この項目では政治思想としての保守主義について説明しています。
機械類を正常な状態に維持することを指す保守についてはメンテナンスをご覧ください。
ユダヤ教の保守派についてはユダヤ教保守派をご覧ください。
保守(ほしゅ)とは、政治においては伝統を保守すること。
目次
1 概要
2 政治的保守主義・近代保守主義
2.1 思想の歴史
2.2 思想の特徴
2.3 ハンティントンによる定義
2.4 日本における保守主義
3 その他の保守性・保守主義
3.1 自然的保守性
3.2 宗教的保守主義
4 保守思想家 ・保守派知識人一覧
4.1 日本人
5 日本の保守派団体一覧
6 日本の保守派政治家一覧
7 脚注
8 参考文献
9 関連項目
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伝統とは何かに関しては、能や歌舞伎のような実体を伝統とする説から、生き方・精神の形・言葉づかいの規則のような形式を伝統とする説まで諸説ある。保守主義や保守的といった言葉が指すのは、特殊な場合を除いて、この政治思想としての保守主義である。対立する概念は、革新と呼ばれる現状変革を求める考え方である。また、保守主義は、変化を求める側からは批判的に守旧派と呼ばれる場合もある。だが保守主義は、以下に見るように、単なる現状維持としての守旧とは異なる。
フランス革命当時の保守主義は「今あるアンシャン・レジームとレッテル貼りされた諸制度は、遠い過去からの取捨選択に耐えてきたものであり、これを維持存続させることが国民の利益になる」(とする主義)と定義されていた。
「維持せんがために改革する」というディズレーリの言葉や「保守するための改革」というエドマンド・バークの言葉からも明らかなように、保守主義は漸進的な改革を否定せず、過去に獲得されてきた市民的諸権利を擁護する。これに対して反動は、フランス革命後のジョゼフ・ド・メーストルやルイ・ガブリエル・ド・ボナールを見れば明らかなように、伝統の維持が自己目的化し過去の体制を理想とした結果、市民的諸権利までをも否定してしまう場合のことを指す。マンハイムが言うように、保守主義は、それ自体として存在するものではなく何かの変革(たとえば革命)が起こったあとで、それに対する反応として形成される。そうである以上、保守主義は常に反動に変質する可能性を秘めている。ただ、反動という言葉は左翼が保守、または単に左翼に対する反対勢力へのレッテルとして用いてきた経緯があるので使用には慎重を要する。
安直な保守的思想(守旧:かつて/今まで○○であったから、これからも○○であるべき)は自然主義の誤謬の可能性がある。
政治思想としての保守主義は、政治的保守主義ないしは近代保守主義と呼ばれ、コモン・ローの法思想を中心として発展してきた。17世紀に、イギリスのエドワード・コークは中世ゲルマン法を継承したコモン・ローの体系を理論化した。18世紀には、バークがコモン・ローの伝統を踏まえて『フランス革命についての省察』という書物を公表し、保守主義を大成した。この書は、フランス革命における恐怖政治に対する批判の書でもある。バークが英国下院で革命の脅威を説いた1790年5月6日が近代保守主義生誕の日とされる。こういった次第でバークは近代保守思想の祖と呼ばれている。
ちなみに、バークは「保守する」という言葉は用いたものの、「保守主義」という用語は使っていない。保守主義という言葉は、シャトーブリアンが王政復古の機関紙を、Le Conservateurと名付けたことに由来する。
アメリカでは、コモン・ローの法思想が、ウィリアム・ブラックストンの『イギリス法釈義』を通じて、そのままアメリカの保守主義としてアレクサンダー・ハミルトンら「建国の父」たち(ファウンディング・ファーザーズ)によって継承された。そして、この法思想はアメリカの憲法思想となった。
このように保守主義はもともと英米の政治思想であるが、その影響からか、フランス、オランダ、スペイン、ドイツ、ロシア、そして日本などにも保守思想家が点在する。