声調(せいちょう)、またはトーン(英語 Tone)とは、言語において、意味の区別に用いる、音の高低のパターンをいう。どんなパターンがあるかが問題であり、音の高低の位置的な違いを問題にする高低アクセントとは異なる。声調を用いる言語を声調言語(トーン言語)という。
目次
1 声調の種類
2 表記法
2.1 国際音声記号による声調の表記
2.1.1 応用
2.2 5度式
3 声調変化
4 声調言語の例
4.1 日本語
4.1.1 京阪方言
4.2 中国語
4.2.1 普通話の声調
4.2.2 中古中国語との対応
5 声調言語と歌曲
//
声調の種類
音節声調
曲線声調(contour tone) - 中国語、タイ語、ベトナム語、かつての日本語京阪方言などにみられる、1音節内での声の高低が変わるようなものを言う。声調が違うと同じ音節でも意味が違ってくる。中国語の場合、共通語(普通話)には4つの声調があるので四声(しせい)とも言う。
段位声調(level tone) - アフリカのイボ語・エウェ語・ハウサ語・ヨルバ語など各音節が持つ相対的な音の高低の違いの組み合わせを区別するものを言う。
単語声調 - スウェーデン語・ノルウェー語、日本語西南九州方言、朝鮮語晋州方言など単語全体のなかで音の高低の違いのパターンを区別するものをいう。高低アクセントのように単語内のどこで高さが変わるかは決まっていない。
国際音声記号(IPA)では次の2種類の方法で声調を表している(かっこ内はX-SAMPA)。段位声調は左側を、曲線声調は右側を使うことが多い。
平板
- 超高平板 (_T)
- 高平板 (_H)
- 中平板 (_M)
- 低平板 (_L)
- 超低平板 (_B)
- ダウンステップ(段位声調において高い音節が続いたとき後続音節が低めに実現されるもの) (!)
- アップステップ(段位声調において高い音節が続いたとき後続音節が高めに実現されるもの) (^)
曲線
- 上昇曲線 (_R)
- 下降曲線 (_F)
- 高上昇曲線 (_H_T)
- 低上昇曲線 (_B_L)
- 上昇下降曲線 (_R_F)
国際音声記号の一覧で例示されているのは上記の10種類であるが、実際の自然言語で用いられている曲線声調はもっと多様である。例えば、高低2組の上昇曲線や下降曲線を区別する広東語や、低下降後に上昇する中国語(北京語)の上声、上昇下降上昇というパターンもあるベトナム語など、正確に表記できない言語も多い。特に上記左のダイアクリティカルマークを加える方式では正確かつ理解しやすい表記が難しいため、中国の言語学者などは右の、縦の基準線の左側に短い直線や折れ線を加えた100種を超える記号を用いている。
また、縦の基準線の右側に短い直線や折れ線を加えて、声調変化が起きる場合の、変化後の曲線を示すことも行われている。
上記の方法は、特殊な文字や記号を用意する必要があるが、Unicodeにも未登録のものも多いため、記録、印刷が難しい場合、1から5の数字の組み合わせで表記することも行われている。趙元任によって創始された方法で、声調値(Tone contour)、つまり、音の高低を、1がいちばん低く、5がいちばん高いという5段階に分け、これを時間軸順に1つから4つ並べることによって、パターンを表記する。このような方式は5度式と呼ばれる場合がある。
例えば、上記のIPAで用意されている10種は、それぞれ、55、44、33、22、11、15、51、45、12、454と表記する。これを音節の音をしめす文字の右または右上に書き加える。声調変化が起きる場合は、214-35などと、原調の値の後にハイフンを書いて、その後に変化後の値を書く場合もある。
声調のパターンが意味の区別に用いられるとはいえ、かならずしもどんな条件下でもそのパターンが維持されるとは限らず、パターンに変化が起きる場合があり得る。このような現象を声調変化(tone sandhi)という。
例えば、単語声調である日本語の場合、複数の単語が結びついたり、「が」などの助詞が付くと変わる単語がある。
例: 花 + 占い → 花占い
低高 低高高高 → 低高高低低低
また、曲線声調である中国語の場合も、一音節の語が熟語となった場合や続けて言う場合などに声調変化が起きる。
例: 海 + 底 → 海底
低昇 + 低昇 → 高昇 低昇
また、曲線声調が消える現象もあり、軽声と呼ばれる。
広東語では、一音節の語でも口語化すると声調が変わったり、意味が変化すると声調が変わる例もある。
音節と音節の高さが異なる段位声調が基本であるが、曲線声調も観察される。 例えば、標準語で単音節語となっている下記のような語で、声調の違いが見られる。