内閣官制
通称・略称なし
法令番号明治22年勅令第135号
効力廃止
種類行政法
主な内容内閣の組織、内閣総理大臣の職権など
関連法令大日本帝国憲法、日本国憲法、内閣法など
条文リンクなし
表・話・編・歴
内閣官制(ないかくかんせい)とは、広義には内閣の設置・廃止、名称、組織、権限等に関する定めをいい、狭義には1889年(明治22年)に定められた日本の法令、明治22年勅令第135号をいう。
広義の内閣官制には、1885年(明治18年)に制定され、内閣制度を初めて定めた明治18年太政官達第69号[1]や、内閣職権[2]を含める。
1947年(昭和22年)の日本国憲法施行後に、内閣法(昭和22年法律第5号)が施行されたことにより、内閣官制は廃止された。
目次
1 前史
2 明治18年太政官達第69号と内閣職権
2.1 法文
3 内閣官制(明治22年勅令第135号)
3.1 法文
4 内閣官制中改正ノ件(明治40年勅令第7号)
4.1 法文
5 脚注
6 関連項目
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1868年(慶応4年)の五箇条の御誓文に示された政治方針は、太政官制度によって実現が図られた。しかし、太政官に立法・司法・行政の全機能を集中させ、太政大臣に強力な権限を与えるこの制度は、近代国家の国政運営に適さないと考えられ、また、太政大臣の負担が大きく、かえって国家運営の停滞と責任の所在の不明確さを招いた。そこで新たな制度を構築する必要に迫られた。
1885年(明治18年)、新しい国家運営の制度である合議体の内閣が定められた(明治18年太政官達第69号)。その内容は、おおむね次のとおり。
太政大臣、左右大臣、参議及び各省卿の職制を廃し、新たに内閣総理大臣並びに宮内、外務、内務、大蔵、陸軍、海軍、司法、文部、農商務及び逓信の各大臣を置くこと。
内閣総理大臣及び各大臣(宮内大臣を除く。)をもって、内閣を組織すること。
これにより、宮中(宮廷)と府中(政府)の別が明定され、行政責任を各省大臣が個別に負う体制の基礎が生まれた。初代の内閣総理大臣には、参議であった伊藤博文が任命された。
また、同時に定められた内閣職権(全7条)によって、内閣機構の運営基準、主として内閣総理大臣の職務権限が定められた。内閣総理大臣は「各大臣ノ首班トシテ機務ヲ奏宣シ旨ヲ承テ大政ノ方向ヲ指示シ行政各部ヲ統督ス」(1条)とあり、形の上では強力な権限を与えられていた。しかし、薩長藩閥が対立均衡している下で、内閣が十分に力を発揮することは難しかった。
法文太政大臣左右大臣参議各省卿ノ職制ヲ廃シ内閣総理大臣及各省諸大臣ヲ置キ内閣ヲ組織ス(明治18年太政官達第69号)今般太政大臣左右大臣参議各省卿ノ職制ヲ廃シ更ニ内閣総理大臣及宮内外務内務大蔵陸軍海軍司法文部農商務逓信ノ諸大臣ヲ置ク内閣総理大臣及外務内務大蔵陸軍海軍司法文部農商務逓信ノ諸大臣ヲ以テ内閣ヲ組織ス内閣職権第一條 内閣天皇ノ直轄ニ屬シ大權ノ施行ニ關シ國務大臣輔弼ノ任ヲ致ス所トス第二條 内閣總理大臣ハ内閣ノ首班トシ機務ヲ奏宣シ旨ヲ承テ大政ノ方向ヲ指示スヘシ第三條 内閣總理大臣ハ内閣ノ會議ヲ總括シ議事ヲ整理スヘシ第四條 内閣總理大臣ハ行政全部ヲ統督シ各部ノ成績ニ付説明ヲ求メ及ヒ之ヲ檢明スルコトヲ得第五條 ?ソ法律勅令ニハ内閣總理大臣之ニ副署シ、其各省主任ノ事務ニ屬スルモノハ内閣總理大臣及主任大臣之ニ副署スヘシ第六條 各國務大臣ノ任免ハ内閣總理大臣之ヲ奏宣シ、内閣總理大臣ノ任免ハ首席國務大臣之ヲ奏宣ス第七條 各大臣事故アルトキハ臨時命ヲ承ケテ他ノ大臣其事務ヲ管理スルコトアルヘシ
1889年(明治22年)、大日本帝国憲法が公布された。この憲法では、天皇が統治権を総攬するものとし、「国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス」(55条1項)と定められた。しかし、内閣についての規定は、憲法にはなかった。行政権は国務各大臣の輔弼により天皇が自ら行うものとされ、内閣は国務各大臣の協議と意思統一のための組織体にすぎないものとされた。
同年12月24日、内閣制度運営の基準として、内閣官制(明治22年勅令第135号)が公布される。その内容はほぼ内閣職権を引き継いだが、内閣総理大臣の権限は弱められた。「内閣総理大臣ハ各大臣ノ首班トシテ機務ヲ奏宣シ旨ヲ承ケテ行政各部ノ統一ヲ保持ス」(2条)と定めていたが、この「首班」とは「同輩中の首席」を意味すると解された。
法文内閣官制(明治22年勅令第135号)第一条 内閣ハ国務各大臣ヲ以テ組織ス第二条 内閣総理大臣ハ各大臣ノ首班トシテ機務ヲ奏宣シ旨ヲ承ケテ行政各部ノ統一ヲ保持ス第三条 内閣総理大臣ハ須要ト認ムルトキハ行政各部ノ処分又ハ命令ヲ中止セシメ勅裁ヲ待ツコトヲ得第四条 凡ソ法律及一般ノ行政ニ係ル勅令ハ内閣総理大臣及主任大臣之ニ副署スヘシ 勅令ノ各省專任ノ行政事務ニ屬スル者ハ主任ノ各省大臣之ニ副署スヘシ第五条 左ノ各件ハ閣議ヲ経ヘシ一 法律案及予算決算案二 外国条約及重要ナル国際条件三 官制又ハ規則及法律施行ニ係ル勅令四 諸省ノ間主管権限ノ争議五 天皇ヨリ下付セラレ又ハ帝国議会ヨリ送致スル人民ノ請願六 予算外ノ支出七 勅任官及地方長官ノ任命及進退其ノ他各省主任ノ事務ニ就キ高等行政ニ関係シ事体稍重キモノハ総テ閣議ヲ経ヘシ第六条 主任大臣ハ其ノ所見ニ由リ何等ノ件ヲ問ハス内閣総理大臣ニ提出シ閣議ヲ求ムルコトヲ得第七条 事ノ軍機軍令ニ係リ奏上スルモノハ天皇ノ旨ニ依リ之ヲ内閣ニ下付セラルルノ件ヲ除ク外陸軍大臣海軍大臣ヨリ内閣総理大臣ニ報告スヘシ第八条 内閣総理大臣故障アルトキハ他ノ大臣臨時命ヲ承ケ其ノ事務ヲ代理スヘシ第九条 各省大臣故障アルトキハ他ノ大臣臨時摂任シ又ハ命ヲ承ケ其ノ事務ヲ管理スヘシ第十条 各省大臣ノ外特旨ニ依リ国務大臣トシテ内閣員ニ列セシメラルルコトアルヘシ