インド・ヨーロッパ語族 (インド・ヨーロッパごぞく) は言語の分類の一つであり、サンスクリット語、ペルシア語、トカラ語、ギリシア語、ラテン語、英語、バルト諸語、ロシア語、アルメニア語、アルバニア語などを含む語族である。このほか古代の小アジア(アナトリア)とその他の地域に少数の言語がインド・ヨーロッパ語として認められている。
日本では、「印欧語族」とも呼ばれる。以前はアーリヤ語族(Aryan)という名称も用いられたが、これはインド・イラン語派の総称に用いられ、今は使用しない。
目次
1 概要
2 所属判断基準
3 語派
3.1 アナトリア語派
3.2 アルバニア語
3.3 イリュリア語派?
3.4 アルメニア語
3.5 イタリック語派
3.6 インド・イラン語派
3.7 ギリシア語
3.8 ケルト語派
3.9 ゲルマン語派
3.10 スラヴ語派
3.11 トカラ語
3.12 バルト語派
4 分布
5 起源
6 関連項目
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インド・ヨーロッパ語族に属する諸言語の起源はインド・ヨーロッパ祖語(印欧祖語)であると考えられている。印欧祖語の分化と使用地域の拡散が始まったのは6,000年前とも8,000年前とも言われている。その祖地は現在のウクライナ、またトルコだったという説があるが、言語的資料が増えた紀元前後の時代には既にヨーロッパからアジアまで広く分布していた。
大航海時代以降、特に近代以後には南北アメリカ大陸やアフリカ、オセアニアにも話者が移住して使用地域を大きく広げた。現在インド・ヨーロッパ語族の言語は100以上の国家で公用語となり、各言語の母語話者人口の合計は25億人を超える。国際連合の6つの公用語のうち、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語はインド・ヨーロッパ語族である。
インド・ヨーロッパ語族は音韻的な特徴からケントゥム語派とサテム語派に大別される。なおこの「語派」は、通常の(ゲルマンやインド・イランのような)語派より大きい。またこの両グループについて語群という言葉も使われるが、「語群」は通常の語派の下位分類にも用いられる。
分化が始まった時点での印欧祖語は、多様な語形変化を持つ言語だったと想定されている。しかし時代が下り言語の分化が大きくなると、各言語は概して複雑な語形変化を単純化させていった。
数
印欧祖語には文法的な数には単数、複数の他、対になっているものを表す「双数」があったと考えられているが、このうち双数は古代インドの言語や古典ギリシア語、古い時代のスラヴ語に残ったものの、のちの時代にはほとんどの言語で消滅した。現在でも双数を使うのはスロベニア語、ソルブ語、スコットランド・ゲール語、ウェールズ語、ブルトン語などごくわずかに過ぎない。
性
印欧祖語にあったと考えられる男性、女性、中性という3つの文法的な性の区別は、現代でもスラブ諸語やドイツ語、アイスランド語などには残るが、他の多くの言語では変化している。例えば、ロマンス諸語やヒンディー語では男性と女性のみになり、スウェーデン語やオランダ語では男性と女性が合流した「通性」と中性の二つの性が残っている。英語やペルシア語、アルメニア語では名詞の文法的な性の区別はほぼ消滅した。
格
印欧祖語は、名詞・形容詞等の文法的な格として主格、対格、属格、与格、具格、奪格、処格、呼格の8つを区別していたと考えられている。紀元前のインド・ヨーロッパ諸語にはこれらを残す言語がいくつかあったが、後世には特に名詞・形容詞については概ね区別される格の種類を減らしている。スラヴ諸語ではチェコ語やポーランド語の7格、ロシア語の6格など豊富な格変化を残す言語があり、ドイツ語、アイスランド語では4つの格が残っているが、ヒンディー語、ルーマニア語などは2つの格を持つのみである。