十一面観音
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新薬師寺 奈良国立博物館寄託(平安)十一面観音菩薩来迎図(鎌倉時代)

十一面観音(じゅういちめんかんのん)、梵名エーカダシャ・ムカ (??????? [ekadaza mukha])は、仏教の信仰対象である菩薩の一尊。梵名は文字通り「11の顔」の意である。観音菩薩の変化身(へんげしん)の一つであり、六観音の一つでもある。玄奘訳の「十一面神咒心経」にその像容が明らかにされているとおり、本体の顔以外に頭上に11の顔を持つ菩薩である。
目次

1 概要

2 歴史的由来

3 日本での信仰

4 像容

5 真言

6 陀羅尼

7 日本におけるおもな作例

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概要

三昧耶形水瓶、開蓮華。種子(種字)はキャ(ka)、キリーク(hriiH)。

大光普照(だいこうふしょう)観音とも呼ばれ、頭上の11面のうち、前後左右の10面は菩薩修行の階位である十地を表し、最上部の仏面は仏果を表すとされるが、これは衆生の十一品類の無明煩悩を断ち、仏果を開かしめる功徳を表すとされる。「救わで止まんじ」の誓願を持つがゆえに、大悲闡提とも呼ばれる。六観音の役割では、阿修羅道の衆生を摂化するという。

密教の尊格であり、密教経典(金剛乗経典)の十一面観自在菩薩心密言念誦儀軌経(不空訳)、仏説十一面観世音神咒経、十一面神咒心経(玄奘訳)に説かれている。

日本語では「十一面観音菩薩」、「十一面観世音菩薩」などさまざまな呼び方があるが、国宝、重要文化財等の指定名称は「十一面観音」となっている。


歴史的由来

バラモン教の十一面の暴神であるEkadaca-rudra(漢訳:十一面荒神)が仏教に取り入れられて、観音菩薩の変化身とされたとする説が最も有力である。


日本での信仰

伝承では、奈良時代の修験道僧である泰澄は、幼少より十一面観音を念じて苦修練行に励み、霊場として名高い白山を開山、十一面観音を本地とする妙理権現を感得した。平安時代以降、真言宗天台宗の両教を修めた宗叡は、この妙理権現を比叡山延暦寺に遷座し、客人権現として山王七社の一つに数えられている。


像容

インドにおける作例は顕著なものは無い。唐の玄奘訳の「十一面神咒心経」が流布したことにより、中国および日本でさかんに造像された。

日本では、奈良時代から十一面観音の造像・信仰はさかんに行われ、法隆寺金堂壁画(1949年の火災で焼損)中の十一面観音像が最古の作例と見なされる。奈良時代の作例としては他に奈良・聖林寺像(国宝。大神神社の神宮寺の大御輪寺伝来)京都・観音寺像(国宝)、奈良・薬師寺像(重文)などがある。東大寺二月堂の本尊も十一面観音であるが、古来厳重な秘仏であるため、その像容は明らかでない。同寺の年中行事である「お水取り」は、十一面観音に罪障の懺悔をする行事(十一面悔過法要)である。

十一面観音はその深い慈悲により衆生から一切の苦しみを抜き去る功徳を施す菩薩であるとされ、女神のような容姿に造られたものが多い。

多くの十一面観音像は頭部正面に、阿弥陀如来化仏(けぶつ)をいだき、頭上には仏面、菩薩面、瞋怒面(しんぬめん)、狗牙上出面(くげじょうしゅつめん)、大笑面など、人間の喜怒哀楽を表現した面を乗せ、右手を垂下し、左手には蓮華を生けた花瓶を持っている姿であることが多い。この像容は玄奘訳の「十一面神咒心経」に基づくものである。瞋怒面は眉を吊り上げ、口を「へ」の字に結んで怒りの表情を表したもの、狗牙上出面は結んだ唇の間から牙を現わすもの、大笑面は大口を開けて笑う表情を表したものである。通例、頭頂に仏面、頭上の正面側に菩薩面(3面)、左側(向かって右)に瞋怒面(3面)、右側(向かって左)に狗牙上出面(3面)、拝観者からは見えない背面に大笑面(1面)を表わす。

「十一面神咒心経」によれば、右手は垂下して数珠を持ち、左手には紅蓮を挿した花瓶を持つこととされている。ただし、彫像の場合は右手の数珠が省略ないし亡失したものが多い。

一方、真言宗豊山派総本山長谷寺本尊の十一面観音像は、左手には通常通り蓮華を生けた花瓶を持っているが、右手には大錫杖を持ち、岩の上に立っているのが最大の特徴で、豊山派の多くの寺院に安置された十一面観音像はこの像容となっているため、通常の十一面観音像と区別して「長谷寺式十一面観音」と呼ばれる。

空海によって伝えられた正純密教では、不空の訳経に基づく四臂像も造像されたが、日本における作例は二臂像が圧倒的に多い。


真言

金剛界 オン・ロケイジンバラ・キリク(Aum Lokesvara Hrih)

邦訳すれば、「オーム (聖音)、世自在尊よ 涅槃の証得)」という意味になる。

胎蔵界 オン マカ キャロニキャ ソワカ(Aum Maha Karuni Kaya Svaha)

邦訳すれば、「オーム (聖音)、大悲なる御方よ スヴァーハー (成就祈願)」という意味になる。

ただし、後者の真言は偽経仏説十一面観世音菩薩随願即得陀羅尼経に由来し、当経典は漢訳が存在しないため日本での編纂と推測される。


陀羅尼

オン・ダラダラ・ジリジリ・ドロドロ・イチバチ・シャレイ・シャレイハラシャレイ・ハラシャレイ・クソメイ・クソマバレイ・イリミリ・シリシチ・ジャラマハナヤ・ハラマシュダ・サタバ・マカキャロニキャ・ソワカ


日本におけるおもな作例

奈良時代

奈良・聖林寺像(国宝)

京都・観音寺像(国宝)

岐阜・美江寺像(重文)

平安時代

福井・羽賀寺像(重文)

滋賀・向源寺(渡岸寺)像(国宝)

滋賀・櫟野寺像(重文、坐像)

京都・六波羅蜜寺像(国宝)

大阪・道明寺像(国宝)

兵庫・中山寺 (宝塚市)像(重文)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki