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意思表示(いしひょうじ)とは、社会通念上一定の法律効果の発生を意図しているとみられる意思(効果意思)の表示行為をいう。
民法について以下では、条数のみ記載する。
目次
1 意思表示理論
1.1 動機
1.2 効果意思
1.3 表示意思
1.4 表示行為
2 意思表示の有効性
2.1 意思主義と表示主義
2.2 意思表示の有効性に関する民法上の規定
3 意思表示の効力発生時期
3.1 意思表示の効力発生に関する立法主義
3.2 隔地者間の意思表示
4 意思表示の受領能力
5 公示による意思表示
6 関連項目
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伝統的な意思表示理論によれば、意思表示とは動機により嚮導された効果意思がそれを表示しようとする意思(表示意思)に基づく表示行為により表示される過程である、と分析される。このうちのいずれの要素を重視するかは、立場によって異なる。この分析はフリードリヒ・カール・フォン・サヴィニーが提唱した理論に由来するものであるが、このような分析については批判もある。
以下では、伝統的な意思表示理論に立った上で、動機、効果意思、表示意思、表示行為について述べる。
動機は意思表示を行う者(表意者という)が一定の法律効果を欲するきっかけとなる部分である。
表示行為に対応する効果意思・表示意思が存在するが、動機について他人の違法行為が介在する(詐欺、強迫)場合には、その意思表示は瑕疵を帯びる。これを「瑕疵ある意思表示」といい、瑕疵ある意思表示は取り消しうる( ⇒96条1項)。ただし、詐欺による意思表示は善意の第三者に対抗できない( ⇒96条3項)。
表示行為に対応する効果意思・表示意思が存在するが、動機について誤解があり、それにより効果意思が導かれた場合には、動機の錯誤となる。動機の錯誤をいかに扱うかについては学説に対立がある。
効果意思とは一定の法律効果の発生を意図しているとみられる意思をいう(ここでいう効果意思は内心的効果意思あるいは真意ともいい、表示行為から推測される表示上の効果意思と区別される)。
表示行為に対応する内心的効果意思が存在しない場合には、「意思の欠缺」と呼ばれる。意思の欠缺した意思表示は、意思主義の立場からすれば、無効となるべきものであり、表示主義の立場からすれば、有効となるべきものである。日本民法は、折衷的な規定を置いている。
表示行為に対応する表示意思はあるが、内心的効果意思がない場合は、虚偽表示と心裡留保に分かれる。
虚偽表示においては、相手方を保護する必要がないことから、意思主義の立場を採用し、意思表示は無効となる( ⇒94条1項)。但し、取引の安全を図る必要から、善意の第三者に対抗できないとした(94条2項)。
心裡留保においては、取引の安全を図る必要から、表示主義を採用し、意思表示は有効となる( ⇒93条本文)。但し、相手方が悪意又は有過失である場合には、これを保護する必要がないから、意思主義に戻り、意思表示は無効になるとした(93条但書)。
表示行為と表示意思ないし内心的効果意思との間に錯誤があり、結果として表示行為に対応する内心的効果意思が存在しない場合が、「表示行為の錯誤」である。日本民法が規定する錯誤は原則として表示行為の錯誤を指すと解されているが、判例は一定程度で動機の錯誤に対する適用も認める。民法は錯誤について意思主義を採用し、錯誤による意思表示は無効となる( ⇒95条本文)。但し、表意者に重過失がある場合には、表意者から無効を主張することはできない(95条但書)。
電子商取引におけるボタンの押し間違いも、表示行為の錯誤であるが、これについては、平成13年12月25日に施行された「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」により、承諾の意思表示の表示行為の錯誤に重過失があっても、表示行為に対応する内心的効果意思がなかった場合(同法3条1号2号の場合)には、原則( ⇒95条本文)どおり無効となる(電子消費者特例法3条本文)。但し、事業者が承諾の意思表示を確認する措置を講じた場合、又は、消費者から事業者に対してそのような措置を講ずる必要はないという意思の表明があった場合には、表意者に重過失があれば表意者から無効を主張することはできない(電子消費者特例法3条但書)。
効果意思も参照
表示意思とは表示行為を行う意思である。表示意思が意思表示の要素として必要か否かは、議論がある。
表示行為は、時系列的には最後になるが、意思の存否や意思表示の有効性・取り消しを思考する順番としては最初に来る。つまり、表示行為がない限りは意思表示は存在し得ないから、表示行為を基準として他の要素との関係を検討することになるのである。