右脳
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脳機能局在論(のうきのうきょくざいろん)とは、(特に大脳皮質)が部分ごとに違う機能を担っているとする説のことである。
目次

1 歴史

2 領野

2.1 初期知覚領野

2.1.1 視覚

2.1.2 聴覚

2.1.3 体性感覚・自己運動

2.1.4 嗅覚

2.1.5 味覚


2.2 言語野

2.3 左右半球

2.4 大脳辺縁系


3 手法

4 解剖的構造との関係

5 現在注目されている問題

5.1 局在の細かさ

5.2 局在の排他性(独立性)

5.3 局在の堅固さ(可塑性)


6 右脳・左脳論

7 関連項目

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歴史

脳機能局在論の「はしり」とされるのは、ガルの骨相学という説である。この説は、脳の特定の部位が特定の機能を担い、その機能が発達するとその部位が肥大して頭蓋骨のふくらみとなって現れるとする説である。19世紀初頭に流行したものの、学説はガルの思いつきや思い込みによるところが大きく、科学的根拠を見出すことができなかったためこの説自体は否定された。

脳機能局在論が再び注目を集めるのは、19世紀中葉から後半にかけてブローカやウェルニッケの失語症と脳損傷の関係調査によって言語中枢とされる部位の推定が行われて以降である。ブロードマンによる大脳新皮質の細胞構築学的分類、通称ブロードマンの脳地図も脳機能局在論を助けることになる。

脳損傷と精神機能失調の関係調査は20世紀初頭の第一次世界大戦で大きく進んだ。この戦争ではの性能向上で銃弾の貫通力が増加した結果、脳の非常に限局した部分を損傷する患者が多く現れた。これらの患者を治療する過程で、脳の損傷部位と精神機能失調の間に特定の関連があることが調べられた。この後も、大きな戦争のたびに調査が進むことになる。

また20世紀前半には統合失調症患者を中心にロボトミーによる精神疾患治療が試みられ、前頭葉と高次精神機能の関係が論じられた。ロボトミーは副作用が大きいため現在は行われていない。

1960年代からは、CTによる弱侵襲的方法による脳の断面像が得られるようになり、脳損傷と精神機能失調の関係は生きた患者で直接調べられるようになり、治療に大きく貢献した。同時期、動物実験(まれにてんかん治療でヒトでも)において微小電極法を用いた神経細胞発火の直接観察、あるいはトレーサーを用いての神経路追跡によって、個々の神経細胞の機能や相互接続が調べられるようになった。

1980年代後半から、MRIによる脳疾患の解析的研究が進むとともに、空間解像度が1mmと微細な構造を可視化することができるようになった。19世紀にガルの脳解剖研究によって発見された皮質間を結ぶ白質の連絡路は、1990年代に入るとMRIの撮像法の進歩によって、非侵襲的に描写することが可能になった。

1990年代以降は、医学界では脳の形態的MRIが実用化される一方、非侵襲的に脳の血流を観測するなどの方法により、脳の活動をリアルタイムに調べる脳機能イメージングの手法が発達した。この技術により、脳に損傷の無い健常者での脳機能測定ができるようになり、脳機能局在論は精緻化・複雑化が進行している。ただし、機能的MRIや機能的PETなどの方法では時空間的解像度が低く神経細胞の活動や接続を調べるにはあまりにも不十分である。データの解釈でも精神物理学の後追いの領域を出ず、独自のドグマを生み出すには至っていない。このことから、実際の医学的治療に役立ち、現代の科学的知見に基づいた測定法であるものの、科学的理論としては骨相学から大きな飛躍は無いという批判も存在する。

しかし2000年代に入り、脳機能局在論の信憑性が問われ始めている。脳機能イメージングの再現性が、脳の形態的MRIに比べて、著しく乏しいためである。この結果、脳機能局在と関連して、胎児から超高齢者までの一生のレベルで脳の形態的変化が、どのように推移するのかもひとつのテーマになっている。


領野

以下に脳機能が局在していると見られている各領野をヒト大脳皮質を中心に示す。


初期知覚領野


視覚

視覚的情報は網膜でとらえられた後視床の外側膝状体を経由して初期視覚野に伝えられる(初期視覚野以外にも上丘などを経由して眼球に投射する・される領野は存在する)。ヒトの場合、右視野からは左半球に、左視野からは右半球に投射され、これを半交叉という。片側の半球に左右視野からの視神経が両方とも投射されるため、両眼視差処理に関係すると言われている。

一次視覚野(V1)は後頭葉にあり、ブロードマンの脳地図では17に対応する。その後V2、V3、MT(Medial Temporal)といった経路への情報の流れがあるといわれている。V1、V2などの初期視覚野では網膜における相対的位置関係が再現されており、レチノトピーと呼ばれる。

サル目のMT野は微小電極法やfMRIによる神経活動測定の結果、複雑な視覚的運動に関係していることがわかってきた。また視覚的運動が知覚できない運動盲患者では、MT野に損傷が見られるという知見も存在する。V4は色に関連した情報処理が行われていると見られている。下側頭葉皮質ではやや複雑な形態認識に関与する細胞の集合が見つかっている。ただし、これらの結果は色や運動に完全に特化した領野があることを意味するものではなく、MTは運動処理の一部に関与しており、色の処理はV4の機能の一部であるとするのが一般的な見方である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki