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失踪宣告(しっそうせんこく)とは、不在者、生死不明の者(死体が確認できていない者など)にかかわる法律関係をいったん確定させるための便宜上の制度。類似のものに戸籍法上の「認定死亡」という制度がある。
目次
1 条文
1.1 失踪宣告をするのに必要な失踪期間
2 失踪の宣告
3 失踪宣告の効果
4 失踪宣告の取り消し
4.1 取消しの効果
4.2 「善意」の意味
4.3 失踪宣告の取消しと財産行為
4.4 失踪宣告の取消しと婚姻
4.5 失踪宣告の取消しと相続
5 脚注
6 関連項目
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条文
民法 ⇒第30条(失踪の宣告)
1 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
民法 ⇒第31条(失踪の宣告の効力)
前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。
未帰還者に関する特別措置法第2条第1項により、未帰還者については厚生労働大臣も失踪の宣告の請求をすることができる。
30条1項が普通失踪の規定、2項が特別失踪(危難失踪)の規定である。
普通失踪
特別失踪に該当するような原因がなく、生死不明な失踪期間が7年継続した場合(30条1項)。7年が満了したときに、死亡したものとみなされる(31条)。
特別失踪
従軍・船舶の沈没等特別の危難にあった場合は失踪期間が1年継続した場合(30条2項)。危難が去ったときに、死亡したものとみなされる(31条)。つまり、失踪宣告がなされた時点より1年前(厳密には1年以上前)の時点で死亡したものとされる。
他に ⇒32条に関連規定(失踪宣告の取り消し)がある。
規定の期間、失踪が継続しており、所在・生死が不明な者を、利害関係人の請求によって、家庭裁判所が宣告する。
戸籍法での扱い
失踪宣告(戸籍法94条)裁判確定の日から10日以内に死亡したとみなされる日を記載し届け出る。
失踪宣告を受けた者は死亡したものとみなされる。死亡したものとみなされる時期は、普通失踪の場合は失踪期間7年が満了した時、特別失踪の場合には危難が去った時である(31条)。いずれも失踪宣告がなされた時ではないので注意を要する。失踪宣告の重要な効果は婚姻の解消と相続の開始である。民法31条は失踪宣告によって失踪者の死亡を推定ではなく擬制するものとしていることから、失踪宣告の効果は失踪宣告を受けた者の生存や異時死亡(死亡したものとみなされた時期と異なる時期に死亡していた場合)を証明しても当然には覆すことはできず、これらの場合には民法32条の規定に従って取り消されることを要する。なお、失踪宣告は失踪者の音信が途絶えた最後の地での法律関係を清算する制度であり、失踪宣告によっても失踪宣告を受けた者の権利能力は消滅しないので、失踪宣告を受けた者が実際には生存しており他所で法律関係を形成する場合には失踪宣告の効果は及ばない[1]。
失踪宣告を受けた者が生存していること、または失踪宣告による死亡時とは異なる時に死亡したこと、失踪期間の起算点以後のある時点で生存していたことが判明し、本人ないし利害関係人より請求があった場合、家庭裁判所は失踪宣告を取り消さなければならない( ⇒32条1項前段)。
失踪宣告は「生死不明の者を死んだものとみなして法的状況を確定すること」を目的としたものであり、あとから全面的にひっくりかえすと失踪宣告という制度の意味が失われる。そこで、民法は失踪宣告の取消しについて、まず第一に失踪宣告からその取り消しまでの期間に行われた善意の行為(=実は生きているということを知らずになされた法律行為)の効力には影響を及ぼさず( ⇒32条1項後段)、また、第二に失踪宣告によって財産を得た者については失踪宣告の取消によって権利を失うが、現存利益(=まだ残っている範囲)で返還すれば足りる( ⇒32条2項)。ただし、通説は民法第32条2項の適用を受けるためには失踪宣告が事実と異なることについて善意である者に限られるとする(後述)。
民法32条1項後段の「善意」は法律行為のすべての当事者に要求される(通説[2]・判例[3])。
失踪宣告によって財産を得た者については失踪宣告の取消によって権利を失うが、現存利益(=まだ残っている範囲)で返還すれば足りる( ⇒32条2項)。通説は民法32条2項により現存利益の限度で返還すれば足りるのは失踪宣告が事実と異なることについて知らない者(善意の者)のみであるとし、失踪宣告が事実と異なることを知っている者(悪意の者)については悪意の受益者として ⇒704条の規定にしたがうとする[4]。