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小中華思想(しょうちゅうかしそう)とは、中華思想から派生して、朝鮮、阮朝ベトナムなど、中国の王朝以外の儒教文化圏(中華文明圏)のうちで比較的技術・文明が発達していた国で起こった「我こそが文明の担い手である」という自負の思想である。しかし「小」とは何か、「中華」とは何か、定義することが極めて難しいため、小中華の定義にも権威となるものが無いのが現状である。
元来これらの国々では儒教の影響を受けて、自らを文明の担い手と考える風潮が少なからず存在したが、モンゴル民族の元朝に続いて漢民族ながら農民出身者が建国した明朝が成立すると、漢民族(中国)が「中華文明の継承者」であるという儒教伝統の主張に疑問が持たれ始め、更に朱子学の大義名分論や正統論が紹介された事でその考えに拍車をかけた。
「中華」以外に於ける中華思想であるから、「中華」が何を指すかにより「小中華思想」の定義も変動する。「中原」を支配していなかった六朝や南宋の中華思想も、論理的には小中華思想である。従って南宋の朱子学の中華思想も小中華思想の一種と言える。
17世紀中期に、本来中華思想においては蛮族とされてきた女真(満州)族の清朝が明朝に代わって中原支配を確立させたことで、「文明の担い手」の定義が崩壊し周辺諸国では公然と自民族こそが「中華文明の継承者」であると唱える学説が盛んになり始めた。
目次
1 各国における小中華思想
1.1 朝鮮の歴代王朝
1.1.1 李朝時代
1.2 ベトナム
2 関連項目
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朝鮮半島の北西部で中国と直接国境を接しているため、高句麗、百済、新羅などは中華王朝の皇帝から冊封を受けて臣下の礼をとることにより独立の保障を得たり、また、朝鮮半島内の敵対国との抗争に有利な立場を得るため、積極的に中華王朝からの冊封を受けてきた。
中国が南北朝時代に入ると、中国の諸王朝とのパワーバランスを元に、独自の年号を使うなどして朝鮮中心の天下観が形成されていった。
中国で唐王朝が興ると、高句麗に圧迫されていた新羅は唐王朝の律令制を取り入れ、独自の年号を廃止して唐王朝の年号を取り入れるなど、唐の皇帝に対して積極的に臣下の礼を尽くし、隋王朝以来高句麗に問題を抱える唐と共に高句麗と百済を滅ぼした。その後、高句麗と百済の旧領の支配権をめぐり唐王朝との関係が悪化し、最終的には朝鮮半島から唐の勢力を追い出したが、その後旧高句麗領の北部に渤海国が興るまでは唐王朝との関係は悪化したままだった。
高句麗の後に興った渤海国や、10世紀に朝鮮の諸王朝を統一した高麗王朝では、対内的には一時期独自の年号と皇帝号を称するなど、小中華思想の高まりを見せた。
親明路線をもとに建国した朝鮮王朝は、明王朝皇帝に対して臣下の礼を尽くし、文化面においても積極的に中華文明を取り入れていったが、17世紀、満州族の清王朝が漢民族の明王朝に取って代わり中原支配を確立させると、高麗期以前の朝鮮中心の天下観の影響もあって朝鮮の儒者たちの間には「蛮族」である満州族に中華文明を継承する力はないとみなし、中原の中華文明は明朝と共に滅びたために「中華文明の最優等生である朝鮮こそが正統な中華文明の継承者でなければならない」として「朝鮮が中華としての役割を果たしてゆく」という思想が広まった。これが朝鮮における小中華思想の始まりであるとされている。
ただし、小中華思想はあくまで真の中華であった明朝の臣としての立場を貫くという思想であり、朝鮮こそが元来中華であるという主張などではない。明が清に滅ぼされたことで夷狄化したものとみなし、朝鮮が新たに中華の担い手となったという主張であり、欧米を「洋夷」、日本を「倭夷」とする鎖国攘夷の思想(衛正斥邪)へと連なってゆく。また小中華として中国由来の文化を至上のものとみなしたがために、儒者たちの間に民族固有の文化を卑しむ傾向を生んだ。
朝鮮王朝時代の後期に活発だった国学研究と風俗画、珍景山水画などは小中華思想の影響を受けたと思われている。
ベトナムは、中国の直接支配から脱却し、独自の王朝を開いたという誇りが高く、対外的君主と国内的君主を分離した上皇制度を導入していた事で知られている。これは皇帝がその諱(本名)を知られて中国皇帝の臣下として扱われるのを避ける為、皇帝が早い段階で後継者に皇位を譲って太上皇(上皇)となり、宮廷内の最高意思決定と中国皇帝に対する朝貢を行い、内政一般など国内の政治は皇帝が担当するという慣習である。このため、中国への朝貢は上皇が「国王」を名乗って行っており、中国正史とベトナムの正史が伝える国王の在位にはずれが生じているといわれている。
満州族の清王朝が中国を征服すると、中原の中華文明は北の清朝中国と南のベトナム(黎朝)に対等に継承されたとして、南のベトナムも中国以外の周辺国に中華文明の威光を広める役割を果たさなければならないという自負心を持つに至った。
関連項目
中華思想
ナショナリズム
万世一系
国粋主義
神国
エスノセントリズム
事大主義
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更新日時:2008年9月26日(金)15:21
取得日時:2008/10/08 18:22