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損失補填(そんしつほてん)とは、生じた損失につき穴埋めをすることをいう。特に、証券会社が顧客から受託した有価証券の売買その他の取引について損失が生じ、又はあらかじめ定めた額の利益が生じないこととなった場合に、財産上の利益を提供することをいう。 「損失補てん」と書かれることもある。
証券取引法上は「補てん」となっているが、以下では「補填」で統一する。
類似語に「損失保証」があるが、損失保証は損失が生ずる前に損失が生じたら穴埋めをすることを約束することをいい、損失補填は損失が生じた後に穴埋めをすることをいう、と区別される。また、「利回り保証」とは、投資額に対する一定の収益を保証することをいう。なお、「損失補償」と書かれることもあるが、こちらは一般的には行政法上の用語として使用されるので、混乱を避けるため本稿では使用しない。
目次
1 損失補填の禁止
1.1 経緯
1.2 行為類型
1.3 罰則
1.4 適用除外‐証券事故
1.5 問題点
2 証券会社の損失補填問題
2.1 概要
2.2 背景‐営業特金
2.3 手数料との関係
2.4 補填方法
2.5 大蔵省の対応
2.6 バブル経済の崩壊
2.7 補填件数と額
2.8 影響
2.9 問題点
3 法律問題
3.1 私法上の効力
3.2 取締役の対会社責任
3.3 独占禁止法上の問題
4 関連項目
5 参考文献
6 外部リンク
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証券取引法42条の2は、損失補填等を禁止する(以下、条名のみは証券取引法)。
昭和40年の証券取引法改正において、証券会社又はその役職員が有価証券の売買その他の取引について生じた損失を負担することを約して勧誘することが禁じられた(旧50条1項3号,4号)。その理由としては、こうした勧誘により投資家が安易な取引をすることにより投資家の自己責任原則が害されて、かえって投資家に不利益になる恐れがあること、損失保証を巡る紛争の防止、証券会社の健全経営が損なわれる恐れがあること、などが挙げられた。違反した場合は、免許取消などの行政処分が科せられた(刑事罰はなし)。この時点では勧誘段階において損失を保証する行為が想定されており、事前約束なしの事後の補填は想定されていなかった。
ところが、バブル景気期における証券会社の大規模な損失保証・損失補填が平成3年6月の各証券会社に対する税務調査を契機として明らかとなり、暴力団との不適切な取引、相場操縦の疑惑などとともにいわゆる「証券不祥事」として社会問題となった。そこで、同年の証券取引法改正において緊急措置的に損失補填を罰則をもって禁止し、その温床となった一任勘定取引も禁止した(詳しくは後述2.)。
証券取引法42条の2が禁止する行為は次の通りである。
証券会社がする(第三者にさせる場合を含む)以下の行為(同条1項)
事前の損失補填又は利益追加の約束・申し込み(同項1号)
事後の損失補填又は利益追加の約束・申し込み(同項2号)
事後の損失補填行為又は利益追加行為(同項3号)
顧客が1項で定める行為を要求する(第三者にさせる場合を含む)行為(同条2項)
証券取引法は損失補填等について刑事罰を定める。証券会社が損失補填をした場合、行為者には懲役3年以下若しくは300万円以下の罰金を科し、又はこれらを併科する(198条の3)。法人については3億円以下の罰金を科す両罰規定がある(207条1項2号)。
損失補填を要求した顧客には1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金を科し、又はこれらを併科する(200条14号)。犯人又は事情を知る第三者が損失補填により受けた財産上の利益は必ず没収又は追徴する(200条の2)。
証券会社及びその役職員の違法又は不当な行為であって、証券会社と顧客との間で争いの原因となるものとして内閣府例で定めるもの(証券事故)によって顧客に生じた損失を証券会社が賠償する行為は、損失補填の禁止の対象から除外される(42条の2第3項)。証券会社に損害賠償責任がある場合にまで損失補填の禁止規定を適用する必要はないからである。これを受けて、証券会社の行為規制等に関する内閣府令(昭和40年11月5日大蔵省令第60号)5条は事故として、以下のものを定めている。
顧客の注文内容を確認しない無断売買