文民統制(ぶんみんとうせい、シビリアン・コントロール、英:civilian control of the military)とは、文民の政治家が軍隊を統制するという政軍関係における基本方針である。政治が原則的に軍事に優先することを理念とする。文民(civilian)の語意を明確にする意図から政治統制 (Political control)の表現が用いられる事がある。また、文民優越 (civilian supremacy)とも言う。(なお、よりやさしい解説については、ウィキブックス内の ⇒Q&A:「分かりやすいシビリアン・コントロール」を参照。)
目次
1 概要
2 分類
3 文民とは
4 歴史的経緯
4.1 欧州
4.2 米国
4.3 日本
4.3.1 戦前・戦中
4.3.2 戦後
4.4 社会主義諸国
5 必要性
5.1 民主体制との整合
5.2 独裁
5.3 国家戦略性
6 政治・軍事の領域調整の問題
7 文民統制と公務員の政治的行為
8 関連項目
9 脚注
10 参考文献
11 外部リンク
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文民統制・シビリアンコントロール(Civilian Control Over the Military)とは民主主義国における軍事に対する政治優先または軍事力に対する民主主義的統制をいう。すなわち、主権者である国民が、選挙により選出された国民の代表を通じ、軍事に対して、最終的判断・決定権を持つ、という国家安全保障政策における民主主義の基本原則である[1]。 軍については、一般的に最高指揮官は首相・大統領とされるが、これは、あくまでも、軍に対する関係であって、シビリアン・コントロールの主体は、立法府(国会・議会)そして究極的には、国民である[2]。このため、欧米では、その本質をより的確に表現するPolitical Control(政治統制)、あるいは、デモクラティック・コントロール(Democratic Control Over the Military)、すなわち民主的統制という表現が使われることが、より一般化しつつある。
民主主義国において、戦争・平和の問題は、国民の生命・身体の安全・自由に直結する、最も重要な問題であり、であるからこそ、主権者である国民が、国民の代表を通じて、これを判断・決定する必要がある[3]。
シビリアンコントロールにおいては、職業的軍事組織は軍事アドバイスを行い、これを受けて国民の代表が総合的見地から判断・決定を行い、その決定を軍事組織が実施するということが原則となる。国防・安全保障政策の基本的判断や決定は、選挙で選出された国民の代表が行う。これは、彼らが軍人より優秀ということではなく、国民の代表という正当性を体現するからである。そして、何よりも国民の代表は、国民に対し説明責任を持ち、したがって、国民は、彼らの決定に不服があれば、選挙を通じて彼らを排除出来るからである。
シビリアンコントロールの下、法の支配と民主主義の政治過程を尊重する観点から、軍事組織の構成員は、あくまで軍事の専門家としての役割に特化し、政治判断に敢えて立ち入らないとされる。軍事組織は、予断を行わず正確に情報を開示し、国会(国民)に判断・決定を仰ぎ、国会(国民)の決定を確実・正確に執行する役割に特化する。兵は任官において議会や大統領(元首)などに、あるいは立法および国民に対する忠誠の宣誓が求められる。
一般に、軍事的組織構成員も、国民の一人として投票権を行使する。しかしながら、シビリアン・コントロールの下、軍事的組織は政治的中立性、非党派性を保つべきものとされ、軍事的組織構成員が政治的活動を行い、政治的意思表明を行う場合には、まず軍務を辞するべきものとされる[4][5][6][7]。
日本において、シビリアンコントロールとは、軍事的組織構成員には発言権が無いこと、と一般的に理解されているが、自衛隊は「軍」ではないとの建前から政軍関係に関する議論が乏しく、実態は、軍事的組織の予算、人事、そして行動につき、その「最終的な」命令権が、軍事的組織そのものにはなく政府や議会にあることが制度的に保証されている状態をいう、との理解にとどまっている。このため、現に防衛政策立案に際しては、軍事の中枢たる統合幕僚監部及び陸海空幕僚監部が、防衛省内局と共に大きな役割を担っている。