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占有権(せんゆうけん)とは、物を事実上支配する状態(占有)そのものを法律要件として生ずる物権である。
民法について以下では、条数のみ記載する。
目次
1 概要
2 占有の態様
2.1 自主占有と他主占有
2.2 自己占有と代理占有
2.3 善意占有と悪意占有
3 占有の移転
4 占有の承継
5 占有権の効力
5.1 本権の推定
5.2 善意占有者の果実収取権と悪意占有者の果実の償還
5.3 費用償還請求権
5.4 占有者の損害賠償
5.5 即時取得
5.6 占有訴権
6 占有権の消滅
7 準占有
8 関連項目
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占有権は、物に対する事実上の支配を社会の秩序維持のために保護することを目的とし、占有を正当づける権利たる所有権、地上権、質権、賃借権等の本権と区別され、仮の権利ともいわれる。
占有権の取得は自己のためにする意思をもって物を所持することによって生じ( ⇒180条)、物権的請求権は生じない。
占有者は適法な実質的権利をもつと推定され、占有訴権によって外部からの侵害を排除できる。
歴史的にはローマ法とゲルマン法の両方に由来しており、このことが占有権という概念を複雑なものにしている。
前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定される( ⇒186条2項)。
占有は、占有している人がどのような意思をもって物を所持しているかにより、自主占有と他主占有に大別される。
自主占有:所有の意思で物を所持する場合
他主占有:所有の意思がなく物を所持する場合(他人の物を預かったり、借りたりする場合)
所有権の取得時効は、所有の意思をもってする自主占有でなければ認められない。 なお、占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ公然と占有をするものと推定される( ⇒186条1項)。
他主占有を自主占有に変更する(占有態様変更)ための要件については ⇒185条を参照。相続が同条にいう新権原として認められるかどうか、という論点で特に問題になる。
自己占有と代理占有
自己占有(直接占有):占有者本人は、他人のために一時占有する権利義務を持ち物を所持している占有。
質権者・賃借人・受寄者等。
代理占有(間接占有):本人が他人(占有代理人)の直接占有を通じて取得する占有( ⇒181条)。本人にとっては自主占有であるが、占有代理人にとっては他主占有にすぎない(ただし、判例は占有代理人には本人のためにする意思と自己のためにする意思が併存していてもよいとする)。
例:賃貸人・寄託者等。
代理占有権の消滅事由( ⇒204条)
善意占有と悪意占有
善意占有:本権に基づかない占有のうち、占有者が本権があると誤信して占有している場合
占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ公然と占有をするものと推定される( ⇒186条1項)。
悪意占有:本権に基づかない占有のうち、占有者が本権に基づかないことを知り、または本権の有無について疑いを有しながら占有している場合
※本権に基づく占有には善意占有と悪意占有の区別はないことに注意を要する。
占有の移転を、引渡しという。民法第二編第二章には、引渡しの方法として、以下の方法が規定されている。
現実の引渡し( ⇒182条1項)
簡易の引渡し(182条2項)
占有改定( ⇒183条)
指図による占有移転( ⇒184条)
その他、相続や合併によって占有が移転することもある(ただし ⇒185条の規制に服する)。
占有者の承継人は、前の占有者の占有権を併せて主張することもできる( ⇒187条1項、ただし瑕疵も継承する。同条2項)。 これらは時効取得の要件充足に役立つものである。