個別言語学(こべつげんごがく)とは、個別言語について研究する学問、すなわち日本語学、英語学、フランス語学などの総称的ないし通称的名称である。個別言語学という名を持つ、独立した学問のシステムが存在する訳ではない。
目次
1 概説
2 個別言語学の研究内容
2.1 音韻論での例
2.2 統辞論での例
2.3 個別言語のシステム
3 共時論と通時論
3.1 共時的な個別言語学
3.2 通時的な個別言語学
4 個別言語同士の比較
5 言語の系統類の個別言語学
6 個別言語の成立の条件
7 関連項目
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人間の言語の現象一般を、普遍的な立場より研究するものが言語学であるに対し、個別言語学は、個々の個別言語を研究対象とする学 (Wissenschaft) である。それらは、個々の言語を対象とするので、例えば、日本語学、フランス語学、中国語学、アラビア語学、等、存在する個別言語の数だけ、学が成立することとなる。
ただし、存在するのは、それぞれの個別言語に対応する個別言語学であって、一般個別言語学というようなものは存在しない。
「惑星の研究」という概念は、具体的な惑星についての研究を意味している。そこでは地球学、火星学、木星学、天王星学のような、特定個別の惑星を研究対象とする学問が成立する。これは、各種の惑星一般についての研究である「惑星学」とはまた異なる学問である。それと同様な関係で、言語一般の学問である言語学と、「個別の言語の研究」である個別言語学が成立する。
個別言語学は、その研究対象である個別言語について、言語学において扱われる様々な事象局面を研究内容とする。従って、言語学一般において、音声学、音韻学、形態論、統辞論(シンタックス)、文法研究、意味論、記号学があるのに準じて、個別言語に特有なこれらの研究事象が存在する。
日本語には、固有な音声学があり、音韻学があり、また形態論が存在する。更に、日本語の文法や統辞論も、また日本語固有に研究することが可能である。
言語学一般における研究事象と異なって来るのは、例えば、日本語の音韻学は、日本語に固有な音韻だけを扱うのであり、その場合、日本語の音素は、k, s, t, n, h, m, y, r, w の子音と、a, i, u, e, o の母音で構成されるのではなく、五十音表で知られる、有限の数の「子音 + 母音」の結合形の「音」が音素となる。少なくとも 4 種類の音がある「ん」は、音素としては一つである。
日本語について、子音と母音を分離して、それぞれ音素とする考えもあるが、個別言語学としての日本語学では、純粋な日本語では、子音は「ん」の音を除き、単独では現れないので、/ka/, /so/ などが音素となる[要出典]。日本語では、「あいうえお」の五つの母音の第二母音である「い」の母音が含まれる「音素」は、他の母音による音素と、子音で見ると異なる子音を使っているため、「子音+母音」で表現する場合は、例えば、サ行の場合、sa, shi, su, se, so のように、イ段だけ異なる子音を当てる表記法がある。しかし日本語のなかで見る限りは、サ行に二種類の子音があると考える必要はない。
言語学一般のなかで、日本語の音韻を論じる場合は、「い列」つまり「第二母音」に加わる子音は、他の列の母音に加わる子音とは異質なものであると識別する必要があるが、日本語学という個別言語学上においては、サ行の場合、サとシの子音を区別する必要はないのである。
日本語の場合も、主語があり、目的語があり、動詞があることに変わりないが、どの単語が主語で、目的語かを示すのに、日本語は、不変化の名詞の語尾に、「格助詞」を接尾させて表現する。
西欧の古典語であるラテン語や古代ギリシア語の場合は、すべての名詞について、主語を示す「主格」、目的語を示す「対格(目的格)」などの特有の語尾変化(屈折語尾)によって示される「文法格」が存在し、これによって、どの単語が主語で目的語かを示すことができる。