車運転過失致死傷罪に関しては7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金。平成19年6月12日施行。後述#交通事犯の特則参照)。

業務上の過失犯がなぜ単純な過失犯より重く処罰されるのかという理由は、通説・判例によれば、業務者は人の生命・身体に対して危害を加えるおそれがある立場にあることから、このような危険を防止するため政策的に高度の注意義務を課す必要があるため(最判昭和26年6月7日刑集5巻7号1236頁参照)、と説明される(政策説)。業務者は重大な結果を招きやすいのだから、注意を怠った場合には重く処罰されることを予告して、より慎重な行動を促すということである。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen