呼吸
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呼吸(こきゅう)とは以下の二種類の意味がある。
細胞呼吸:細胞が最終電子受容体として酸素を用い、二酸化炭素(CO2)を放出する異化代謝系。内呼吸ともいう。

外呼吸:多細胞生物体が外界から酸素を取り入れ、体内で消費して二酸化炭素(CO2)を放出すること。

細胞呼吸については、広義には最終電子受容体として酸素を用いない『嫌気呼吸』もその意味合いに含まれるが、通例では呼吸とは酸素を用いる好気呼吸(こうきこきゅう)として用いる。
目次

1 細胞呼吸

1.1 細胞呼吸の代謝系


2 外呼吸

3 脚注

4 関連項目

5 外部リンク

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細胞呼吸

酸素地球誕生時の大気には存在していなかった。しかし、原始の海に生命の起源があり、植物のような光合成を行うものが出現したことで大気には徐々に酸素が蓄積された。

本来、酸素は強い酸化力をもった毒性の強い気体である。しかし、一部の生物は酸素を利用した酸化過程を通じて大きなエネルギーを利用できるようになった。現在、酸素を利用した代謝のできる生物は細胞内のミトコンドリアにより炭水化物を酸化し、最終産物として二酸化炭素(CO2)と水を排出する。青酸シアン化水素酸)はミトコンドリアの電子伝達系を阻害するため、好気的な生物にとって猛毒である。狭義には好気呼吸(こうきこきゅう)、酸素呼吸(さんそこきゅう)など酸素を用いる呼吸となる。広義には細胞のおこなう異化代謝系すべてを指すが、狭義に用いられる場合が多い。


細胞呼吸の代謝系

呼吸代謝には大きく分けて以下の3つの代謝が関わる。糖類はこれらの代謝系によって二酸化炭素(CO2)および水にまで分解され、その過程でATPが生産される。
解糖系
細胞質基質で行われる酸素を使わない糖の酸化過程。
クエン酸回路
ピルビン酸などから変換されたアセチルCoA二酸化炭素に分解する酸化過程。真核生物ではミトコンドリア基質で、原核生物では細胞膜近辺で行われる。
酸化的リン酸化
NADHなどの水素受容体を酸化し、酸素に電子を伝えて水を生成する過程を電子伝達系と呼ぶ(光合成の電子伝達系と区別するため、呼吸鎖とも呼ばれる)。それと共役してATP合成酵素によりATPが生成する。真核生物ではミトコンドリア内膜で、原核生物では細胞膜で行われる。高校の生物では「酸化的リン酸化」という言葉を用いず、呼吸鎖とATP合成酵素反応全体を含めて「電子伝達系」と呼ぶ。

なお脂肪酸などの有機酸の酸化においては、解糖系の代わりにβ酸化(大部分の反応がミトコンドリア基質で行われる)がかかわる。 以下にグルコース1分子を代表として、ミトコンドリアを有する真核生物の細胞呼吸における物質の収支を示す (高エネルギーリン酸結合形成における脱水と、NADHを除くpHバランスに伴うプロトンの収支は省略)。
解糖系 (10段階の酵素反応より成る)
グルコース (C6H12O6) + 2 NAD+ + 2 ADP + 2 Pi → 2 ピルビン酸 (C3H4O3) + 2 NADH + 2 ATP + 2 H+ピルビン酸から乳酸エタノールへと発酵する過程も解糖系に含むのが普通である。
クエン酸回路

ピルビン酸脱炭酸反応
2 ピルビン酸 (C3H4O3) + 2 NAD+ + 2 HSCoA → 2 アセチルCoA (CH3COSCoA) + 2 CO2 + 2 NADH + 2 H+解糖系とクエン酸回路を結ぶ反応で、しばしばクエン酸回路にも解糖系にも分類される。
狭義のクエン酸回路 (10段階の酵素反応より成る)
2 アセチルCoA (CH3COSCoA) + 6 NAD+ + 2 FAD + 2 GTP + 2 Pi + 6 H2O → 4 CO2 + 6 NADH + 6 H+ + 2 FADH2 + 2 GTP + 2 HSCoAスクシニルCoA合成酵素を通じてGTPからは当量のATPが合成される。
酸化的リン酸化

電子伝達系 (4種類の呼吸鎖複合体による3段階の酸化還元反応が関与する)
10 NADH + 10 H+ + 2 FADH2 + 6 O2 → 10 NAD+ + 2 FAD + 12 H2O
ATP合成酵素によるATP合成反応
(10 NADH由来): 30 ADP + 30 Pi → 30 ATP(2 FADH2由来): 4 ADP + 4 Pi → 4 ATPNADHからは約3当量、FADH2からは約2当量のATPが合成されるとされてきた。[1]

以上の反応をすべてまとめるとグルコース (C6H12O6) + 6 O2 + 38 ADP + 38 Pi → 6 CO2 + 6 H2O + 38 ATP

この式は高校生物で学習する呼吸の収支式と呼ばれる。酵素による約25の反応がこの代謝には関わっており、グルコースの持つエネルギーの有効利用に役立っている。グルコースの酸化反応(C6H12O6 + 6 O2 (g) → 6 CO2 (g) + 6 H2O (l))における標準反応ギブズ自由エネルギー(ΔG´°)は?2873.4 kJ/molであるのに対し、ATPの加水分解反応(ATP + H2O → ADP + Pi, pMg = 3)ではΔG´° = ?31.56 kJ/molであり、38 ATPの生成により約41.7%の効率でグルコースの自由エネルギーを変換していることになる。

ただし近年の測定結果や理論面からは、グルコース1分子から38当量のATPが合成されるとする解釈は支持されていない。以下問題点を列挙すると:

心筋や肝臓などの細胞では、解凍系で合成されたNADHはリンゴ酸アスパラギン酸シャトル(Glu/Aspシャトル)を通じてミトコンドリア内での当量のNADH合成に利用されるが、通常の細胞では、NADHはグリセロリン酸シャトル(αGPシャトル)を通じてミトコンドリア内での当量のFADH2合成に利用される。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Smilegreen