勾留(こうりゅう、英語:detention)とは、被疑者もしくは被告人を刑事施設(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律3条3号)に拘禁する旨の裁判官もしくは裁判所の裁判(刑事訴訟法62条、79条などにいう「勾留」)、または、当該決定に基づき被疑者もしくは被告人を拘禁すること(同法80条、88条などにいう「勾留」)をいう。
報道機関の中には、拘置と表現するものもある。また、同音の拘留とは全くの別処分であるため、両者が紛らわしい場合に、勾留を「カギこうりゅう」、拘留を「テこうりゅう」と読み分ける場合がある。
目次
1 被疑者の勾留
1.1 要件
1.2 手続
1.3 勾留期間
1.4 勾留延長
1.5 接見交通
2 被告人の勾留
2.1 要件
2.2 手続
2.2.1 勾留中の被疑者が起訴された場合
2.2.2 勾留されていない被疑者が起訴された場合
2.3 勾留期間
2.4 保釈
3 救済
3.1 勾留理由開示
3.2 準抗告
3.3 抗告
3.4 勾留取消
3.5 執行停止
4 未決勾留日数の算入
5 関連項目
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被疑者の勾留の要件は、犯罪の嫌疑、勾留の理由、勾留の必要性である(刑事訴訟法207条1項、60条)。
犯罪の嫌疑
被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(刑事訴訟法207条1項、60条1項柱書)を、犯罪の嫌疑という。被疑者の勾留の要件としての犯罪の嫌疑は、逮捕状による逮捕の要件としての嫌疑(同法199条1項本文)よりも高度な嫌疑が必要であるが,緊急逮捕の要件としての「罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由」(同法210条1項前段)よりその程度は低くてよいとされる。なお、第一審で無罪判決を受けた場合において、控訴裁判所が勾留する場合は、無罪判決の存在を十分に踏まえて慎重になされなければならず、嫌疑の程度としては、第一審段階におけるものよりも強いものが要求される(最決2007年12月13日)。
勾留の理由
刑事訴訟法60条1項各号所定の事由を、勾留の理由という(犯罪の嫌疑を含めて「勾留の理由」ということもある)。
住居不定
被疑者が定まった住居を有しない(同項1号)ことを、住居不定という。刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪については30万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件(過失傷害(刑法209条)など)については、住居不定でなければ、被疑者を勾留することができない(刑事訴訟法207条1項、60条3項)。これら以外の法令の罪については、2万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪(軽犯罪法1条各号所定の罪など)についても、同様である(刑事訴訟法207条1項、60条3項かっこ書)。
罪証隠滅のおそれ
被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある(同項2号)ことを、罪証隠滅のおそれという。これが広く用いられている。
逃亡のおそれ
被疑者が現に逃亡したときだけでなく、逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるときにも、勾留の理由があるとされる(同項3号)。この後者の場合を、逃亡のおそれという。
勾留の必要性
嫌疑及び勾留の理由がある場合でも、被疑者を勾留することにより得られる利益とこれにより生ずる不利益とを比較して、権衡(バランス)を失するときは、被疑者を勾留することは許されないと解するのが通説、判例である。このような意味において被疑者の拘禁を相当と評価すべき実質的な理由を、講学上、勾留の必要性という(刑事訴訟法87条1項参照)。
被疑者に対する勾留の期間は、勾留請求の日から(勾留請求の当日を含め)10日間である(刑事訴訟法208条1項)。
裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、10日間を限度に勾留期間を延長することができ(刑事訴訟法208条2項前段)、これを勾留延長という。
ここにいう「やむを得ない事由」とは、事件の複雑困難、証拠収集の遅延又は困難等により、勾留期間を延長して更に捜査をするのでなければ起訴又は不起訴の決定をすることが困難な場合をいう(最高裁昭和37年7月3日判決民集16巻7号1408頁)。また、同判決は、牽連(けんれん)する他の事件との関係も相当な限度で考慮に入れることができるとしているが、ここにいう「牽連する他の事件」とは、勾留事実と同時期に敢行された同一・類似の手口の余罪など、勾留事実の犯情を判断するために必要な犯罪事実をいうと考えられている。
延長期間は、通じて10日間を超えることができないが(同項後段)、これを超えない限り、何度でも延長できる。このため、請求より短い期間しか延長が認められなくても、検察官は、準抗告により不服を申し立てることができないとされている(前橋地裁昭和59年12月15日決定刑裁月報16巻11=12合併号756頁)。
接見交通
弁護人等との接見交通
勾留されている被疑者は、弁護人又は弁護人選任権者(刑事訴訟法30条)の依頼により弁護人となろうとする者(以下、本稿において「弁護人等」という。