核磁気共鳴
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プロトン共鳴周波数 300 MHz の 超伝導マグネット

核磁気共鳴(かくじききょうめい、NMR、Nuclear Magnetic Resonance) は外部静磁場に置かれた原子核が固有の周波数の電磁波と相互作用する現象である。この固有の周波数が分子内でのその原子の環境によってわずかに変化する事を利用し、物質を分析する方法を核磁気共鳴分光法と呼ぶ。核磁気共鳴分光法のことも単にNMRまたはNMR法と略称することがある。
目次

1 概略

2 歴史

3 理論

3.1 ブロッホの方程式

3.2 リウビル-フォン・ノイマン方程式

3.2.1 化学シフト

3.2.2 スピン結合 (スピンカップリング)

3.2.3 磁気双極子相互作用

3.2.4 核四極子相互作用


3.3 コヒーレンス

3.4 緩和

3.4.1 縦緩和

3.4.2 横緩和

3.4.3 交差緩和


3.5 二次元NMR


4 核磁気共鳴分光法

5 関連項目

6 参考文献

7 外部リンク

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概略

原子番号と質量数がともに偶数でない原子核は0でない核スピン量子数 I と磁気双極子モーメントを持ち、その原子は小さな磁石と見なすことができる。磁石に対して磁場をかけると磁石は磁場ベクトルの周りを一定の周波数で歳差運動する。原子核も同様に磁気双極子モーメントが歳差運動を行なう。この原子核の磁気双極子モーメントの歳差運動の周波数はラーモア周波数(Larmor frequency)と呼ばれる。この原子核に対してラーモア周波数と同じ周波数で回転する回転磁場をかけると磁場と原子核の間に共鳴が起こる。この共鳴現象が核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance、略してNMR)と呼ばれる。

磁場中に置かれた原子核はゼーマン効果によって磁場の強度に比例する、一定のエネルギー差を持った 2I + 1 個のエネルギー状態をとる。このエネルギー差はちょうど周波数がラーモア周波数の光子の持つエネルギーと一致する。そのため、共鳴時において電磁波の吸収あるいは放出が起こり、これにより共鳴現象を検知することができる。

核磁気共鳴は発見当初は原子核の内部構造を研究するための実験的手段と考えられていた。しかし、後に原子核のラーモア周波数がその原子の化学結合状態などによってわずかながらも変化すること(化学シフト)が発見された。これにより核磁気共鳴を物質の分析同定の手段として用いることが考案された。核磁気共鳴によるスペクトルを得る分光法核磁気共鳴分光法(Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy)と呼ぶ。核磁気共鳴分光法のことも単にNMRと略称する。

核磁気共鳴において共鳴の緩和時間はその原子核の属する分子の運動状態を反映する。生体を構成している主な分子はであるが、水分子の運動はその水分子が体液内のものか臓器内のものかによって異なる。よってこれを利用して体内の臓器の形状を知ることが可能である。これをコンピューター断層撮影法に応用した方法が核磁気共鳴画像法(MRI)である。


歴史

MRIについての歴史は核磁気共鳴画像法(MRI)の項を参照のこと。

1936年 コルネリウス・ゴルテルがミョウバンとフッ化リチウムの結晶を用いてNMR信号の検出を試みるが失敗。

1938年 イシドール・ラビ塩化リチウムの分子線を用いてNMR信号を検出することに成功。(1944年ノーベル物理学賞受賞)

1942年 コルネリウス・ゴルテルが論文中で初めてNuclear Magnetic Resonanceの言葉を使用した。

1946年 エドワード・パーセルがパラフィン、フェリックス・ブロッホが硝酸鉄(III)水溶液を用いて凝縮系のNMR信号を検出することに成功。(1952年ノーベル物理学賞受賞)

1950年 硝酸アンモニウムの窒素のNMR信号が2つの周波数を持つこと、すなわち化学シフトが発見される。すぐに水素やフッ素でも化学シフトが発見された。また、六フッ化アンチモン酸ナトリウムのアンチモンのNMR信号が分裂していることも発見された。これはスピン結合の発見である。これらはNMR分光法の端緒となった。

1950年 アーウィン・ハーンがスピンエコーを発見。

1953年 アーノルド・オーバーハウザーがオーバーハウザー効果を理論的に予測。すぐに効果の実在が確認され、NMR分光法の感度向上や立体配置の決定に利用されるようになった。

1954年 久保亮五、冨田和久らにより線形応答理論に基づいたフーリエ変換NMRの基礎理論が提唱された。

1956年 ウェストン・アンダーソンが多量子遷移の観測に成功。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki