この項目は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
共同正犯(きょうどうせいはん)とは、二人以上が共同して犯罪を実行した場合をいう。
目次
1 日本における共同正犯論
1.1 共同正犯
1.1.1 共同正犯の効果
1.1.2 共同正犯の成立要件
1.2 各種の共同正犯
1.2.1 共謀共同正犯
1.2.2 過失の共同正犯
1.2.2.1 過失犯の共同正犯
1.2.2.2 結果的加重犯の共同正犯
1.2.3 承継的共同正犯
2 関連項目
//
日本の刑法
刑事法
刑法
刑法学 ? 犯罪 ? 刑罰
罪刑法定主義
犯罪論
構成要件 ? 実行行為 ? 不作為犯
間接正犯 ? 未遂 ? 既遂 ? 中止犯
不能犯 ? 相当因果関係
違法性 ? 違法性阻却事由
正当行為 ? 正当防衛 ? 緊急避難
責任 ? 責任主義
責任能力 ? 心神喪失 ? 心神耗弱
故意 ? 故意犯 ? 錯誤
過失 ? 過失犯
期待可能性
誤想防衛 ? 過剰防衛
共犯 ? 正犯 ? 共同正犯
共謀共同正犯 ? 教唆犯 ? 幇助犯
罪数
観念的競合 ? 牽連犯 ? 併合罪
刑罰論
死刑 ? 懲役 ? 禁錮
罰金 ? 拘留 ? 科料 ? 没収
法定刑 ? 処断刑 ? 宣告刑
自首 ? 酌量減軽 ? 執行猶予
刑事訴訟法 ? 刑事政策
日本の刑法は、その60条で共同正犯を規定する。
(共同正犯)
第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
共同正犯は、「すべて正犯」とされ、自ら実行しなかった行為から生じた結果についても刑事責任を負う(同条)。たとえばAとBが結託して共に拳銃を使用してCを殺害した場合、Aの発射した弾丸が命中せず、Bの発射した弾丸でCが死亡した場合であってもAは正犯としての罪責を負う。この共同正犯の効果を一部実行・全部責任の原則という。
一部実行・全部責任の原則が認められる根拠は、有力学説によれば、特定の犯罪実現 に向けての相互利用補充関係があるためとされる。すなわち、二人以上の者が、共同実行の意思に支えられ、特定の犯罪実現に向けて共同するという相互利用補充関係によって法益侵害の危険性が増大した点が、全部責任を負わすに値すると評価されるためとされる。
構成要件段階における共同正犯の成立には、各人の構成要件的故意または構成要件的過失と「共同して犯罪を実行した」ことが必要である。 「共同して犯罪を実行」とは、共同実行の意思(意思の連絡)及び共同実行の事実があることを意味するとされる。(さらに、結果犯では結果と因果関係が、身分犯の共同正犯については身分者が1人以上いることが必要である。)
しかし、共同実行の事実の具体的意味内容(何を共同するか:共同の対象)については、特に共謀共同正犯の成否と関連して議論がある。刑法の自由主義的見地(罪刑法定主義・謙抑主義)を重視する立場からは、60条の意味を限定的に解し、実行行為を共同することが必要とする(実行行為の共同が必要とする部分的犯罪共同説:共謀共同正犯否定)が、刑法の法益保護機能(処罰の必要性)を重視する立場からは、60条の意味を広く解し、犯罪実現に向けての行為を共同することとし、少なくとも一部の者による実行行為は必要であるが、実行行為の共同は必要ではないとする。(構成要件行為の共同が必要とする部分的犯罪共同説あるいは行為共同説:共謀共同正犯肯定) これは結局、自由主義と法益保護(処罰の必要性)のいずれを重視するかという価値判断に依存する問題である。