変身_(東野圭吾)
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変身
著者
東野圭吾
発行日1991年1月12日
発行元講談社
ジャンルミステリサスペンス
日本
言語日本語
形態四六判
ページ数308
公式サイトbookclub.kodansha.co.jp
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ISBN 978-4-06-185698-1A6判

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『変身』(へんしん)は、東野圭吾による書き下ろしサスペンス小説。脳移植により自分の人格が失われていく恐怖と葛藤を描く。

2014年3月現在、発行部数は125万部を超えている[1]。また新井素子は、『パラレルワールド・ラブストーリー』の文庫本巻末に収録された解説の中で、この作品と『分身』『パラレルワールド・ラブストーリー』を合わせて『東野“私”三部作』と命名している。

2005年映画化された。また、間瀬元朗画によって「週刊ヤングサンデー」に『HE∀DS』というタイトルで漫画が連載された。

2014年7月にはWOWOWテレビドラマ化された。
あらすじ
序盤

成瀬純一が目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋のベッドの上だった。思い出せるのは拳銃で撃たれたことと、純一という名前のみ。脳神経外科の権威だという堂元教授に聞くところによると、奇蹟的に命をとりとめたが、3週間も昏睡状態だったのだという。

回復するにつれ、次第に自分は不動産屋で強盗に遭遇し、その場にいた女の子をかばって撃たれたのだという記憶がよみがえってきたが、鏡に映る自分の顔が一瞬わからない、嗜好品の好みが変わるなど、昨日までの自分と感性ががらりと変わってしまったような奇妙な感覚に戸惑いを感じるようになる。

ある夜、病院内の研究棟とはいえ、シャッターが閉められてあちこちに鍵がかけられた様子に疑問を抱いた純一は、夜中に忍び込んだ部屋で自分のものと思われる脳が入ったガラスの容器を発見してしまう。そして堂元を問い詰め、自分が幸運にも10万分の1の確率だといわれる適合者が見つかったために、世界初の成人脳移植手術を受けたということを知る。ドナーについても問いただすが、それについては「詮索すべきではない」と決して教えてくれなかった。

検査をただひたすら受ける日々が続いたが、面会OKの許可が出ると、強盗事件を担当する刑事の倉田謙三がやって来る。そこで純一は初めて事件についてや犯人・京極瞬介の人となりを聞き、結局京極は自殺したのだということを知る。
中盤

退院し、自分の家に戻るとそこには恋人・葉村恵の姿があった。喜びを噛みしめる純一だったが、恵を抱いた時にふと「なぜそばかすなんてものがあるんだろう?」と、彼女について残念に思う気持ちが沸き起こる。その他にも違和感を覚えることは次第に増えていく。一緒に仕事をしている人間が無能としか思えず失望する。今までのような絵が全く描けなくなり、聴覚が異様に鋭くなった。そして何より、恵といても全く楽しいと思えない。

職場の先輩と喧嘩をして酒瓶で殴ろうとしたり、隣人の言動に殺意を抱いてナイフを持ち出したりと、どう考えても異常だと感じた純一は、堂元教授にこれは副作用ではないのかと疑問をぶつけるが、堂元教授は「まず起こりえない」と取り合わなかった。

しかし腑に落ちない純一は、博士が少し席をはずした隙にドナー・関谷時雄の情報を手に入れ、時雄の父・関谷明夫の元を訪ねる。そこで聞いた時雄の生前の性格や嗜好の話は、純一に新たな疑いを抱かせた。あまりにも今の自分と違いすぎる……そして“父”である明夫に会っても特に何も感じない……ドナーは別の人間なのではないだろうか?

今の自分の性格や行動パターンは、ドナーだと言われている時雄よりもむしろ犯人の京極の方に近い。そう考えた純一は倉田刑事から京極の妹のことを聞き出し、ついに京極亮子との対面を果たす。予感はしていたが、実際に目があった瞬間に全身が硬直した自分に驚く。確信した純一が堂元を問い詰めると、ようやく堂元はドナーが時雄ではなく京極である事実を認めた。症状の改善に全力で取り組むという堂元を殴って拒否した純一。
終盤

だが、変わらず自分を心配してくれる堂元の助手・橘直子とは交流を断ち切らずにいた。そして初めて堂元以外の医者の診察を受け、成瀬純一本来の右脳意識が消滅しつつあることを悟った純一は、これも京極に支配されている行動かもしれないと感じつつも直子を初めて抱き、彼女を信用してもいいかもしれないと思い始める。しかし、自分が留守の間に日記をコピーして内容を誰かに報告している直子の姿を見た純一は、彼女の首を絞めて殺して屍姦してしまう。

一方、純一の裏の家で飼われている番犬が殺され、ノコギリで切断されたというニュースを見て、もしかしてと感じた恵は純一の部屋に戻っていた。殺人を告白され、迷惑がかかるから帰れと言う純一に「愛しているから」と食い下がり、恵はどんなに冷たくされても二度と純一のそばを離れまいと決意する。再び2人で過ごす時間が増え、純一は恵の裸体だけは再び描けるようになっていった。
ラスト

時が過ぎ、純一の意識がほとんど消滅して恵の名前もわからなくなった頃、純一は脳移植手術の研究を順調に進めたい何者かに拉致され、焼き殺されかける。恵が裏切ったせいだと考えた純一は恵を殺しかけるが、寸でのところで自分を取り戻し、堂元の研究所へと赴く。

そして、堂元に「移植した部分を再び取り除いてほしい」と頼むが、首を縦に振らない堂元を見て、途中で警官から奪ってきた銃で自分の右側頭部を撃ち抜いた。堂元が手術して再び命は取り留めたものの、純一は無意識の世界に生きる人となる。

恵は純一が生前に描いていた絵を売って延命費にあてながら純一に添い続けるが、きちんとそばかすまで描いてくれた最後の絵だけは売らずに手元に残していた。
登場人物
成瀬純一(なるせ じゅんいち)
24歳。産業機器メーカーのサービス工場勤務、メカニカル・サービス班所属。職場では、上司の命令には従順で「お利口さん」と呼ばれている。人並みに腹をたてることもあるが、それを表に出すだけの勇気がないため、人の悪口にも参加しない。中肉中背。恋人の恵には「ジュン」と呼ばれている。父親は若い頃に独立し、設計事務所を経営していたが、純一が高校3年生の時に
クモ膜下出血で亡くなり、母も心臓発作で他界している。そのため、美大を考えていた進路を変更し、今の会社の系列の機械の専門学校に入った。今でも休みの日は絵を描いて過ごす。散弾銃によって銃弾が右後方側頭部から右前頭部に抜けて貫通していたため、脳移植を受ける。人前に出るのが苦手でその他大勢のうちの1人として平凡に生きていくタイプだったが、手術後は公の場に出ることに何の恐れも感じなくなる。
葉村恵(はむら めぐみ)
純一の恋人。デザイナーを夢見て田舎から上京してきたが、才能が無いことに気づいて断念。画材ショップ「新光堂」で店員として働き、そこで純一と知り合った。背が高く、ショートヘア。ソバカスがチャームポイント。
堂元(どうげん)
東和大学医学部脳神経外科教授。髪が真っ白で金縁眼鏡をかけている。
橘直子(たちばな なおこ)
堂元の助手。化粧気は無く、美人でもないが、ジェクリーン・ビセットという外国の映画女優に似ていると言えなくもない。
若生(わかお)
堂元の助手。顎の尖った男。橘に好意を持っている。
光国(みつくに)
堂元教授の友人の心理学教授。頭脳の塊といった容貌の小男。堂元の紹介で純一にインタビューしようとする。
葛西三郎(かさい さぶろう)
成瀬の同僚。様子が変わり、上司とぶつかるようになってしまった純一を宥める。
矢部則夫(やべ のりお)
成瀬の同僚。猿に似た風貌のひょうきんな男。
酒井(さかい)
入社が成瀬より2年早い職場の先輩。背が高く、骸骨のような顔をしている。喧嘩っ早い。
臼井悠紀夫(うすい ゆきお)
成瀬の隣の部屋に住む学生。時々一緒に酒を飲む。コンピュータ・ゲームが唯一の趣味。
関谷時雄(せきや ときお)
成瀬に移植された脳のドナー。享年22。交通事故で車と建物の間に挟まれて亡くなった。生前は四六時中仲間と遊びまわり、勉強とは無縁の生活を送っていた。飽きっぽい性格だったが半年ほどボランティア活動をしていた時期があり、その時にドナー登録をしていたため、臓器提供者となった。人付き合いは良く、友達を大事にする。対立することが嫌いで小学校以来喧嘩はしたことがない。
関谷明夫(せきや あきお)
時雄の父。「赤煉瓦」という小さな喫茶店を経営している。白髪頭で痩せており、鼻髭を生やしている。
京極瞬介(きょうごく しゅんすけ)
不動産屋を襲い、成瀬を撃った犯人。去年母親が風邪をこじらせて亡くなった時、内縁の夫でありながら心臓が悪かった母親の手術代すら出さなかった不動産屋の社長である番場に復讐しようと決めて犯行に及んだ。警察に追い詰められ、丸菱百貨店の屋上にのぼって奪った金をばらまいた後、自分で心臓を撃って死亡。実は音大を卒業している。死後も意識は脳の中に残っており、亡霊のように純一の脳を支配していく。
京極亮子(きょうごく りょうこ)
瞬介の双子の妹。駅前などで似顔絵描きをしている。女性にしては声がハスキー。敬語が苦手。
番場哲夫(ばんば てつお)
「バンバ不動産」の社長。50歳前後。瞬介の母と関係があったが、瞬介のことは認知しておらず、瞬介の母と籍も入れていなかった。銀髪で体格が良い。
嵯峨典子(さが のりこ)
不動産屋で純一がかばった少女。舶来の人形のような大きい目をしている。まだ小学校にも上がっていないが、ピアノを一生懸命練習している。
嵯峨道彦(さが みちひこ)
典子の父親。法律事務所を経営している弁護士。40歳前後。上品だが精悍な顔つきで、がっしりした身体をしている。娘をかばってくれた純一に恩を感じ、純一の入院費を肩代わりしたり、何かと力になろうとする。
倉田謙三(くらた けんぞう)
捜査一課の刑事。30代半ば。プロ野球選手のようにがっしりした身体つきをしている。


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