大学全入時代(だいがくぜんにゅうじだい)とは、2007年頃(細かい年は緒論分かれる)に日本の大学への入学希望者総数が入学定員総数を下回る状況を迎えるとされる状況を指す言葉である。この言葉を使う場合、それに伴う諸問題もあわせて扱われる。ここで言う問題とは、主に大学教育の質の低下、定員割れ、さらにその結果として引き起こされる大学崩壊などである。
目次
1 概説
2 受験生獲得競争
3 メリット・デメリット
3.1 メリット
3.2 デメリット
4 原因
5 定員割れの増加
5.1 入学試験の多様化
6 脚注
7 関連項目
8 参考文献
9 外部リンク
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全入とはあくまでも全大学の定員数を統計した上での問題であり、誰もが志望する大学・学部に入れる、浪人生が存在しなくなるというわけでは決してない。この問題は2009年問題もしくは2007年問題とも呼ばれたが、少なくとも2007年度入試では発生しないことが明らかになり、数年後へ先延ばしになるであろうという状況となっている。しかし、実際には2000年頃から既に入る大学・学部さえ選ばなければ、経済問題などを除く入学選抜のみの点では誰でも入学できる状況になっている。
高等教育の場である大学自体が市場原理によって淘汰される時代に入ったため、大学崩壊や大学のレジャーランド化が叫ばれるなか、高等教育の場としてのあり方、教育研究の新しいあり方をいかにして各大学が発展させ、生徒の質・量を確保するかが問われている。
その過程で、受験生に対して様々な、時として過剰とも言える宣伝やサービスが行われるようになった。例としては、高校3年生を対象に就職率や就職先企業の実績、在学中に取得可能な公的資格などの広告や宣伝、オープンキャンパス(大学内の見学や学部などの説明、模擬授業、在籍学生や大学職員との交流イベント)、AO入試の実施などである。
大学によっては、オープンキャンパスで周辺主要都市からキャンパスへの無料送迎バスの運行や交通費の補助をしたり、学内食堂の無料券の配布、記念品の配布などが行われることもある。さらに、入試の成績優秀者に対して、入学金や授業料の全額または一部免除を行う大学も増えている。これには、併願受験を行う受験生を囲い込むという側面もある。
私立大学における経営収入の大部分を占める授業料を免除してまで学生を確保する動きがはじまったことは、大学全入時代の大学間競争が教育研究面での戦いだけでなく、財務状況も優劣であることを示している。
一方、浪人生、ひいては受験生全体の数の減少を受け、予備校においても現役生を視野に入れた経営を行うようになっている。三大予備校の他、東進ハイスクールは現役生中心の授業を行い業績を伸ばしにかかる一方、地方の中小予備校は生徒集めに苦しい状況となっている。
また、専門学校も大学より簡単に入学できるというメリットが大学全入時代の到来で失われつつあり、存在目的である職業教育も大学が力を入れつつあるという苦しい状況となっている。
メリット
受験生の立場から見れば、(超難関校を除けば)希望の大学・学部に入りやすくなる。
デメリット
大学関係者の立場から見れば、大学間競争の激化により収入が減ったり職を失う可能性が出てくる。
大学進学率が上昇し、大学卒業者の割合が増えても勉強しない学生が多いので、国民全体の知的水準が下がり、学歴のインフレ状態に陥る。
大学間の競争が激しくなっても、単位取得や卒業を厳しくすると志願者が減るため、教育サービスの質が下がる。
主な原因として、日本における教育の大衆化の進展、1990年代以降の法的規制緩和による大学の新設ラッシュ、定員増加、少子化などが挙げられる。
1980年代後半から1990年代前半、バブル期に18歳人口がピークを迎えたことや大学不合格者が増加したことにより、各大学に臨時定員増加が認められた。これは後に18歳人口が減少することを前提とした、あくまで一時的な措置であったが、政治家や私学関係者の働き掛けにより、国立大学は元に戻すが、公立大学と私立大学は臨時増加分の半分を維持してよいこととされた。
2000年代に入り、小泉純一郎政権時代の規制緩和が大学にも及ぶことになり、それまでは学校法人審議会による厳しい審査が必要であった大学・学部新設の一部に届出制が導入された。これが大学の新設ラッシュを引き起こし、1992年から2006年までの間に大学は約70校新設され、短大からの四年制移行もあわせると184校増加した。大学全体の定員が増加する一方で少子化は急激に進み、大学全入が現実味を帯びる状況となった。
大学全入時代を迎えるなかにあって、一部の難関大学や有名大学への受験・人気が集中していることにより、地方大学や新興大学は受験生・生徒集めに苦戦している。