捷号作戦(しょうごうさくせん)は、太平洋戦争中に日本の大本営が立案した作戦計画の1つである。
目次
1 概要
2 日本側の敵情判断
3 作戦指導の大綱
4 陸海軍の具体的作戦計画
4.1 捷号作戦に関する陸海軍中央協定
4.2 連合艦隊の作戦計画
4.3 マニラでの現地部隊との打ち合わせ
5 結果
6 脚注
7 参考文献
8 関連項目
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マリアナ沖海戦に勝利を収めたアメリカ軍は1944年7月9日サイパン島を占領し、絶対国防圏を突破してその内懐に対し、次なる攻勢への動きを見せつつあった。日本本土とインドネシア周辺の資源地帯の間の拠点が占領される事は本土への資源還送航路の停止を意味し、これは軍はもとより国家経済の壊滅に繋がる。加えて海軍にとっては、艦船を動かすには大量の重油を必要とするため、残存する艦船がすべて行動不能になる恐れがあった。そのため連合艦隊の残存戦力、陸海軍の航空兵力、そして陸軍の地上兵力を投入し、来襲するアメリカ軍を迎え撃つことを骨子とする『陸海軍爾後ノ作戦指導大綱』を7月24日に裁可した。作戦の流れは、陸海の基地航空兵力によって敵艦隊を漸減、続いて第一機動艦隊により米機動部隊を牽制し、その間に戦艦を主力とする水上艦隊を来攻地点に突撃させ艦砲射撃によって輸送船団や上陸軍に打撃を与え、陸軍がこれを殲滅するという一大作戦であり、陸海軍の完全な一致協力を前提とした。[1]
7月26日、陸海軍の作戦の秘匿名は「捷号作戦」とされた。名称は「捷」の字が戦いに勝つという意味を持つことに基づいている。ただでさえ開きつつある戦力差に、南方兵力のほぼ全てを投じ貴重な空母を囮として使用したこの作戦は必勝を前提とした作戦であった。[2]
捷号作戦は予想される決戦方面によって4つに区分された。
捷一号作戦 - 比島(フィリピン)方面
捷二号作戦 - 九州南部、南西諸島及び台湾方面
捷三号作戦 - 本州、四国、九州方面及び小笠原諸島方面
捷四号作戦 - 北海道方面
これらのうち捷一号作戦は、アメリカ軍のレイテ島への進攻を受けて1944年10月18日に発動された。捷二号作戦、捷三号作戦、捷四号作戦は、作戦区域にアメリカ軍主力が進攻しなかったために発動されることはなかった。発動されなかった作戦は後に天号作戦として再構成された。
以下、概ね時系列に沿って詳述する。
日本側の敵情判断 この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。
あ号作戦後の次期作戦の検討は大本営がサイパン放棄を決めた6月末から始められ、合同研究の結果は下記の『陸海軍爾後ノ作戦指導大綱』として7月21日決定、24日裁可された。
(原文はカタカナであるが、ひらがなに直し、一部漢字等を平易なものに改めた)
陸海軍爾後の作戦指導大綱
大本営陸軍部大本営海軍部
第一 方針一本年後期米軍主力の進攻に対し決戦を指導し、その企図を破摧す決戦方面を本土(北海道、本州、四国、九州附近及情況により小笠原諸島を指す)、連絡圏域(南西諸島、台湾及東南支那附近を指す)及び比島方面(地上決戦方面は北部比島附近とす)と予定し決戦の時機を概ね八月以降と予期す決戦実施の要域は大本営之を決定す
第二 要領二 対米決戦指導(イ)西太平洋方面に対しては敵の来攻に先だち機会を捕捉し極力敵戦力を漸減しその進攻を防止するに努め又手段を尽くして敵情偵知に努む(ロ)速に小笠原諸島、大東島及千島要域の戦備を増強すると共に概ね八月末頃を目途として連絡圏域及比島方面要域に置ける。又概ね十月頃を目途として直接本土に於ける決戦準備を概成し爾後更に之を増強。此の間本土枢要部の防空戦備を更に促進強化す(ハ)敵の決戦方面に来攻に当たりては空海陸の戦力を極度に集中し敵空母及び輸送船を所在に求めて之を必殺すると共に敵上陸せば之を地上に必滅す此の際機を失せず空海協力の下に予め待機せる反撃部隊を以て極力敵を反撃す敵の決戦方面に来攻二方面以上に亘る場合決戦実施要域は敵主力機動部隊の指向方面その他全般の戦況に鑑み之を決定す(ニ)国力戦力の維持培養の為特に連絡圏域方面に於ける対潜対空兵力の重点的配備を構成し以て敵機動部隊の策動及基地よりする敵空襲の激化に備へ又潜水艦の跳梁を封殺し本土及南方資源要域間海上交通の確保を期す三 中部太平洋方面作戦(イ)機宜航空基地を活用して奇襲攻撃を行い敵基地の利用封殺並びに敵兵力の漸減を策す(ロ)小笠原及「パラオ」両方面より主として航空機を以て「マリアナ」方面の敵に対する攻勢を極力持続するに努む(ハ)敵来攻せば概ね所在兵力を以て之を撃破し敵の進攻を阻止するに努む四 南西方面作戦(イ)南西方面作戦の重点は比島方面に於ける決戦指導並びに油田地帯、艦隊主要泊地(「ギマラス」「タウイタウイ」「コルネー」「リンガ」)の確保防衛とす(ロ)豪北方面(「ソロン」「ハルマヘラ」「アンボン」附近の地区を重点とす)は南方圏東翼の支?
として来攻する敵を撃破して極力之を確保す(ハ)ビルマ方面は南方圏北翼の支?とし印支分断の戦略根拠及び西南支那方面の把握と相俟って印度支那方面安定確保の前哨たる如く来攻する敵を撃破しつつその要域を確保す(ニ)情況之を許せば一部潜水艦を以て機宜印度沿海及び豪州西岸に於ける敵情偵知及び敵補給路の遮断に努む又独国潜水艦の印度洋に於ける交通破壊戦に対し積極的に協力し之を促進す五 北東方面作戦千島、樺太方面に於いては概ね所在兵力を以て来攻する敵を撃破してその要域を確保す北海道方面敵来攻に当たりては機宜決戦を指導す六 南東方面作戦所在兵力を以て来攻の敵を撃破して極力其の要域を確保す。