元素(げんそ、element)とは化学物質を構成する基礎的な成分(要素)である。周期表
目次
1 元素と原子の違い
2 歴史
2.1 古代ギリシア
2.2 古代インド
2.3 古代中国
2.4 密教
2.5 近世
2.6 元素発見の推移
2.7 現在
3 表記
3.1 日本語表記
4 元素の分布・存在比
4.1 地球での元素の分布・存在比
4.2 宇宙での元素の存在比
5 元素変換
6 元素鉱物
7 脚注
8 関連項目
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酸素と窒素とはいずれも原子核と電子とが形成する構造である原子から成り立っている。一方、等しく原子核と電子とから構成されるもののその性質は異なることから酸素と窒素とは異なる元素として識別される。言い換えるならば、原子は構造的な概念であるのに対して元素は特性の違いを示す概念である。
元素は原子の種類を表すがそれは原子核の違い、すなわち核種の違いのうち陽子の数の違いによる分類である。原子核を構成する陽子および中性子の総数により質量数が異なり、陽子の数により原子番号が異なる。したがって、原子番号が1の軽水素原子、重水素原子、三重水素原子はいずれも同じ元素である水素に属するが質量数が異なる同位体と呼ばれるグループを形成する。
分かりやすく言うと、元素は周期表の枠である。各枠には原子番号に対応する元素が一つずつあてはめられていて、安定な同位体の存在確率に基づく原子量が記載されている。安定な核種がない場合には代表的な核種の質量数が記載されている。すなわち、周期表は『元素の周期表』であって、決して原子の周期表や単体の周期表ではない。
元素の歴史は万物の性質の根源を探究する歴史であり、古代の哲学者らは様々な物性が少数の基本的性質の混合により多様性を発現していると考察した。デモクリトスの説を別にすれば、原子や分子など物質の構造に関する探究はそれらよりも遅れて近世以降に発生・発展してきた。
元素という言葉は後年に作られた為、ギリシア時代には存在しないが、ギリシャ哲学では万物の変化・流転は一大命題として扱われ、多くの哲学者により万物の構成要素として元素の概念が論ぜられた。
タレスは万物の根源にアルケーという呼名を与え水であるとした。その他、空気であると考えた人、火であると考えた人、土だと考えた人がおり、それぞれがアルケーであるという立場を採った。エンペドクレスはアルケーが、火・空気(風とも)・水・土の4つのリゾーマタからなるとする後世にいう四元素説を唱えた。プラトンはこれに階層的な概念を導入し、土が正六面体でもっとも重く、他のリゾーマタは三角形からなる正多面体で、火が最も軽いリゾーマタであり、これら四大元素はそれぞれの重さに応じて運動し互いに入り混じると考えた。なおプラトンの作かどうか疑問視されている著書では、4つのリゾーマタに加え、天の上層を構成するとしてアイテールが導入されている。紀元前350年ごろ、アリストテレスは四元素説を継承した上で、4つのリゾーマタは相互に変換できるものと考え、また天上にのみ存在するアイテールを4つのリゾーマタの上位リゾーマタとして立てた。アイテルを語源とするアイテールは、のちの自然学における第五元素(ラテン語のquinta essentia。なお英語の quintessence (「真髄」 の意)の語源でもある)とされ、宇宙を満たす媒質エーテルの構想へとつながっていく。アリストテレスと同時代のデモクリトスは、無から発生し、再び消滅する究極微粒子(アトム)から万物が構築され、その構造的変化が物性の変化となると論じたが、彼のアトム論は発展を見ることは無く、ヨーロッパにおいては四元素説がスコラ哲学へと継承されてゆくことになる[1]。
古代インドの哲学者・思想家アジタ・ケーサカムバリン(パーリ語読みの人名。仏典の中に仏教より劣る思想家・哲学者として紹介されているものとしてしか名前が残ってないので正確な言い方・発音は不明)は「『存在』を構成するものは、地・水・火・風の四大であり、この四大以外にはない」という論を主張した。また、パクダ・カッチャーヤナは「人間のからだは地・水・火・風・苦・楽・霊魂の7つから構成されている」、マッカリ・ゴーサーラは「生きているものは、地・水・火・風・苦・楽・霊魂・虚空・得・失・生・死の12の要素から構成される」と主張した。