数学において、ルベーグ測度(Lebesgue measure)とはユークリッド空間上の長さ、面積、体積の概念を拡張したものである。体積には「直和集合の体積は元の体積の和」という性質(加法性)がある。この性質を保ちながらより複雑な集合に対しても「体積」を定めることができるよう体積の概念を拡張できる。このような拡張は一意である。実解析、特にルベーグ積分で用いられる。体積と同様ルベーグ測度は∞ をとりうる。解析学で普通に考えられる集合にはすべてルベーグ測度が与えられる。しかし、選択公理によってRnの部分集合でルベーグ測度を与えることができない(無理に与えると加法性が成り立たない)ものが存在することを証明できる。ルベーグ測度が与えられる集合をルベーグ可測という。以下の説明ではルベーグ可測な集合A の測度をλ(A)で表す。
目次
1 例
2 性質
3 ルベーグ零集合
4 ルベーグ測度の構成
5 他の測度との関係
6 その他
7 歴史
8 関連項目
9 参考文献
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例
閉区間[a, b]の測度はb−aである。同様に開区間 (a, b) の測度も閉区間との差の測度が0であることから、b−aである。
A として、[a, b]と[c, d]の直積(デカルト積)とすれば、Aの測度は、面積(b−a)(d−c)である。
カントール集合は、測度0の非可算集合の例である。
Rn のルベーグ測度は次のような性質を持つ。
Aを区間の直積、 I1 × I2 × ... × Inとする。このときAはルベーグ可測で である。ただしここで、 |I| は区間Iの長さを意味している。
Aを非交和のルベーグ可測集合の無限を含む高々可算個の和集合とするとき、Aはルベーグ可測でλ(A)は、各集合の測度の和(もしくは、無限級数)に等しい。
Aがルベーグ可測ならば、Aの補集合も可測である。
任意のルベーグ可測集合Aについてλ(A) ? 0である。
ルベーグ可測集合A、Bについて、AがBの部分集合ならば λ(A) ? λ(B)である。
可算個のルベーグ可測集合の和集合や共通部分は、ルベーグ可測である。
Rn の開集合や閉集合(参考:距離空間)はルベーグ可測である。
λ(A) = 0 となるルベーグ可測集合A(零集合)について、Aの部分集合はすべて零集合である。
Aをルベーグ可測集合、x をRnの成分とする。x によるAの平行移動をA + x = {a + x : a ∈ A}と定義するとき、A + xはルベーグ可測でA と測度が同じである。
以上の性質は、次のように簡潔に要約される:ルベーグ可測集合全体は全ての区間の直積を含むσ-代数 となり、λ はを満足する唯一の完備な平行移動不変な測度である。
任意のε >についてRn の部分集合Aの可算個の区間の直積による被覆が存在し、その被覆の体積の総和がε >以下であるとき、Aはルベーグ零集合である。可算集合はすべて零集合である。またRn 上のn次元未満の部分集合は零集合である (例:R2上の直線や円)
Aがルベーグ可測であることを示すために次のような方法が使われる。AとBの対称差が零集合であるようなよりよいBを見つけ、Bが開集合や閉集合の可算個の和集合であることを示す。
現代の外測度からのルベーグ測度の構成は、カラテオドリによる。それは次のように進める:
Rnの任意の部分集合Bについて、次を定義する。
ここでvol(M)は区間の長さの積とする。このとき、任意のBについてAが次の式をみたすときルベーグ可測であるという。
この定義により、ルベーグ可測集合の族はσ-代数となり、ルベーグ測度λ(A) = λ*(A) と定義する。
ヴィタリ理論から実数Rの部分集合でルベーグ可測でないものが存在する。
他の測度との関係
ボレル測度が定義される集合については、ルベーグ測度と一致する。しかし、ボレル可測でないがルベーグ可測な集合も多く存在する。ボレル測度は平行移動不変だが、完備ではない。
局所コンパクト群で定義されるハール測度はルベーグ測度の一般化である。
ハウスドルフ測度(参考:ハウスドルフ次元)は、Rn上のn次元以下の集合の測度を決めるのに役立つルベーグ測度の一般化である。
ルベーグ可測でない集合の"奇妙な"ふるまいとしては、選択公理の結果であるバナッハ=タルスキーのパラドックスがあげられる。
1901年アンリ・ルベーグは測度について記述し、続けて次の年にもルベーグ積分の記述でもふれた。それらは 1902の論文「積分・長さ・面積」の一部として発表された。
参考文献 カテゴリ: 測度論 | 数学に関する記事
更新日時:2008年3月3日(月)12:31
取得日時:2008/07/17 19:36