労働基準監督官
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労働基準監督官(ろうどうきじゅんかんとくかん)とは、日本の労働基準関係法令に基づいて、あらゆる種類の事業場に立ち入り、労働基準法労働安全衛生法等を遵守させるとともに、労働条件の向上を図っていくことを任務とする厚生労働省の職員(国家公務員)である。ILO81号条約に規定される労働監督官にあたる。「労働Gメン」という呼称もあるが、一般的には定着していない。

厚生労働省が行う労働基準監督官採用試験に合格した者のほか、一般職の職員の給与に関する法律別表第1イ行政職俸給表(一)における「3級」以上の厚生労働事務官及び厚生労働技官が、労働基準監督官に任用される資格を有する。

労働基準監督官採用試験によらず労働基準監督官に任用された者は、いわば「例外的規定」によって任用された者であり、単に「労働基準監督官」と言えば、通常は厚生労働省が行う労働基準監督官採用試験に合格したのちに労働基準監督官として任用された者(「生え抜き」である者)を指す。本稿では特に断りがない限り「生え抜き」として労働基準監督官に任用された者について述べる。

都道府県労働局長、労働基準監督署長等のポストは法令上、労働基準監督官であることが要件となっている。「生え抜き」の労働基準監督官以外の者がこれらのポストに任用される場合は、「労働基準監督官」としての発令がなされる。

都道府県労働局長は、本省の(多くはキャリア)厚生労働事務官・厚生労働技官が就任する。

労働基準監督署長は、「生え抜き」の労働基準監督官が就任する。

年齢構成の不均等から労働基準監督署長に就任可能(概ね43歳以上)な労働基準監督官が不足している都道府県労働局では、都道府県労働局に採用された局専門官級の厚生労働事務官・厚生労働技官を、本人の希望・能力により他の都道府県労働局の労働基準監督署次長としての2年間の経験を積ませた上で、労働基準監督署長として帰任させる「政令監督官制度」と呼ばれる特例制度もある。

目次

1 概要

2 労働基準監督官の採用及び採用後の処遇について

3 労働基準監督官が特別司法警察職員の権限を有する法律

4 労働基準監督署に配置された労働基準監督官の業務

5 労働基準監督官が行う捜査

5.1 賃金不払の捜査の流れ

5.2 労働災害の捜査の流れ

5.3 他の捜査機関との合同捜査


6 労働基準監督官の階級と役職

6.1 地方勤務者の役職の序列(例)


7 労働基準監督官の昇進

8 外部リンク

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概要

主に厚生労働省の各部局等・都道府県労働局・労働基準監督署に配置され労働基準関係法令に係る行政事務を行っているが、労働基準関係法令違反事件に対して特別司法警察職員司法警察員)として犯罪捜査を行う権限がある。

手錠・捕縄・腰縄は携帯することができるが小型武器(拳銃警棒等)の携帯や使用は認められていない。また、使用する車両も緊急自動車の指定を受けていない。これは職務の性質上、これらの権限を行使する必要性がほとんど無いからであると考えられる。

労働基準監督官が取り扱う労働基準関係法令は、労働基準法労働安全衛生法などがある。

労働基準法第101条・労働安全衛生法第91条などにより、事業場に立ち入ったり、関係者への質問、帳簿や書類その他の物件の検査などを行ったりすることができる。事業場に立ち入るときは、特に通知する必要は無く、また、犯罪捜査が主体ではないことから、捜査令状の必要も無い (なお、特別司法警察職員として、家宅捜索逮捕の際は警察と同じく裁判所が発行する令状が必要である)。なお、立ち入りの際は労働基準法第101条第2項の規定により身分を示す証票を携行しなければならず、事業場等から身分を明らかにすることを求められたときはこれを提示するのが通例である。

サービス残業・賃金不払・労災隠しなどの悪質な事案に対しては積極的に家宅捜索を実施しているが、専用の拘置施設を持たず、警察等の他の捜査機関との捜査共助協定も締結していないため、被疑者を逮捕・勾留することは年間数件程度である。

全国の年間送検事件数は、特別司法警察職員の中では海上保安官の次に多い。平成16年の送検事件数は1,339件(資料出所:労働基準法に基づく監督業務実施状況)。


労働基準監督官の採用及び採用後の処遇について

労働基準監督官の採用は区分別になっており、労働基準監督官A(法文系)と労働基準監督官B(理工系)の2つに分かれる。ただし採用されてからの配置においては区分別はほとんど考慮されず、法文系の者は労働安全衛生に必須である理工系について、理工系の者は行政に必須である法文系について、それぞれの知識を実務及び研修の場において習得することが求められている。

採用後は独立行政法人労働政策研究・研修機構に属する労働大学校(埼玉県朝霞市)における研修が採用時、採用5年目、監督署課長就任時、監督署長就任時などに行われるほか、選抜された者は管区警察学校や日本原子力研究開発機構へ派遣されて必要な知識の習得を行う。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki