レーション(ration)と言うと、本来は食料などの配給品(特に期間を区切って支給されるもの)であるが、一般的には軍隊において軍事行動中に各兵員に配給される食糧(コンバット・レーション)を指すことが多い。本項ではこのコンバットレーションについて記述する。
日本では野戦食(やせんしょく)や戦闘食(せんとうしょく)、戦闘糧食(せんとうりょうしょく)、野戦糧食(やせんりょうしょく)などと呼ばれる。また正式な用語ではないが、払い下げ等で一般に出回ったコンバットレーションを近年ではミリメシ(military+飯の略)と通称することもある。
目次
1 概要
1.1 コンバットレーションの形態
2 コンバットレーションにまつわる関連現象
3 歴史
3.1 ナポレオンの要請
3.2 レーションの近代化
3.3 現代
4 各国のコンバットレーション
5 コンバットレーションの種類
6 関連項目
7 参考文献
8 外部リンク
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これらの食料の多くは、劣悪な環境における輸送にも堪え得る保存性と、摂取カロリー量の確保を至上目的としたものである。古くより軍隊では、軍事行動中の食料供給の量的な問題に頭を悩ませており、また劣悪な環境により伝染病が発生しやすいこともあり、最も基本的な食料を、衛生的かつ大量に輸送するため、保存性に優れ、また余計な手間の要らないものが求められてきた。その一方で、平時よりもはるかにストレスの溜まりやすい戦場では、食事は重要な娯楽なので、味の改良も進められている。
今日のコンバットレーションと呼ばれる食品は、屋外の食器も家具もない環境で食べやすいよう配慮がなされている。缶詰やレトルト食品、ビニール袋に真空密封包装されたクラッカーやパンなどが一つのパッケージに収められたものが主流。スプーン等の簡単な食器が付く。兵員の興味を惹き、ストレスを和らげ、士気向上や気力の維持に効果のあるとされるチョコレートやガム・飴玉等の菓子類が付属することもある。食品を温めるためのヒーターと呼ばれる固形燃料・コンロや生石灰と水の反応熱を利用したものが付属されており、温かい食事を取れるように配慮されたものある。
なおこれらは、今日の軍隊が災害救助に動員されることも多いため、軍組織が一般人保護活動の一環として、被災した民間の人々にも配布することがある。日本赤十字社では、お見舞い品セットという段ボール箱入りの保存食(内容は缶詰、缶入りドロップ、生気づけのためにウイスキーのポケット瓶)を緊急時に被災者へ配布することもあるが、この内容も(市販のカラフルなパッケージのものであることを除けば)レーションの発想に近い。
レーションには大きく、個々の兵士に配分されるものと、部隊(小隊や分隊単位)で配分されるものに分けることができる。前者には一回分の食事セットとなっているものや、一日分がセットになっているものがあり、いくつかメニューのバリエーションがあって、食事に飽きさせない工夫がなされている。部隊単位で配分されるものには食材として提供されるものが主で、調理して食べることができるため、現地で入手可能な食材を利用して工夫を凝らした料理に仕上げることも可能である。
また一部にはタバコや酒類等の嗜好品が同梱されているものや、ベジタリアンであることや宗教的な忌避等に配慮して、特定の食材を含まないレーションも存在している。古くは「配給品」であることから、蝋燭や石鹸・歯磨剤等の消耗品を含むものも多かったが、現在ではこれらは食料とは別に配給されるため、今日のレーション中には含まれないことが多い。
個人向けレーションには、現地の飲用に適さない水を濾過・沸騰させて飲む場合も多いことから、湯や湯冷ましに入れて飲用するティーバッグや粉末ジュース・インスタントコーヒー・ココアや粉末スープ類が付属され、食事に彩りを添えたり、食後の娯楽に供するための配慮がなされている。
しかしながら、食事という個人の好みによる部分が非常に大きく、また国によっても食文化や食のタブーに対する考えが全く異なってくるため、一概に「レーションはこういうものである」と言い切ることができない点が問題であり、また魅力でもある。
駐屯地や基地での通常の食事は特にギャリソン・レーション(garrison=守備隊・駐屯地)と呼ぶ(給食参照)。
現在、宇宙食と並んで最も保存性の高い食料品が、これらレーションやそれから派生した災害備蓄食料である。災害備蓄食料は、レーション開発において発展した技術を取り入れることで、被災者の心理的なダメージを軽減させるべく、温かくて味も良い保存食への改良が進められている。また保存性においても、全く空調管理されていない環境でも5年や10年の単位で保存・備蓄が可能なものが開発されている。軍用レーションと全く同等であることを謳うものもある。
その一方で、アウトドア愛好者や軍事関連に興味を持つ者が、軍の払い下げ用品として市場に流通した軍用レーションを売買する市場も形成されており、各国の軍用レーションがインターネットオークション上で見受けられる。