吊り橋(つりばし)は、橋の形式の一種で、綱などの張力で吊り下げ支える形式のもの。漢字では、吊橋、釣り橋・釣橋とも表記される。
目次
1 概説
1.1 古典的、簡易な吊り橋
1.2 現代の吊り橋
2 大規模橋の構造
3 世界の長大橋
4 中央径間世界最長の吊り橋の変遷
5 中央径間日本最長の吊り橋の変遷
6 類似構築物
7 吊橋の強度
8 関連項目
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概説吊り橋と斜張橋。両者の差異については、斜張橋#吊り橋との相違を参照。
一般的な用法としては、小さな谷や川に縄ばしごを渡しただけのような簡易なものから、海峡などに架けられる大規模なものまで吊り橋と称する。斜張橋も張力で支えているため、広義には吊り橋の一種とも言える。
吊り橋は狭義、すなわち現代の土木工学分野における分類においては、2本の主塔とそれに渡される2組のメインケーブルを持ち、そのケーブルから鉛直に垂らされたハンガーロープで桁を支持する橋を指す。桁はその上に床板を置き、道路や鉄道、人などが通る部分である。これに対し、ハンガーロープがなく、複数のケーブルを斜めに張って直接桁を支えるものを斜張橋といい、区別される。
吊り橋はその構造上、ケーブルは垂れさがり放物線を描くことになるが、ハンガーロープとの2段構成 とすることで桁を水平に近い状態に保つ。なお、桁を取り付ける前のケーブルだけの状態では、懸垂線というカーブを描く。
いずれも現代のものは、ケーブル、ハンガーロープ、桁は鋼製、主塔は鋼もしくは鉄筋コンクリート製である。 長大な橋に向いており、世界の長い橋の上位の多くを吊り橋が占める。一方風や加重によって揺れやすいという欠点ももつ。
古典的、簡易な吊り橋かずら橋谷瀬の吊り橋
古典的な吊り橋としては、徳島県西祖谷山村(市町村合併により2006年3月から三好市)にある祖谷のかずら橋がある。植物のつるで両岸から本体を支える構造で原始的な斜張橋と言える。現在のかずら橋は安全のため鋼のワイヤーで補強されているものの本来はその名の通り植物のしらくちかずら(サルナシ)のみが用いられる。桁部分もかずらで丸太、割木を繋いだだけのはしご状で人専用である。
簡易なものは登山道などで見られ、多くは人専用である。主塔が無く岩盤からケーブルを架設したりハンガーロープがなく直接本体を支えるものなどもあり、桁も板を繋いだだけの簡易なもののことがある。こういったものは吊床板橋と呼ばれる。揺れを抑えるため横、あるいは下方からもケーブルで補強している場合もある。
日本において、かっては釣橋の語が使われていたが、後述のような西欧からの近代的な橋が導入されて以降、吊り橋、吊橋の語が使われるようになったようである。
現代の吊り橋ブルックリン橋(カリアー&アイビス印刷社、1877年)
現在の長大な吊り橋の起源は、アメリカのブルックリン橋とされる。1883年に完成したこの橋は、ケーブルの材料として鋼を使いかつ撚り合わせのない平行線ケーブルを用いた。また塔の海底部の工事にケーソンが用いられるなど、現代の工法の多くがこの時代に開発された。またブルックリン橋は塔から桁への斜めのケーブルも持ち斜張橋との複合構造でもある。
その後に造られたジョージ・ワシントン橋でスパン(後述)が1000mを超え、さらにゴールデンゲート橋、ベラザノ・ナローズ橋などの建設が続いた。1981年にイギリスのハンバー橋が完成するまで、長期に渡り世界一の座をアメリカが独占した。
大規模橋の構造塔、メインケーブル、ハンガーロープ(明石海峡大橋)ケーブル実物大断面模型(明石海峡大橋)アンカーレイジ(明石海峡大橋)
主塔
メインケーブルをささえる塔で、両岸もしくは岸から全長の1/4くらいまでの位置に設けられる。一組の塔は桁を挟むように建つ2本の柱をトラスまたはラーメン構造で繋いでいる。基礎が水中になる場合は、ケーソンと呼ばれる鉄の函を沈めコンクリートを流し込み構築する場合が多い。水流を妨げないため複数の柱で構成する場合もある。(大鳴門橋など)橋の長さは、全長ではなく支点間の距離である支間(スパンと言う)のうち最長となる中央径間(センタースパンという)でもって序列されることが多い。吊り橋ではこの主塔間の距離が中央径間となる。塔とアンカレイジの間の距離は側径間という。塔は通常2組であるが、3組の例もある。(小鳴門橋など)
メインケーブル
主塔に架けられ、ハンガーロープを通じて桁をつり下げる、吊り橋の最も重要な要素である。材質としては鋼製のワイヤー(ピアノ線)が用いられ、これを平行に束ねる。少し古いものでは鋼板を束ねたものも用いられたことがある。この材質の進歩にともないより長大な橋が架けられるようになった。明石海峡大橋のものでは1mm2あたり180kgの引張強度がある。