光学迷彩(こうがくめいさい Optical Camouflage,Active camouflage)は、SF作品等に登場する技術。科学的な何らかの手段により視覚的(光学的)に対象を透明化する技術で、その原理にはいくつかのバリエーションがある。
目次
1 「光学迷彩」という呼称とそのルーツについて
2 光学迷彩のアイデア
3 光学的迷彩技術の研究
4 光学迷彩が登場する作品
4.1 科学的手法を用いた光学的な迷彩技術
4.2 その他の手法を用いた光学的な迷彩技術
5 関連項目
6 脚注
7 外部リンク
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自身の衣類や機体等の色や模様を、背景に合わせリアルタイムに変更することにより視覚的に偽装する、または光を透過・偏向させ視覚できなくするといった概念自体は洋の東西を問わず古くから存在しており、その例として前者は動物のカメレオンやイカ等の擬態、後者は民話や伝承に残る「天狗の隠れ蓑」等があげられる。
また比較的近年の作品に登場するものとして、ジョジョの奇妙な冒険のリゾット・ネエロのメタリカの能力や、フィリップ・K・ディックのSF作品に登場するジャンプスーツや、ウィリアム・ギブスンの作品中に登場する擬態ポリカーボン等や、映画『プレデター』で異星人が使用するクローキング技術、また戦艦サイズではスタートレックに登場する宇宙戦艦用の遮蔽装置や、エディ・マーフィー主演映画「アイスパイ」でテロリストとの取引に利用される戦闘機に施した視覚的ステルス、ゲーム「メタルギアソリッド」シリーズに登場するステルス迷彩、等の例があげられる。他にも、ドラえもんが取り出す道具の中にも幾つかの(しかも全く別個の用途とそれに見合った仕掛けを持つ)アイテムとして登場している。
これらの「隠れ蓑」的技術に対し、日本では長らく定まった呼称が存在していなかった(英語ではcamouflage や cloaking と言われる)が、士郎正宗の『攻殻機動隊』で「熱光学迷彩」と呼ばれる特殊な機能を持つ装備が登場。日本国内(特に漫画・アニメ・軍事オタクの間)では、映画化以降本作品がメジャー化したことによってこの呼称が定着した。ちなみに「熱」と付くのは赤外線領域まで背景と同化することによって、暗視装置・サーモグラフィー等にも感知させないという意味合いがある。
光学迷彩のアイデア
カメレオンのように周囲の色・模様に応じて体表の色彩を変化させる。これはセンサーとコンピューターを併用することで可能性としては一番現実的である。同様に、立体映像で全体を包み込むというアイデアもあるが、立体映像の技術自体が確立されていないので、様々な問題がある。
光を完全に透過・回折させる。(過去のSF作品などに登場するガジェットでは、特殊な素材や構造を持つ繊維などによって、使用者の周辺の光を透過させるといった説明が行われる例などがある。またいわゆる透明人間などは、これの究極的な姿と言える。)
空間歪曲などによって光自体の進路を変えてしまう。(空間そのものを歪める必要があるので、現在の物理理論では実用の際は巨大なエネルギー(質量)を必要とし、一番現実性が低い方法。)
可視光を含む電磁波を吸収してしまう素材を用いる。一部のSF作品などでこう解説される事があるが、現実には黒く見えるだけなので、根本的に間違っている。ただし原理上レーダー等には有効な場合もある。
「光学迷彩」という用語そのものは本来、作品中に登場する架空の技術を表すものだが、現実世界においても東京大学などにおいて同様の技術の研究が行われている。アメリカ合衆国軍も、光学的な迷彩技術の研究をマサチューセッツ工科大学に依頼している。
光学的な迷彩の対象となる物体に、再帰性反射材(微細なガラスビーズ等によって、光が入射した方向に反射する素材)を塗布し、物体の背後の映像を外部よりプロジェクタで投影することで、ある程度の実現を見ている。
光学迷彩はまだ難しい技術だが、「手術中の医師の手袋に患部を投影し、患部がいつでも目視できるようにする(医師の手が患部の上にかぶさり、患部が見えなくなるのを防ぐ)」といったコンピュータ支援外科など限定的な用途での研究はかなり進んでいる。
米・デューク大学などの米英のグループは、特殊な金属繊維を使って光を反射せず、後方へ迂回させるという研究を行っている。これが実現すれば理論上はあたかも物体が透明になったかのように見えるという。
富山大学と公立はこだて未来大学、英セントアンドリュース大学の3人の研究者は「左手系メタマテリアル」を使って周波数限定ながら電磁波による完全な透過効果が得られる物体の作成に成功し、理論上は可視光線域での実現が行なえるとした。[1]
また、イギリス軍では、早ければ2012年にも、光学迷彩を搭載した主力戦車を実戦配備するという[2]。