稲作
田植え前の田(春・篠山市)
田植え後の水田(初夏)
水田(夏)
水田遠景(夏)
スズメなどによる食害を防ぐため反射テープを張った田(秋)
稲穂(秋)
刈田と稲の天日干し(秋)
田(た)は、穀物を栽培するために区画された農地をいう。
目次
1 定義・概要
2 農業形態としての「田」
3 文字文化としての「田」
4 その他に「田」と呼ばれるもの
5 田にまつわる信仰
6 環境としての「田」
7 脚注
8 関連項目
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説文解字に「穀を樹うるを田という」とあり、漢字圏では田を「穀物を栽培するために区画された農地」の語義で使用することが一般的である。
日本で単に「田」「水田」というと特にイネを栽培する稲田(水田)を指すことが多いが、水田形式の圃場で栽培される作物は稲だけではなかった。穀物では稗は畑と並んで水田でも盛んに栽培され、特に稲の栽培に適さない冷水しか供給されない水田では重要な作物であった。また、蓮、慈姑、田芋といった栄養生殖によって増殖される芋類、根菜類も重要な水田作物であり、大陸における稲作の起源をこうした芋栽培の水田から派生したものとみる仮説もある。
また、山間部のワサビ田では、水路や沢の水を利用して水ワサビが栽培される。
稲田は、日本や中国、タイ王国など稲作栽培が広まっているアジアを中心に見られる。
日本における「田」
「田」は日本では特に稲田を指すことが多いが、当初は、他の漢字圏と同様、日本でも田は穀物農地を意味する語だった。それが次第に稲田に限定して使用されるようになり、そのため、穀物などの農地一般を表す「畑」という漢字が作られた。日本では田を田んぼ(田圃)とも呼ぶ。
日本の土質は火山灰の影響や降水量が多いことによって酸性が強いため土壌の鉱物成分から植物にとって細胞毒性のあるアルミニウムイオンが溶出し易く、またさらに、火山灰起原の粘土鉱物アロフェンが土中のリン酸を不可逆的に吸着して不溶化するので、畑作農耕には不向きである面がある。それにひきかえ、山地から流出した栄養塩類や施肥した肥料など水に溶けた養分を蓄える水田という形態は、日本の状況に適合している。また、もろもろの穀物のうち、日本の歴史時代を通じて米は特に宗教的に聖化されて儀礼に用いられ、貢納においても重視されたため、広域流通における通貨的な役割を果たすようになっていった。このため、中国大陸に見られる粟や黍といった雑穀栽培や冬作の麦などの米以外の穀物栽培も食糧生産上は重要であり、実際稲作農業を補完する重要な役割を果たしていたものの、稲作水田は別格で重視されることとなり、それに伴い「田」も稲作水田を意味するようになったと推測されている。
水を張っている田を水田という。 山地で階段状になっている田を、棚田(千枚田)という。また農耕をやめている田は、休耕田である。
また特殊な用途のために耕作されている田もあり、例えば、神社の豊穣祭などに供えるための稲を育てている田などもある。神田といい、江戸時代より前は年貢などの諸税が免除されたため、税から逃れる目的で、百姓が神社へ田を寄進し、各地に神田が設定された。東京の古い地名の「神田」はこれに由来するとされる。
苗植え前の水を張った田を代田(しろた)、苗植えを終えた田を代満(しろみて)という。
稲以外の穀物を作る畑を水の無い田と言うことで陸田と呼ぶこともある。
水田は、畝(うね)で囲まれた面ということになり、境の畝を畦畔(けいはん)と呼び、隣の田との境と、高低差を確保することになる。水の出入りの為、取水口と排水口(水口)があり、それぞれが離れた位置にあるのが普通である。流量を規制するための板なり弁が設けられ、水位を調整することが出来るようになっている。温度管理の為にかけ流しを行ったり、溜めておくなりの用途に用いられる。
農業機械が出入りするための乗り入れ路が付けられている場合もあり、コンバインやトラクターが出入りできるようになっている。重機械が入る場合は、深いところまで耕すと機械が沈むので、一定の深さまでしか耕さないことがある。
平地で大きな面積を確保できる場合も、一定の面積で区切ることが管理上有効であり、面積の単位としての「反(たん)」が田んぼの一枚であることが多い。1反で300坪。
稲を植えることを、田植えという。かつては田に長い糸を張り、糸に沿って手で稲の苗を一本ずつ植えていた。非常に重労働であるため、江戸時代には近隣の者を雇って田植えを行うことが盛んだった。戦後は田植え機が普及し、田植え作業はほぼ機械化された。ただし、田の隅部や小さい田などの機械で田植えできない箇所は、いまだに人力で田植えが行われている。
不動産としての土地の地目としては「田」であることが多く、日本では取引に際しては農業委員会の許可が必要な場合があり、買い受けるには一定の資格が必要である。