時をかける少女
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この項目では、主に筒井康隆の小説について説明しています。この作品が基になって生まれた同名の諸作品については「#派生作品」をご覧ください。

時をかける少女
著者筒井康隆
イラスト石井治(挿絵)
発行日1967年3月
発行元鶴書房盛光社
ジャンルSF小説
ジュブナイル小説
日本
言語日本語
形態上製本

ウィキポータル 文学

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『時をかける少女』(ときをかけるしょうじょ)は、筒井康隆SF小説学習研究社学年誌『中学三年コース』1965年11月号から『高1コース』1966年4月号に連載(全6回)、鶴書房盛光社ジュニアSF」シリーズ第5巻として1967年3月に刊行された[1]ラベンダーの香りを嗅いだことで時を自在に超える能力を身につけた中学3年生の少女が、その能力を通じて重ねていくさまざまな思いや経験を、サスペンス要素や青春、ラブロマンスを交えて描く[2]。略称は「時かけ[2]」(ときかけ)。

1972年に『タイムトラベラー』としてテレビドラマ化されて以降、1983年公開の大林宣彦監督による実写映画2006年公開の細田守監督によるアニメ映画など9回にわたって映像化されているほか[3]、漫画、絵本、ドラマCD、舞台などさまざまな形に翻案されている[2]メディアミックス作品である。
概要

時間を跳躍する不思議な能力を持つことになった少女が、未来から来た青年との出逢いなど、さまざまな経験を重ねていく物語。タイムトラベルもののSFに青春、恋愛、学園ものなどの要素を織り交ぜた、筒井の作品では珍しい、正統派少年少女向け小説である。

発表から約50年たった現在でも広く親しまれており、1972年のテレビドラマ『タイムトラベラー』を始めとして何度も映像化され、清純派若手女優の登竜門的な作品にもなっている[2]。息の長いコンテンツゆえに「どの『時をかける少女』が原点か」というような世代間の認識のギャップが2重3重に生じている[4]

繰り返し映像化されていることから、筒井はしばしば本作品を「金を稼いでくれる孝行娘」「よく働く『銭をかせぐ少女』」[3]などと表現している。
ストーリー

ある日、中学3年生の少女・芳山和子は、同級生の深町一夫や浅倉吾朗と一緒に理科室の掃除を行っていた時に、実験室でラベンダーの香りを嗅いで意識を失う。その3日後、和子の周囲にはいくつかの事件が起こる。深夜に起こった地震により、吾朗の隣の家が火事になる。そして、その翌日に吾朗と共に交通事故に巻き込まれそうになった瞬間、和子は前日の朝に時間を遡行する。

もう1度同じ1日を繰り返した和子は、一夫と吾朗にこの奇妙な体験を打ち明ける。最初は信じなかった2人も、和子が地震と火事を予言したことで、和子の話を受け入れる。3人の話を聞いた理科の担任である福島先生は、和子の能力はテレポーテーションタイム・リープと呼ばれるものであることを説明し、事件の真相を知るためには、4日前の理科室に戻らなければならないことを指摘する。

やがて自分の意思でタイム・リープを行えるようになった和子は、4日前の理科実験室で『正体不明の訪問者』を待ち受ける。そこへ訪れたのは__。
登場人物
芳山和子
詳細は「
芳山和子」を参照本作品の主人公で、中学3年生。吾朗からは「やさしくてかわいいけど、少し母性愛過多なんじゃないか?」と評されている[5]。家族として「母」と「妹」の言及はあるが[6]、父の存在は明示されていない。
浅倉吾朗
和子の同級生で「ずんぐりむっくり[7]」と形容される体型の持ち主。「努力家で、どちらかといえば直情径行型」とされ[7]、和子によると「たいへん気が弱くて、しかもそそっかし屋」[8]。実家は荒物店を営んでいる[9]。隣家が銭湯で、そこで地震の時に小火が起きた[10]。タイムリープを経験した和子から小火の「予言」を聞いたときには顔を真っ赤にして怒る「かんしゃくもち」と表現されている[11]
深町一夫
和子の同級生。体躯は「背が高くやせ型」と形容されている[7]。「夢想家型」で「なにを考えているかわからない、きみ悪さが感じられるときもある」[12]が、和子によると「ぼんやりしているようだが、本当は落ち着いていて頭がいい」人物[8]
神谷真理子
和子の同級生で、教室では和子の隣の席が多い[13]。和子が一夫や吾朗と親交のあることに軽い嫉妬を抱き、(事故を回避するため)吾朗を待っていると話した和子に「深町さんのほうが好きなんだと思っていたわ」と返答した[13]
福島先生
理科の教員で、和子たちの担任[14]。喫煙者[15]
小松先生
数学の教員で眼鏡をかけ、「でっぷりとふとった」と形容されている[16]
書誌情報

時をかける少女(1967年3月20日、
鶴書房盛光社ジュニアSF」シリーズ 第5巻)[注 1]

時をかける少女(1972年、鶴書房 SFベストセラーズ) - 「悪夢の真相」「果しなき多元宇宙」を併録

時をかける少女(1976年2月18日、角川文庫ISBN 978-4-04-130510-2

筒井康隆全集 4 時をかける少女 緑魔の町(1983年7月25日、新潮社ISBN 978-4-10-644404-3

時をかける少女(1997年4月15日、ハルキ文庫ISBN 978-4-89456-306-3

時をかける少女 〈新装版〉(2006年5月25日、角川文庫、ISBN 978-4-04-130521-8) - 「悪夢の真相」「果てしなき多元宇宙」を併録

時をかける少女(2009年3月3日、角川つばさ文庫ISBN 978-4-04-631007-1) - 「時の女神」「姉弟」「きつね」を併録

翻訳
フランス語

La traversee du temps(1991年、L'Ecole des Loisirs、訳:Jean-Christian Bouvier)

中国語


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