先例
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先例(せんれい)とは過去に存在した同様の事例。また、その中で特に規範としての重みを持ち、諸々の判断基準として位置づけられるもの。前例。また、特に繰り返し行われてきたものについては「慣例」「通例」などともいわれる。
目次

1 概要

2 先例が影響を与えた事例

3 関連項目

4 脚注

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概要

先例は特に公務の執行や公的行事などにおいて、明文化されていない事柄についての重要な判断基準となってきた。わが国の国会では議院規則に次いで国会組織運営の法源とされており、衆議院では「先例集」参議院では「先例録」が各議院事務局によって編まれており、議事関係法規に規定のない事柄について有力な法的根拠となっている。

先例が法源となりうる意義は、先人の事例に倣うことで不測の事態を防止しようという考えに基づくと考えられる。その歴史は古く普遍的であり、ローマ法にはすでに「先例拘束の原則」 (stare decisis) が現れ後世の法制度にも影響を残している。先例の拘束力は政務や相続などの分野に強い影響を持ち、特に役所では先例のない仕事を忌み嫌い、新しいことをやりたがらないという風潮があるため、たびたび「前例主義」として批判されることがある。先例を重んじる理由として他に、連綿と続いている作法はそれ自体尊重するべきものであるという思想があり、日本では公家武家などの支配階級はあらゆる行事において有職故実を重宝してきた。故実とは過去の実例のことであり、有職とはそういった知識が豊富な人を意味する。中世以前の共同体によっては、特に神事などの公的行事で先例を破ること(「違例」という)は、公的な制裁、懲罰を受ける正当な理由になるとも考えられ、累積して行われてきた行為がそれ自体、神聖性を帯びることがあった。

先例は蓄積されると慣習法を形成することがある。先人によって繰り返されてきた行動類型は社会構成員に当然守るべき規範としての意識付けがなされ、成文法としての明文化如何にかかわらず法的拘束力を持つものとされる。特に国際法商法の分野で重要視されることが多く、成文法の補助的効力を有するとされる。本邦では法の適用に関する通則法第3条において「公の秩序又は善良の風俗に反しない慣習は、法令の規定により認められたもの又は法令に規定されていない事項に関するものに限り、法律と同一の効力を有する」とされている。(詳細は「慣習法」参照)

先例は裁判所の判断にも一定の拘束力を持つ。判例は過去の裁判における判決例であるが、法の公平性維持の観点から上級裁判所における判決、繰り返し出された同類同種の判決はそれ自体先例として未来の判決にも影響を及ぼす。(詳細は「判例」参照)


先例が影響を与えた事例

後醍醐天皇は先例に反し、元号に「武」の字を用いたが(建武)、天皇は「現在の例もかつては新義であった。朕の新儀は未来の先例たるべし」と反対論を退けた。

応神天皇5世の孫とされる継体天皇の即位により、皇位継承権は5世まで有効であるとする認識が広がった。

源平争乱時、三種の神器がないまま、後白河院院宣により即位した後鳥羽帝の先例により、神器の有無は天皇即位の条件とはならない。

足利義満に対し、死後、上皇(太上天皇)追号の打診があったが、幕府は先例のないことを理由に辞退した。

1881年ハワイ王国よりカイウラニ王女と日本の皇族、山階宮定麿親王との婚姻申し入れがあったが、日本側は「前例がない」としてこれを断ったという。[1]

魏武輔漢の故事 - 曹丕後漢献帝から禅譲を受けた手順が先例となったもの。

一事不再議 - 議院運営ににおいて、一度議決した事柄については再度審議を行わないとする慣例。旧憲法には明文規定があったが現憲法にはない。

戸籍事務担当者や司法書士などの場合、先例が法を補充するものとして重視されており、「戸籍事務先例集」「登記業務先例集」の類が発売されている。

以上はごく一部であり、歴史上の事柄、現在の公的実務、商慣習などにおいて先例が重視される実例は枚挙に遑が無い。


関連項目

コモン・ロー

慣習法

判例

有職故実

古き良き法


脚注

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^ 『ハワイ王朝最後の女王』 猿谷要・著 (文芸春秋社)
カテゴリ: 法源

更新日時:2008年8月1日(金)14:08
取得日時:2008/08/10 20:34


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki