悪魔
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この項目では宗教の象徴としての悪魔について記述しています。その他の用法についてはデビルをご覧ください。9層の地獄の最下層コキュートスにて凍るサタン(ダンテの『神曲』)

悪魔(あくま)とは、諸宗教に見られる、「煩悩」や「」、「邪心」などを象徴する超自然的な存在のことである。 元々は仏教におけるサンスクリット語マーラ(殺す者の意)を含む仏典を漢訳した際、という漢字を、麻と中国語の対応語鬼とを組み合わせて作り「魔羅」とした。その「魔」に悪の字をつけたものであり、転じて西洋のデビル(Devil)、デーモン(Daemon)の訳語となった。

神話にはしばしば聖人預言者信仰心を試す存在として登場する。また、宗教上のに敵対するものを指し、異教の神々への蔑称でもあり、キリスト教の悪魔などはほとんどがそれに当てはまる。

西洋の悪魔は、しばしば人間に似た姿でありながら黒あるいは紺色の肌・赤い目・とがった耳・裂けたような口にとがった歯・とがった爪そしてコウモリの様な羽を持つ存在として描かれる。

数える際の助数詞は「人」、「柱」など。このうち「柱」は神道における神の数え方に由来し、転じて他宗教の神々や悪魔にも用いられるようになったもの。悪魔への使用例としてはソロモン72柱がある。

以下では主に「キリスト教における悪魔」を中心に叙述する。
目次

1 アブラハムの宗教の悪魔

1.1 悪魔の起源

1.2 悪魔と迷信

1.3 東方の悪魔観

1.4 エクソシスト

1.5 ファティマの聖母による地獄と悪魔


2 悪魔の姿形

3 仏教の悪魔

4 より一般的な悪魔

5 比喩・強調としての「悪魔」

5.1 音楽


6 科学の世界の悪魔

7 悪魔の別称を持つ実在の人物

8 悪魔をモチーフとした作品

9 参考文献

10 関連項目

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アブラハムの宗教の悪魔


悪魔の起源

アブラハムの宗教における悪魔は元来、神とその使いを除く超越的な存在全てであった。

唯一神教であるユダヤ教は他宗教の神々を、悪魔と称して否定した。その派生であるキリスト教イスラム教も同様であった。西方キリスト教世界における悪魔は、地中海世界で信仰されていた古代文明の神々が否定され悪魔とされたものが多く、バアル神やモレク神などは代表的なものである(これらの神格はユダヤ教の時点で「魔神」シェディムであるとされていた)。 ただし、唯一神以外の神々が全て悪魔とされたわけではなく、キリスト教に取り込まれた例もある。その代表例は、かっては新バビロニア地域の神々、あるいは神の諸側面を表象する存在であったミカエルガブリエルである。ユダヤ民族のバビロン捕囚時代以降にペルシアの宗教(とくにゾロアスター教のアムシャ・スプンタ)に影響を受けて、ユダヤ教に天使として取り入れられた。ミカエルやガブリエルは旧約聖書にも登場し、キリスト教では大天使として継承された。ヨーロッパ土着の神々が矮小化され妖精伝承となったこともあるらしい。

故に人間に試練を与えるための神の道具であったサタン(「試みる・誘惑するもの」)は旧約聖書において悪魔ではなく、人間の敵ではあっても神の僕であった。サタンは「大敵」と呼ばれ、異教の神とは区別された。

異教の神々がサタンと結び付けられるのはキリスト教アタナシウス派の影響である。「イザヤ書」の記述にある「天より落ちた者」ルシフェルはサタンと同一視されるようになり、サタンは神に敵対する者とされ異教の神々は神に対して反乱を起こした天使であるとされるようになった。

一方イスラム教においては悪魔は「シャイターン」と呼ばれる。これはサタンの転訛である。その頭目は堕天使イブリース(=ルシフェル)であるが、キリスト教とは違いそれ以外の悪魔は単なる人に悪さをするジン精霊)にすぎない。


悪魔と迷信

また、西方キリスト教世界では悪魔と迷信が結びつき、魔女狩りのように残酷な蛮行が中世後期から近世にかけてのヨーロッパに蔓延った。十字軍時代やオスマン帝国膨張に伴って、イスラム教徒やギリシア正教徒との接触で文明的に啓蒙され、宗教改革ルネッサンスの勃興を経て近代化が始まるまでは、西方キリスト教世界での迷信的な悪魔観は衰退しなかった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki