国家の承認(こっかのしょうにん)とは、新しく成立した国を正式に主権のある国家であると認めることを指す。ただし、国家の成立の方法や承認の条件などについて学説による対立がある。
目次
1 概説
2 政治性
3 国家承認と政府承認
3.1 国家承認
3.2 政府承認
3.3 交戦団体承認
4 国家の要件
4.1 国家の要件として掲げられるいくつかの事項
4.2 国家の要件の意義
4.3 国家の要件と国家承認に関して
5 国家承認・政府承認の方法
6 効果
7 関連項目
8 外部リンク
//
分離独立や国家の分裂などにより、新しい国が誕生した際に、その国を主権国家としての法的な権利を認めることの表明を行う場合がある。その表明が国家の承認である。承認の方法には、広報的な表明である明示的な承認や国際機構への加盟を認める黙示的な承認の二種類がある。国家の承認の要件には、実効性の要件としての「国家の三要素」(領域・住民・実効的支配)が慣習国際法の観点から考えられている。
実際に、国家の承認は、承認する側の政治的な背景により判断が大きく、如実に関係する。そのため、国家の要件を満たしているにも拘らず、多数の国家から承認を得られていない国家も存在する。その例として、中華人民共和国と中華民国(台湾)の択一関係が挙げられる。
中華人民共和国と中華民国は、それぞれ中国全土(大陸中国と台湾を含む全土)の領有権を主張している。どちらかの政府を承認することは、その対象国の領有主張を是認することを前提とするものとなり、もうひとつの政府との敵対関係を示すこととなってしまう。そのため、「両方を承認する」のは困難となり、政治的力関係からより有力な側のみ承認するということになりがちである。同じような例はほかに、西サハラなどがある。ただしこの場合、「政治的力学に基づく選択」であり、「国家の歴史的正当性に基づく選択」とは一致しない場合があることは、当然である。
国家に関わる承認は、三つの異なる様相があるとされる。一つは同じ地域に先行する国家がない場合で「国家承認」と呼ばれる。もう一つは、同じ地域に先行する別国家があった場合であって「政府承認」と呼ばれる。また、内戦などで事態が確定しない間、暫定的に行われる「交戦団体承認」もある。
ここでいう「政府」とは、中央政府(連邦制国家における連邦政府も含む)。また、三権分立などによって中央政府の権限が複数の機関に分かれている場合も、全てまとめて一つの政府とみなす。なぜなら、いずれの機関においても一つの憲法による秩序に基づいて運営されているからである。したがって、一つの国家においては、一つの中央政府しか存在しえない。
なお、一つの国家に二つの政府が出現するに至り両者の実行支配する地域が長期にわたって固定された事例としては台湾問題がある。その場合、各国はいずれかの政府を承認するか、もしくは、もう片方を新国家として承認するのか選択を迫られる。
国家承認新たな国家が成立した場合に、その国家を国際法において主体的存在としての国家であることを認めることを国家承認(こっかしょうにん)という。具体的には、無政府地帯の新規政府樹立や既存国家の一部地域の分離独立(国家の独立)などの場合を意味する。
政府承認それまで国家を統治してきた政府が、革命・クーデター・内戦などによって崩壊した後、異なる勢力が当該国家を代表する政府を名乗った場合、それを認めることを政府承認(せいふしょうにん)という。選挙による政権交代などによって正当な国内手続きを踏んだ新政府の成立の場合は、こうした承認の必要がない。また、同じ地域に先行する国家があった場合に、新国家を承認するケースも政府承認にあたる。つまり、新国家は先行の国家を継承することが求められる。実質的に政府が交代したと看做されるからである。仮に新国家が先行国家において締結した条約等の継承を拒否した場合は、第三国との係争が生じて承認が得られにくくなる。ソビエト連邦のように旧国家が複数に分裂した場合は、通常、一ヶ国のみ(ソ連の場合はロシア)が先行国家を継承する。ただし、債務などの経済財政事項は、先行国家を構成していた当該国間で協議のうえ決定されることもある。
交戦団体承認反乱や内乱が持続した場合は、反乱団体にも本来の正統な政府と同等の交戦当事者として資格が与えられる。そうしなければ、戦闘中における戦時国際法(ハーグ陸戦条約、ジュネーヴ条約など)の遵守や和平交渉が期待できないからである。当然、交戦団体承認を行った国家もその内戦に関して国家間の戦争と同等の義務を負うことになる。ただし、第二次世界大戦後に形成された慣行や国際人道法(ジュネーヴ諸条約 (1949年)など)は交戦団体承認の有無に関わらず、いかなる紛争当事者も国際人道法の遵守を求めている。
国家として承認するかどうかを考える上において「国家の要件(必要な条件)」が前提となる。国家の要件だけではなく、様々な他の条件も加味して各国家が当該国家を承認するかどうかが決定されるが、「国家の要件を満たしているかどうか」が大きな要素であることは間違いない。