擬態(ぎたい)とは、生物やヒトが、その色彩や形、行動によって周囲の環境(地面や植物、他者等)と容易に見分けがつかないような効果を上げること。カモフラージュとも言う。保護色という言葉でよく知られるが、これは擬態の一種で主に色彩だけでその効果を上げている場合を言う。一見ミツバチのような、ハチに擬態したハエ
進化によってある特定の環境に似た外見を獲得して擬態するもの(昆虫類など)と、自分の外見を変化させる能力を獲得して擬態するもの(カメレオンなど)がある。
人間からはそうは見えなくとも、すむ環境や活動する時間によっては立派な擬態や保護色となるものもある。海水魚にはタイやカサゴなど赤っぽい体色のものがいるが、ある程度の水深になると青い光が強くなるため、これらの赤色は目立たない灰色に見えてしまう。またトラもよく目立つように思えるが、動物には視覚的に色の区別ができないものが多いため、茂みにひそめばこれも擬態になると考えられている。
目次
1 分類
2 擬態と行動
3 視覚以外の擬態
4 擬態の限界
5 擬態の信憑性
6 擬態する生物
7 フィクション
8 関連項目
9 外部リンク
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擬態は目的によって隠蔽擬態(いんぺいぎたい)、攻撃擬態(こうげきぎたい)、の2つに分けられる。ただし隠蔽擬態と攻撃擬態については両方を兼ねる生物もおり、明確な線引きは難しい。
隠蔽擬態
バッタ、ナナフシなど自分が他の動物から捕食される可能性がある動物は、周囲の植物や地面の模様にそっくりな姿をすることで、攻撃者から発見されないようにする。攻撃擬態を取るオキナワアズチグモ: 背景に溶け込み、自身の姿を隠す。蜜を吸いにやって来たハチを捉えた。
攻撃擬態
カマキリ、アンコウ、リーフフィッシュなど自分が捕食者では、周囲の植物や地面の模様にそっくりな姿をすることで、獲物に気づかれないようにする。
繁殖のための擬態
ごくまれな例であるが、あるものを呼び寄せるための擬態であり、しかし攻撃や捕食を目的としないものもある。オーストラリアのハンマーオーキッドというランは、その花がある種のハチの雌の姿ににていることで有名である。その種の雄がこの花を見つけると、花に抱き着いて交尾をしようとして、この時に花粉媒介を行う。類似の例として、北アメリカ産の淡水二枚貝の一種がある。この仲間では、幼生が放出されると、淡水魚のヒレにしばらく寄生する性質がある。淡水魚の中には、タナゴのように生きた二枚貝の殻の中に産卵する習性を持つものがある。そこで、二枚貝は魚が産卵する時に幼生を放出し、幼生が寄生し易くする。ところが、この貝の場合、二枚の殻からはみ出す外套膜の周辺部が魚のように見える形と模様を持っている。それを見たその手の魚の雄が、雌が産卵しようとしているものと見て放精するために体を寄せてくるところに幼生を放出するのである。
また、擬態関係にある複数種が出現する場合があり、その内容によってベイツ型擬態(ベイツがたぎたい)、ミューラー型擬態(ミューラーがたぎたい)と呼ばれる。
ベイツ型擬態
ベイツ型擬態のシロスジナガハナアブ:腰に白い部分がありハチの細い腰を彷彿とさせる。一定の場所を占有し、近づく虫や人を駆逐するような行動をとることがある。飛び方や羽音もハチに似て、一瞬たじろぐ。毒を持つ生物のなかには、警戒色によって周囲に危険を知らせるものがあるが、それらの生物とは違う種が、同じ警戒色を用いて、捕食されないようにする。アシナガバチにそっくりなトラカミキリ、サンゴヘビにそっくりなミルクヘビなどが例として挙げられる。アフリカ産のオスジロアゲハ(Papilio dardanus) のメスは、少なくとも6種のマダラチョウ(有毒あるいは鳥が嫌う味がする)と酷似したそれぞれ全く異なる羽の紋様を持つ。しかし異なる紋様を持つ系統同士でも交雑が可能である。ベイツはこのような擬態を見せる昆虫について、中間型はすぐに捕食されてしまうから見つからないのだろうと予測したが、オスジロアゲハに関しては、紋様を決める遺伝子群が単一の遺伝子であるかのように固まって遺伝し、中間型は生まれないことが分かっている。