住民投票(じゅうみんとうひょう)とは、ある地域において、住民のうち一定の資格を持つ人の投票により、立法、公職の罷免等の意志決定を行なう手法である。戦後日本では憲法、地方自治法や市町村の合併の特例等に関する法律に定めがあるほか、特定の問題について自治体自らが条例を制定して行なわれる場合が増加している。
スイス、アメリカ(一部の州に限る)等諸外国では、住民投票による直接立法も行われるが、日本では、一般国民の直接立法関与は懸念されており、現行されていない。地方自治体が独自に住民投票条例を制定している例もあるが、住民投票の結果は政治上の意思表示に過ぎないのが現状である。
また、台湾(中華民国)における「国政選挙」や「国民投票」については、「一つの中国」の原則から、マスコミなどにおいて「住民投票」と呼ぶことがある。
目次
1 日本国憲法の規定による住民投票
1.1 住民投票を経た特別法
1.2 その他
1.3 投票の手続
2 地方自治法の規定による住民投票
2.1 解散及び解職の請求
2.1.1 住民投票に必要な署名の数
2.2 投票の手続
2.3 条例の制定の請求
3 合併特例法の規定による住民投票
3.1 投票制度の概略
4 自治体の条例の規定による住民投票
5 諸外国の住民投票制度
5.1 アメリカ合衆国
5.2 スイス
6 関連項目
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日本国憲法の規定による住民投票
日本国憲法第95条では、国会が特定の地方自治体にのみ適用される特別法を制定しようとするときは、その地方自治体の住民による住民投票の結果、過半数の賛成がなければ制定できない、とされている。詳細は ⇒地方自治法第261条に規定されている。
ある法律案が日本国憲法第95条に規定されている「特別法」に該当し住民投票を実施すべきものかどうかは、地方自治法第261条の規定により、国会の最終可決院での可決後に同院議長から内閣総理大臣へ「特別法である」旨の通知がなされるかどうかで決まる。当該法案の初制定時及び実質的な内容の変更を伴う改正法案の場合はその通知が付されて住民投票が実施されるが、たとえば既に特別法として住民投票を経て制定された法律条文中の語句の一部変更(例:行政組織再編に伴う大臣職名部分の変更等)に過ぎない場合は当該議長の(住民投票は必要ないとの)判断により当該通知を付さないため、住民投票は実施されずに通常の一部改正法として速やかに上奏・公布される。住民投票の例の最後の「伊東国際観光温泉文化都市建設法の一部を改正する法律」には実質的な内容の改正が含まれていたため(一部改正法としては唯一)当該通知が行われ住民投票が実施されたが、その他の軽微な一部改正(下記のいくつかの法律に複数回行われている)には当該通知が付されなかったためいずれも住民投票は実施されなかった。
制定の手続は、国会議決→最終可決院議長から内閣総理大臣へ「日本国憲法第95条に規定する特別法である」旨の通知→住民投票(成立)→公布の順で実施される。
これらの法律の公布文の冒頭には「日本国憲法第九十五条に基く」との宣言が冠されている。その後、法令用語の表記方法変更により「基く」は「基づく」と表記するようになったため、今後特別法が制定される場合は「日本国憲法第九十五条に基づく」と冠されるものと考えられる。
過去に19例ある。今まで住民投票を経た特別法はいずれも地方自治体に財政的優遇措置を与えるものであったため、全て賛成多数によって成立している。
住民投票を経た特別法の例国会議決日住民投票日特別法地方自治体賛成反対結果公布日法令番号
1949年5月6日7月7日広島平和記念都市建設法案広島市718926340成立8月6日昭和24年法律第219号
1949年5月6日7月7日長崎国際文化都市建設法案長崎市1340成立8月9日昭和24年法律第220号
1950年4月20日6月5日首都建設法案東京都102579067655成立6月28日昭和25年法律第219号
1950年4月11日6月4日旧軍港市転換法案横須賀市成立6月28日昭和25年法律第220号
6月4日呉市成立
6月4日佐世保市成立
6月4日舞鶴市成立
1950年4月7日6月1日別府国際観光温泉文化都市建設法案別府市294879858成立7月18日昭和25年法律第221号
1950年5月1日6月15日伊東国際観光温泉文化都市建設法案伊東市65343652成立7月25日昭和25年法律第222号
1950年5月1日?熱海国際観光温泉文化都市建設法案熱海市成立8月1日昭和25年法律第233号