不正競争防止法
通称・略称不競法
法令番号平成5年法律第47号
効力現行法
種類法律
主な内容不正競争防止について
関連法令知的財産基本法など
条文リンク ⇒総務省法令データ提供システム
表・話・編・歴
不正競争防止法(ふせいきょうそうぼうしほう)は、公正な競争と国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止を目的として設けられた法律のことである。経済産業省が所管する。
不正競争防止法(平成5年5月19日法律第47号)では、その第1条(目的)に「この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と規定される。
目次
1 不正競争防止法の意義
2 不正競争防止法の歴史と経緯
3 近年の法改正
3.1 平成17年度改正
3.2 平成16年度改正
3.3 平成15年度改正
3.4 平成13年度改正
3.5 平成5年(全面改正)
4 不正競争の類型
5 訴訟
5.1 判例など
5.2 侵害訴訟
5.2.1 差止請求権
5.2.2 損害賠償請求権
5.3 否認
5.4 抗弁事由
6 脚注
7 外部リンク
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市場経済社会が正常に機能するためには、市場における競争が公正に行われる必要がある。したがって、たとえば、競争相手を貶める風評を流したり、商品の形態を真似したり、競争相手の技術を産業スパイによって取得したり、虚偽表示を行ったりするなどの不正な行為や不法行為(民法第709条)が行われるようになると、市場の公正な競争が期待できなくなってしまう。また、粗悪品や模倣品などが堂々と出回るようになると、消費者も商品を安心して購入することが出来なくなってしまう。以上のように、不正な競争行為が蔓延すると、経済の健全な発展が望めなくなることから、市場における競争が公正に行われるようにすることを目的として、同法が制定されているものである。
不正競争防止法では、保護する対象に対して、行為の規制(禁止)となる要件を定めることで、信用の保護など、設定された権利(商標権、商号権、意匠権等)では十分守りきれない範囲の形態を、不正競争行為から保護している。
実質的には、不競法の条文が適用される場合に、一定の要件が求められることから、知的財産(無体物)等の権利が設定された場合と同様な効能を有するとも解することができる。
(代表的な例)
保護規制行為要件期限
営業秘密の保護営業秘密や営業上のノウハウの盗用等の不正行為を禁止・秘密情報に有用性があること・秘密管理性を有すること・非公知性を有していること期限なし
デッドコピーの禁止他人の商品の形態(模様も含む)をデッドコピーした商品の取引禁止・模倣商品の様態が元の商品と酷似していること販売開始日から3年
信用の保護周知の他人の商品・営業表示と著しく類似する名称、デザイン、ロゴマーク等の使用を禁止・商品・営業表示に周知性を有していること・模倣商品と混同のおそれがあること(類似性)期限なし
他人の著名表示を無断で利用することを禁止・営業表示に著名性を有し特別顕著性を有すること・営業上の利益を侵害していること制限なし
技術管理体制の保護コピー・プロテクション迂回装置(技術的制限手段迂回装置)の提供等を禁止・技術的制限手段が存在すること・迂回装置の提供をしていること制限なし
明治時代から、相手の商品を模倣したり、著名な商品名にただ乗りするなどの形で、不正競業と呼ばれる行為は広く行われており、そのために市場における営業上の権利(商号、商標など)に係る法律が制定されたが、権利を有していない場合などにおける救済措置は、ほとんど認められていなかった。特に、不正な行為や不法行為(民法709条)の適用の要件については、大正時代初期においては、きわめて限定的であり、弾力的な運用はなされてこなかった。
しかしながら、「大学湯事件」損害賠償請求事件(大正14年(オ)625号)大審院大正14年11月28日第三民事部判決において「湯屋業ノ老舗其ノモノ若ハ之ヲ賣却スルコトニ依リテ得ヘキ利益ハ民法第七百九條ニ所謂權利ニ該當スルモノトス」とする判示によって、この不法行為の要件が「権利の侵害」からその「違法性」へと変更され、不法行為により侵害される権利を広範に認めるという要件が成立するようになった。
また、昭和2年の大恐慌の後、昭和7年の上海事変の勃発等による軍需景気によって、国の経済は再び景気を取り戻しつつあったが、昭和初期における日本は、依然として低賃金で工業製品を大量に製造し、廉価で輸出するという形の工業国であったため、粗悪品や模倣品、商品の偽造といった様々な不公正貿易行為が対外的に強い批判にさらされていた。戦前の通商政策においては、日本が市場における不正な競業行為を否定することを積極的に対外的に訴えることで、外交上の批判をかわす必要があった。
以上をふまえ、昭和9年に「工業所有権の保護に関するパリ条約ヘーグ改正条約」を批准する機会にあたり、旧不正競争防止法(昭和9年法律第14号)が制定された[1][2]。
近年の政府における知的財産政策では、知的財産立国を目指す旨が掲げられており、知的財産権の強化という政策的な要求に伴って、不正競争防止法でも、以下のように数多くの改正が行われている[3]。