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平和主義(へいわしゅぎ Pacifism)とは持続的または永続的な平和を志向する思想的な立場を意味する。本項では主にその思想の原理と歴史的な背景と発達史、また平和主義への批判などについて述べる。
目次
1 概説
2 歴史
2.1 初期の平和主義
2.2 世界大戦後
3 日本国憲法との関連
4 宗教
5 平和主義への批判
5.1 実践の問題性
5.2 個人的な思想の政治思想化
5.3 平和の絶対視
5.4 戦争原因の無理解
5.5 言語操作
6 参照
7 関連項目
8 参考文献
9 外部リンク
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平和主義にも厳密に見ればいくつかの思想的な系譜が見られる。あらゆる武力を全て放棄すべきだとする立場(絶対平和主義)や、一定の武力の必要性を容認した上で、実効的統制・漸進的縮減の追求を重視する妥協的な立場(相対的平和主義)などがある。後者は細かいプロセスについて様々な考え方がしばしば示し、また戦争以外に選択の余地がない外国から侵略を受けた場合の防衛戦争を容認する考え方をも含む。
以上のような立場の相違があるものの、平和主義にはおおむね以下のような要素が含まれる。まずあらゆる暴力の放棄を最上だとする哲学的、宗教的または倫理的な命題が挙げられる。これは平和主義の思想の基盤であり、平和の達成と維持を目指すうえで不可欠と見なされている命題である。そのために平和主義は反軍隊であり、非武装や軍縮などに肯定的な立場である。さらに博愛や寛容が前提となった思考法があり、復讐に否定的である。なぜならば復讐を容認すると武力の応酬が発生し、このような事態は武力を放棄する上で決定的な障害となるからである。
最後に国家間または民族間の関係改善、理性的な交渉による問題解決、軍縮・軍備管理、戦争を仲裁するための司法機関設立などを推進するための政治的な計画を持つことも挙げられる。
日本は最初の成文基本法(17条憲法)で、「一に曰く、和(やわらぎ)を以(もち)て貴(たっと)しとし、忤(さか)ふること無きを宗とせよ。」と記述された。
ヨーロッパにおける「平和主義(英語: pacifism、ドイツ語: Pazifismusなど)」の語源は、フランス語の pacifismeに由来し、さらにラテン語pax(平和)+facere(つくる)から来ている。
思想の起源としては東洋においては墨子における非攻・墨守から非戦が挙げられる。西洋においてはキリスト教の伝統を背景とする。しかしその他さまざまな民族において平和主義の伝統を指摘することができたとえばアメリカ原住民であるイロコイ族の伝承は有名である。
第一次世界大戦後、イギリスをはじめとするヨーロッパ列強諸国では、深刻な被害をもたらした戦争への反省や厭戦感を背景に、平和主義にもとづく議論や行動が盛んになった。この潮流を背景に、不戦条約(ケロッグ=ブリアン条約、または締結地に因んでパリ条約、パリ不戦条約とも呼ばれる)などが締結された。ただし、このときドイツを取り巻く各国首脳(とくにイギリス首相チェンバレン)がとった現状維持的な「平和主義」の姿勢は、たんなる「宥和政策」であり、結果として 第二次世界大戦をひきおこしたという批判も根強い。
一方、レーニンは、帝国主義的略奪強盗戦争を否定し、かかる戦争における、革命的祖国敗北主義を是としている。その一方で、戦争そのものは否定はしてはいない。むしろ、平和主義を「小国のけちな願望」だとし、暴力や戦争それ自体を否定することを「最悪の日和見主義」として攻撃を加えている。兵営には否定的ではあったが、徴兵や婦人、児童への軍事訓練については、むしろこれを歓迎し、労働者は自分たちをそそのかす連中に対して銃を向けるために、銃の習熟に勤めるべきであるとし、全人民を一人残らず武装させた民兵を理想とした。
日本国憲法前文および日本国憲法第9条で平和主義が掲げられており、国民主権(主権在民)、基本的人権の尊重とならぶ三大原則の一つとなっている。憲法第9条で規定される軍事力の不所持は、武力抵抗と軍事的抑止を否定した「絶対平和主義」と批判される。当初の政府の解釈では、国際平和の達成時には軍隊は不必要であるから率先して軍隊を持たないとし、実際に軍隊を持っていなかった。(ただし米軍の駐留は続いていた)しかし、冷戦の激化などとともに解釈の変更が行われて絶対平和主義(という語は憲法解釈として公式には使っていないが)を標榜しなくなり、現在では事実上軍隊(自衛隊)を保持している。
日本国憲法は、立憲民主主義のひとつの具体化と見ることもできる。立憲民主主義は、多元的な価値を事実として前提し、万人の万人による闘争を超えた善と善との衝突を繰り広げるよりは共同体を形成して益しな生活を送ろうという思想の伝統である。