借用語(しゃくようご。英語 loanword)とは言語学の用語で、他の言語から別の言語にそのまま取り入れた語彙である。
目次
1 借用の起こる状況など
2 外来語
3 借用語との認識
4 借用語と方言
5 比較言語学での役割
6 借用語と言語の自立性
7 関連項目
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借用の起こる状況など
政治的・文化的に影響力の大きい言語圏の言語の語彙を、周辺の言語が取り込んで使う場合が多い。
これは一つには影響力の大きい言語圏で新しい意味を表す言葉が作られるため、その意味を表すためには借用してしまうのが手っ取り早いという便宜上の理由がある。日本語が古代から近世にかけて中国語から、近現代に英語を筆頭としてヨーロッパ諸言語から、それぞれ数多くの借用をしているのがその例である。またもう一つ、属国や植民地などで支配側の言葉が使用されているうちに、その語彙を被支配側の言語が取り込んでしまう場合もある。かつて日本の統治下におかれたパラオなどで日本語の一部がそのまま現地語になっているのがその例である。逆に交易や侵略が余り無かった言語は、新しい意味を表す言葉も日常生活の基本語彙を組み合わせて作る事が多い。例としてはドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語などが挙げられ、基本語彙も少ない(さすがに今ではインターネット用語などは英語をそのまま使う事も多い)。
単語だけでなく、文字や宗教も借用(外来)される事が多い(ラテン語→ラテン文字とキリスト教、ペルシャ語→アラビア文字とイスラム教、中国語→漢字と仏教など)
関係が密接だった場合は、語彙の約半数が借用語となる事も珍しくない。
綴り・文字・発音においても、借用語のみにしか使われない特別なものが出来る事がある。英語の"j","ch"や、日本語の「ティ」「ヴ」が例として挙げられる。
その言語の文化圏に政治的影響力が無い場合でも、独特の文化体系がある場合、その用語だけが周辺言語に借用される場合がある。日本のアニメ・漫画文化などがそれに当たる。
特産物、地域独特の事物に関する単語、または地名は政治的・文化的影響力の大小にかかわらず取り入れられることがある。(例えば日本語における、ベトナム語のアオザイ、タイ語のパクチー、アイヌ語起源の北海道の地名など)
イギリスが世界中に植民地を持った時代がある事から、英語は世界一借用語が多い。第二次世界大戦後はアメリカとイギリスが戦敗国や植民地に進出した為、現在英語が世界一の借用語提供言語となっている事は、よく知られている通りである。
詳細は外来語を参照
日本語において、漢語を除く借用語を外来語と呼ぶ。アイヌ語からの借用語(ラッコ、シシャモなど)、ギリヤーク語からの借用語(クズリなど)、古い朝鮮語からの借用語(カササギなど)は、外来語に含めないことが多い。また借用の時期が古い「馬(うま)」、「梅(うめ)」は、大和言葉として扱われ、外来語には含めない。
発音、音節構造、表記法などが異なる借用語や、英語など、外国語として学習する機会が多い言語からの借用語は、借用語であるという認識を得やすいが、そうでなく、古い時代に取り入れられた借用語は、綴りや発音から見ても、あたかも固有の語彙であったように誤解されやすい。例えば、日本語における「うめ(梅)」や「うま(馬)」は中国語からの借用語であるが、和語のように思われている。
他の言語との接触頻度や形態に地域差がある場合、一部の地域においてのみ借用が行われることがある。このような場合、他の言語を知らないと、借用語が方言語彙(俚言)と認識される可能性がある。
日本語における方言特有の借用語の例をいくつか挙げると、朝鮮語で友だちを意味する「チング」は、長崎県や山口県の一部など、朝鮮半島と距離的に近い地域で、日常的に使用されている[要出典]。長崎県の地方料理と考えられている「ハトシ」は広東語からの借用語である。他にも、沖縄県には他の地域では通じない、中国語からの借用語が多くあり、方言語彙とみなされている。 広東語の場合でも、イギリスの植民地であった香港では英語からの借用語の比率が高くなっている。ポルトガルの植民地であったマカオではポルトガル語からの借用語が見られ、マレーシア華僑、華人が話す広東語にはマレーシア語からの借用語が見られるなどの、地域差が生まれている。
比較言語学では同系言語の比定にあたって借用語は大きなノイズになる。なぜならば言語の起源を調べるときに、元々他言語の単語だったものを評価してしまっては結論が実際と変わってしまうからである。