塩害(えんがい)とは、塩分によって農作物や電気設備、鉄、コンクリート構造の施設などが害を受けること。
一般的には海沿いの地域で多く発生する。
目次
1 農作物に関わる塩害
1.1 連作による塩害
1.2 乾燥地の塩害
1.3 海水の遡上による塩害
1.4 越波による塩害
2 構造物に関わる塩害
2.1 電線の塩害
2.2 鉄筋コンクリート構造物の塩害
2.3 鉄道車両の塩害
2.4 建物等の塩害
3 関連項目
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一般的に農作物は塩分の多い環境では生きていくことができない(マングローブなどの塩生植物といった例外はある)。塩害が発生すると、その土地での農作物の育成が妨げられ農業的な価値を失う。
主に連作などで発生する被害のひとつ。水をまき続けることにより、水中、地中に含まれるわずかな塩分が凝結し地表付近の塩分濃度が上昇してしまう。これらは、大規模な農作物の生産を行っている農園などで発生する可能性が高い。
乾燥地では水分が浸透・蒸発しやすい。そのため、安易な水分散布を行うと、地下深く存在していた塩分が水に溶けて塩水になる。この塩水が地表近くへ上り、水分が蒸発することで塩分が析出し、地表付近の塩分濃度が上昇して塩害が発生する。このことが砂漠緑化の足枷となっている。
カラポガスゴル湾 - カスピ海東岸の湾状の塩湖。
河川は河口付近において塩水くさびにより河川の底部に海水が遡上する。河口付近の川底は満潮時の海面より低い部分があり、海面よりも低いからには、そこまでは海水が遡上してくるわけである。このため、海に近い河川は、海に面しているのと同じで塩害が発生しやすい。 さらに、灌漑用水を下流部などから取水している場合などで、河川流量の低下によって海水がより遠くまで遡上したり、あるいは水害防止のための浚渫により、川の底が掘り下げられた場合に、より海水が遡上しやすくなるなどして、塩害が拡大することがある。日本では、昭和33年塩害などの例がある。
海岸部に近い農地では、台風等の強風にあおられた波しぶきが飛来することがあり、塩水をかぶった状態になるため、農作物に被害が生じることがある。 特に、沿岸の傾斜地に多いみかん園などで被害が発生しやすい。
1991年の台風19号では、瀬戸内沿岸で多数の被害が発生した。 海岸工事により、砂浜が消滅し、波除けのコンクリート構造物が多数設置されたため、よけいに発生しやすくなったと指摘されている。
また、津波のように大規模な災害時は内陸でも深刻な塩害が発生する場合がある。 2004年のスマトラ島沖地震で発生した津波は、周囲の標高が低い地域に多大な被害を及ぼした。 ただ、これらの地域は熱帯に属していたため、多量の降雨によって塩分が洗い流され、幾分被害は軽減しているとの報道もある。
塩分が付着することで、その物体が急速に劣化したり酸化する被害がある。
塩水は雨水よりも遥かに電気を通しやすいため、絶縁している部分が塩水で満遍なく濡れると、塩水が導電してしまい漏電状態となるため、電気の供給が不可能となる。
海岸沿いに設置された電柱や電線などの電力設備は、当然のことながら塩害対策を施し、付着した塩の除去などを行っているが、越波による塩害などでは、電線にも悪影響を与える。特に、低気圧と荒波・強風を伴なう台風は、かなりの内陸部まで広範な影響を及ぼすことがあり、1991年の台風19号の際は吹き返しの風による塩害が中国地方で多数発生した。
鉄筋コンクリートにおける塩害とは、以下に示すメカニズムによって発生する。
コンクリートに侵入した塩分中の塩化物イオンが鉄筋を腐食させ、膨張が生じる。鉄筋の膨張に伴い、コンクリートに引っ張り力がはたらき、ひび割れを生じる。ひびの割れたコンクリートはますます腐食物質(水、酸素、二酸化炭素、塩化物イオンなど)の侵入を許し、鉄筋の劣化、コンクリートの剥落へと発展する。主に海水が主原因とされているが、コンクリートの骨材である海砂や、近年では道路面の凍結を防止するために散布する凍結防止剤による塩害などが原因に挙げられている。 日本では、高度経済成長の時代に建築された建物や土木構造物(高架橋やトンネルなど)においてコンクリートの崩落が起きており、充分に洗浄・脱塩が行われていない海砂や砂利が原因となり、上記メカニズムによる劣化が起きているのではないかとの可能性が指摘されている。
塩害を防止する対策として、かぶりを十分大きくとること、コンクリート表面および鉄筋表面に合成樹脂などのコーティングを施すこと、材料に海砂などの塩化物イオンを含む骨材を使用しないこと、海砂を利用する場合は十分に洗浄したものを使用すること、などが挙げられる。