分子(ぶんし、Molecule)とは、電荷的に中性な1つ以上の原子から構成される物質である。分子は常温、常圧環境下においては第18族元素の場合に一個の原子で分子を形成するが、多くの場合は同種あるいは異なる元素の原子が複数個集合して分子が形成される。前者を単原子分子と呼び、後者を多原子分子と呼ぶ。つまり希ガス以外の分子は多原子分子である。
見方を変えるならば、分子は連続したポテンシャル表面を共有する永続的な化学結合により結びつれられた原子の集団である。化学結合に結び付けられた分子内の原子は内部エネルギーにより振動しているので、分子の構造は必ずしも静的ではない。分子内の化学結合の乖離や新しい結合の生成し構成する原子の組み換えが起こると分子の種類、すなわち物質の変化として認識される。(化学反応に詳しい)あるいは分子から電子が付加あるいは脱離したものはイオンと呼ばれる。
英語のmoleculeという語は、ラテン語の「量」あるいは「塊」を意味するmolesと縮小辞のculaに由来する[1]。
目次
1 原子と分子
2 分子の形態
3 分子構造
4 脚注
5 関連項目
6 出典
7 外部リンク
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原子と分子ドルトンの原子説(J.Dalton,A New Sytem of Chemical Philosophy,1808)。
1.水素、4.酸素、21.水
ドルトンは水素と酸素が1対1で反応し水が生成すると考えている。
ジョン・ドルトンが1803年に原子説、1804年に倍数比例の法則により原子の存在を提唱した。しかしその概念は現代の電子と原子核から構成される粒子のような構造的な概念ではなく、化学反応が一定の単位質量を基にして反応が進行するという量的概念であった(化学量論に詳しい)。
一方、1808-1809年にジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサックは気体反応の法則を提唱したが、この法則は同じ温度・圧力条件下の気体には同一体積中に同数の物質粒子が存在することを暗に想定しており、それが倍数比例の法則の法則に従うのであるからその粒子は一定の単位質量を持つことが想定される。ドルトン自身は化合物に含まれる原子の数は基本的に1つずつであると考えており、2容量の水素と1容量の酸素とから2容量の水蒸気が生じるという事実は彼の想定する単位原子と矛盾を生ずるため、この法則を認めなかった(気体反応の法則に詳しい)。
1811年にアメデオ・アヴォガドロは複数個の原子から構成される分子の概念を気体反応の法則に導入した。すなわち、分子を元にしたアボガドロの法則を提唱してこの矛盾を解消した。発表当時はこの説は重要視されなかったが、1858年にスタニズラオ・カニッツァーロがアボガドロの法則を再評価し、アヴォガドロの分子論は確固たるものとなった[2](アボガドロの法則に詳しい)。
分子の物理学的挙動について、実験的にその実在性を確立したのはアルベルト・アインシュタイン(1905年)およびペラン(1909年)によるブラウン運動の研究である。今日では分光学的測定や質量分析測定あるいは原子間力顕微鏡により分子を直接観測することが可能になっている。
大抵の分子はおおよそ数百の分子量を持つが、サイズにすると10-9m(ナノメートル)、10-20gに相当する。この大きさでは可視光の波長以下の為、顕微鏡など光学的な像として個々の分子を観察することはできない。したがって通常目にする物質は結晶やクラスターなど集団としての分子を目にしていることになる。言い換えると分子の姿は測定器を介して観測するしかなく、分子の実像は目で見た物質の形態による想定とは必ずしも一致しない。
分子の構成単位は物質の種類により一定であるが、集合体としての分子の形態は同一物質であっても物質の物理的状態(三態)の変化によってもその形態は異なる。具体的には、共有結合性物質と、イオン性物質や物性としての金属では集団としての分子の意味合いは多少異なる。
共有結合性物質においては、気体、液体、固体のいずれの状態においても共有結合により組織付けられた分子が単位となっている。分子のポテンシャル表面を介して内側では斥力が外側では引力が働く為、分子の単位で熱力学的な粒子として振舞っている。
一方、イオン性物質や金属は結晶やクラスターを単位としてみれぱ、電荷や表面ポテンシャルの面では巨大分子と考えられるが、(巨大)分子を構成する原子数が一定ではない[3]という点で、共有結合性物質とでは集合体としての分子の意味合いが異なる。
例えば共有結合性単体であっても分子の形態はさまざまである。たとえば炭素はグラファイト、ダイアモンド、カーボンナノチューブは原子数不定の巨大分子を形成する一方、フラーレン分子の原子数は一定である。窒素、フッ素は二原子分子で安定であるが、酸素は二原子あるいは三原子で安定な分子を形成する。硫黄は八原子分子が安定であり巨大分子(ゴム状硫黄)も形成する。このように分子の構成は成分の原子の性質によりさまざまに変化する。
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