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『ルカによる福音書』(―ふくいんしょ、ギリシア語: Κατ? Λουκ?ν Ευαγγ?λιον、ラテン語: Evangelium Secundum Lucam、英語: The Gospel According to Luke)は、新約聖書中の一書で、イエス・キリストの言行を描く四つの福音書のひとつ。『マタイによる福音書』、『マルコによる福音書』、『ルカによる福音書』(以下『ルカ福音書』)の三つは共通部分が多いことから共観福音書とよばれる。
福音書中には一切著者についての言及はないが、それぞれの冒頭部分の献辞などから『使徒言行録』と同じ著者によって執筆されたことは古代から認められており、現代の学者たちのほとんどが本福音書と使徒言行録は著者による二巻の作品が新約聖書の成立過程でイエスの生涯を記す福音書と、イエス後の教会の発展史という観点から分離して配列されることになった可能性が高いと考えている。(このため、『ルカ福音書』と『使徒言行録』をあわせて「ルカ文書」と称することもある。)伝承では『ルカ福音書』の著者はパウロの弟子の医師であるルカとされてきた。その名は『フィレモンへの手紙』等に見られる。
目次
1 著者と対象読者
2 成立年代
2.1 伝統的な成立時期の説
2.2 成立年代の考察
3 写本
4 他の福音書との関連
5 関連項目
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聖書学者ユード・シュネルは『新約聖書 その歴史と思想』において「ルカ福音書と使徒言行録は、言葉の使い方からも、その思想的色合いからも強い関連性が見られ、おそらくは同じ著者によるものであろうと考えられる」と語っている。更に本来『ルカ福音書』と『使徒言行録』は一冊の本であったものがある時期になって分割されたという説も出された。しかし、その場合には『使徒言行録』冒頭部分を別人による付加とせねばならないし、執筆当時の標準的な書物の形態であるパピルスの巻物では、それぞれが1冊とできるほぼ限界の長さであることなどから、現在では認められていない。
著者はイエスの生涯を自らの目で見たということは一言も言っていないが、すべてを丁寧に調べあげ、事実を順序だてて書き記したということを冒頭で述べている。『マタイ福音書』、『マルコ福音書』、『ヨハネ福音書』といった福音書には共通の資料があると考えられてきた。現在の学会でもっとも広く支持されている二資料仮説によれば、『ルカ福音書』の資料となったのは『マルコ福音書』と今では失われたイエスの言葉集であったとみなされる。この言葉集のことを「Q資料」という。Qとはドイツ語で「源泉・資料」をあらわす「Quelle」の頭文字をとったものである。
著者については、古代以来、上記のようにパウロの協力者でその伝道旅行にも従った医師のルカであるとされてきた。現在でも、批判的な聖書学者の一部を含め、この伝承を認める研究者は少なくない。また、福音書ではその資料を尊重する傾向が見られるが、そのギリシア語は極めて美しいもので、且つ語彙も豊かである。従って、おそらくは新約諸文書の著者の中で唯一、当時のヘレニズム世界での正規教育を受けた者であろうという認識はほぼ全ての研究者に共通する。また、パレスチナの地理には詳しくないこと、ガリラヤ湖を「海」と呼ぶマルコの文章を「湖」に変更していることなどから、パレスチナやその近郊に住む者でないことも確実である。
その一方で、「ルカによる」という題名は二世紀に福音書が収集された際に区別のために付けられたもので、それ以前には遡れないこと、また主に『使徒言行録』の内容からの判断が大きいが、福音書の成立がエルサレムの神殿崩壊後であることが確実なこと、またパウロの伝道についての詳細な資料を持っていたことは確かであるが、パウロの同道者としては不可解な記述が多数『使徒言行録』に見られることなどから、古代の伝承を否定する研究者も多い。