ロビー活動(ロビーかつどう、lobbying)とは、ある特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動。議会の議員、政府の構成員、公務員などが対象となる。ロビー活動を行う人物はロビイスト(lobbyist)と称される。また、省庁と民間企業の出入りを繰り返すことを「回転ドア」(revolving door)と呼ぶ。
目次
1 概要
2 各国の事例
2.1 日本
2.2 アメリカ合衆国
2.3 欧州連合
3 参考文献
4 関連項目
5 外部リンク
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多くの企業および企業団体、利益団体は自身の利益に沿った主張を広めるためにロビイストを雇っている。シンクタンクは政治課題に関する研究成果をメディアに対し定期的に発表することでその主張を普及させる。
上にあげたロビー活動の対象者に直接接触せず、世論を変化させることで政策を変更させようとする運動はアウトサイド・ロビー活動 (outside lobbying) または草の根ロビー活動 (grassroots lobbying) と言われる。一方で草の根活動を装う自作自演はアストロ・ターフィングと称される。
ロビー活動は政府の政体に関わらず、多くの国において存在している。政治腐敗を防止するため、一定の規制をもうけている国も多い。アメリカ合衆国においては選挙において選出された公務員以外がロビー活動を行うには1946年に制定された連邦ロビイング統制法に基づき、ロビイストとしての登録をする必要がある。
ロビイストを雇用する団体は多くの場合政治家への政治献金も同時に行っている。このため、ロビー活動が政治の腐敗と関係づけられることも多い。政治家が国民の主義主張ではなく、特定の後援者の利益に沿った政策を唱えることに批判がなされている。
ロビー活動のシステムへの支持者は「政治家が利益団体や選挙区の利益に沿った政策を唱えるのは理にかなったことであり、ロビイストはその手助けをしているにすぎない」と主張している。
日本では主に政治家がロビイストとしてロビー活動をおこなっているが、本来関係団体が費用を自己負担すべきなのに、政治家がロビー活動を行なうことに批判の声が強い。
アメリカ合衆国のロビイストはアメリカ合衆国上院、下院、行政府を対象として行動し、政府、州政府、地方政府、裁判所に影響を与えることを目的としている。ロビイストの中には法案の起草を行う者も存在する。
オックスフォード英語辞典ではロビー (lobby) およびロビイスト (lobbyist) という単語の用法としてアメリカ合衆国が建国された時代における政治家の政治的影響力をあげている。ロビー活動は1869年から1877年の期間に政府を率いたユリシーズ・S・グラント大統領の時代に本格化した。ヘビースモーカーであったがホワイトハウスでの喫煙を妻に禁止されていたグラントは、付近に存在するウィラード・ホテルのロビー(待合エリア)で葉巻を楽しんでいた。彼がしばしばこの場所に出没することを知った関係者は、ニコチンの助けを借りて上機嫌な大統領への陳情をこのロビーで行うようになった。ロビー活動の語源はこれにあるとされる。
2005年7月に市民団体パブリック・シチズンは『議会からKストリートへの旅路』 ("The Journey from Congress to K Street") と題するレポートを発表した(KストリートはワシントンD.C.にある、シンクタンクやロビイストのオフィスが集まる通り)。ロビー活動公開法、外国代理人登録法の規制の下で提出されたロビイスト登録文書を分析したこの報告書は、1998年以後に退職した議員198名のうち43%がロビイストに登録していることを明らかにした。ワシントン・ポスト紙はこのレポートに関して、ロビー活動に対する議員たちの態度が変化している事実を反映していると述べている。同紙によると、議員がロビイストになることは20年前には考えられなかったことであると同時に、議員出身のロビイストは怠惰であることが多く敬遠されていると述べている。
レポートではロビイストの代表例として、1999年に下院議長の有力候補となりながら、セックス・スキャンダルに見舞われ議員を辞任したボブ・リヴィングストンをあげている。辞任後に彼が設立したロビー会社は創業から6年間で年間4000万ドルもの売り上げを上げる企業に成長した。彼が妻とともに政治活動委員会 (PAC; Political Action Committee) を通じて行った献金は50万ドルにも上るとされる。
2005年には共和党系のロビイストであるジャック・アブラモフを巡るスキャンダルが発生し、ジョージ・W・ブッシュ大統領の弾劾まで口にされるほどの騒ぎに発展している。アブラモフはネイティブ・アメリカンの補助金横領、アフリカの複数の国家元首とブッシュ大統領の会談をセットした謝礼として数百万ドルを要求したことなど複数の疑惑が取りざたされている。
議員とロビイストの関係に批判があつまる事態を受けて民主党のラス・ファインゴールド議員は上院、下院のフロア、ジムなどへの立ち入りを認めていた前議員の特権を廃止することを提案している。
1999年の時点で欧州委員会は次のような数字をあげている。
約3000の利益団体がブリュッセルに存在し、そこで雇用されている人数は10,000名ほどになる。それに対しアメリカ合衆国においては2005年時点で議会へのロビー活動に限ると35,000名のロビイストが登録されている。
50の団体は国または地域を代表したロビー活動を行っている。
参考文献
ジョン・J・ミアシャイマー、スティーヴン・M・ウォルト『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策1』 副島隆彦訳、講談社、2007年9月。ISBN 978-4062140096。
ジョン・J・ミアシャイマー、スティーヴン・M・ウォルト『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策2』 副島隆彦訳、講談社、2007年10月。ISBN 978-4062142588。
マリオン・ネスル 『フード・ポリティクス-肥満社会と食品産業』 三宅真季子・鈴木眞理子訳、新曜社、2005年。