全身性強皮症(Systemic scleroderma、全身性硬化症Systemic sclerosis; SSc)は、全身の皮膚が硬くなるほか、内臓にも病変を発症する原因不明の慢性疾患である。古典的五大膠原病のひとつ。複数の病名が併記されることが多く混乱をきたしやすいが、厚生省の特定疾患の記載に従い、「全身性強皮症」の名称を使用する。
ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。免責事項もお読みください。
目次
1 病名
2 疫学
3 経過
4 症状
5 治療
6 外部リンク
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本症の病名について、混乱する点が数点あるので整理する。
本症の呼び名として、全身性強皮症、全身性硬化症、全身性進行性硬化症の三つの呼び方がある。「進行性-」については、かならずしも本症が進行性ではないので現在は用いられない。全身性強皮症は、冒頭に述べたとおり厚生省の用いている病名である。一方全身性硬化症Systemic sclerosis(SSc)は、欧米の文献によくみられる。日本国内の一般の医療従事者は、おそらく混在して使用している。
全身性強皮症と限局性強皮症Localized sclerodermaを区別する必要がある。全身性強皮症は本稿で扱う疾患である。限局性強皮症は皮膚が硬くなるのだが内臓には病変を起こさず、全身性強皮症とは本質的に異なる疾患であると考えられている。大きく次の二つにわけられる。
線状強皮症
モルフィア
30-60代に多く、男女比は1:9で、女性に多い。最も頻度が高いのはアメリカ・オクラホマ州のチョクトー族インディアンで、罹患率が100,000人中469人である。
本症にはびまん性全身性強皮症Diffuse systemic sclerodermaと限局型全身性強皮症Limited systemic sclerodermaの二つの亜型がある。前出の限局性と名前が似ているがまったく別物である。
びまん性全身性強皮症は皮膚硬化が肘・膝より近位(体の中央に近い側)に広がるものである。急性かつ重症の経過をたどり、肺・腎臓・心筋への障害も進みやすい。発症から3年?5年で症状のピークを迎えるが、それを過ぎると自然経過でも治癒の方向に進む。抗Scl-70抗体や抗RNAポリメラーゼ抗体が主要な自己抗体である。肺線維症を合併することがある。
一方、限局型全身性強皮症は皮膚硬化が肘・膝より遠位(先の方)のみに見られるものである。びまん性と異なり症状の明確なピークは存在しない。抗セントロメア抗体・抗U1RNP抗体といった自己抗体が見られることがある。予後は比較的良好であるが、肺高血圧症を合併しやすいので注意が必要である。
症状
レイノー現象冷たいところに出ると、突然手が紫色になり、数分後逆に真っ赤になってしまうことで、他の膠原病(混合性結合組織病・SLE)などでもみられるが本症にもっとも特徴的である。
皮膚硬化文字通り、皮膚が硬くなるのである。病変は、手の指の先端からはじまり次第に体の中心に向かってゆく。ここで、皮膚の硬化が体幹にまで至らないのが限局型である。最初はまず皮膚は浮腫状にはれあがり、「ソーセージ状の指」などと呼ばれる。次第にやわらかさが消え、硬くなり、逆に萎縮がみられてゆく。最終的にはカチカチに硬い皮膚となって満足に関節も曲げられなくなる。
皮膚石灰化これは限局型のほうに顕著であり、皮下にカルシウムアパタイトの沈着が見られ、手のレントゲン撮影で容易にわかる。
肺全身性強皮症においてもっともおかされやすい内臓臓器が肺である。ほとんどの患者に軽症から重症までさまざまな程度の間質性肺炎がみられるほか、肺高血圧症もおこりやすい。主な死因であり、肺病変が、本疾患の予後を規定する。
消化管皮膚のみならず、消化管上皮も硬くなる。胃酸をうまく胃にとどめておけなくなって胸焼けをうったえたり、腸の動きが悪くなって便秘を訴えたりすることが多いが、重篤な場合、腸管嚢腫様気腫症を発症することがある。
心臓心病変は前面に出ることはないが、心筋はゆるやかに線維化を起こし、ときに左室拡張不全の原因となる。
腎臓特に「強皮症腎」と呼ばれる有名な症状で、腎機能障害、高血圧の原因であるほか、いったん腎機能の悪化が始まると加速度的に腎不全に陥っていく(強皮症腎クリーゼ)。本質的には腎血管の線維化であり、それにともなうレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系(RAS系)の異常な活性化である。ACE阻害薬が、高血圧の有効な治療薬であり、腎クリーゼの予防効果もある。
疾患の経過を改善させるという明確な根拠のある薬剤は存在しない。これは自然経過でもある程度症状が改善するという特徴を持った疾患であるため、実際の薬効がどの程度であったかを客観的に判断することが困難だという理由によるところが大きい。d-ペニシラミンやシクロスポリンが投与されるが、これも有効であることは示されていない。唯一、疾患の経過を変化させる根拠のある治療は腎クリーゼの予防としてのACE阻害薬である。
対症療法としては、皮膚への保湿剤、レイノーへのプロスタグランジン製剤やカルシウム拮抗薬、胸焼けに対するプロトンポンプ阻害薬、肺高血圧に対するエポプロステノールやボセンタンが用いられる。
外部リンク
⇒強皮症研究会議 -SSc- | 強皮症をよりよく知るために
⇒難病情報センター|強皮症 特定疾患情報
カテゴリ: 免疫病 | 膠原病
更新日時:2008年10月12日(日)12:34
取得日時:2008/11/02 22:05