ラテン語とルーマニア語の音韻の変化
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本稿ラテン語とルーマニア語の音韻の変化ではラテン語からルーマニア語にいたる音韻変化を扱う。以下の表にある変化は図式的なもので実際にこのような順序で起きたのではない。
目次

1 俗ラテン語

1.1 母音

1.1.1 半母音化


1.2 子音


2 初期ルーマニア語

2.1 r化

2.2 口蓋化

2.3 母音の弱化

2.4 eの後舌化


3 現代

3.1 摩擦音の変化

3.2 /j/の挿入

3.3 ?, ?,dzによる後舌化


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俗ラテン語


母音

俗ラテン語の a, o, uは変異しない (多少例外がある。下を参照)

ラテン mare > ルーマニア mare (海)

ラテン p?lum > *paru > ルーマニア par (柱)

ラテン focum > *focu > ルーマニア foc (火)

ラテン p?mum > *pomu > ルーマニア pom (果樹)

ラテン multum > *multu > ルーマニア mult (多い)

ラテン t? > ルーマニア tu (二人称単数代名詞)

俗ラテン語の短音のuはmやbの前でアクセントがある場合にoになるものがある。

ラテン *autumna (from autumnus) > *tomna > ルーマニア toamn? (秋)

ラテン *rubeum > *robju > ルーマニア roib

長音の?もuになるものがある。

ラテン cohortem > *c?rtem > ルーマニア curte

e,iは以下のようになる。

アクセントのある短音のe, 古典期のaeは[?]になる。後に二重母音化し*/je/に変わる。

アクセントのない短音のe', 長音の?,短音のiは*eに合流する。

長音の?はiになる。

例:

ラテン pellem > *[p?lle] > ルーマニア piele [pjele] (皮)

ラテン signum > *semnu > ルーマニア semn (しるし)

ラテン v?num > *vinu > ルーマニア vin (酒)


半母音化

俗ラテン語では短音の/e/ と /i/ が他の母音の前に来るときに半母音/j/になる。後にその/j/が前側の子音に影響して口蓋化が起きる。

ラテン puteum > *putju > ルーマニア pu?

ラテン r?g?ti?nem > *rogatjone > *roga?one > ルーマニア rug?ciune (祈り)

ラテン hordeum > *ordju > *ordzu > ルーマニア orz (大麦)

ラテン deorsum > *djosu > *d?osu > ルーマニア jos (下に)

ラテン socium > *sokju > ルーマニア so? (仲間、伴侶)

ラテン c?seum > *kasju > ルーマニア ca? (チーズ)

ラテン v?nea > *vinja > *[vi?e] > ルーマニア vie [vije]

ラテン mulierem > *muljere > *[mu?ere] > ルーマニア muiere [mujere] (婦女)

歯茎音破裂音のtとdは oの前で後部歯茎摩擦音(?, ?)になり、他の母音で歯茎摩擦音(s, z)になる。この対応は credin?? (信義) - credincios (誠実な), oglind? (鏡') - oglinjoar? (小さい鏡)など現代ルーマニア語に及ぶ。

両唇音の場合は/j/が子音の前に入れ替わり影響を受けない。

ラテン rubeum > *robju > ルーマニア roib


子音

子音は全体では大きな変化はない。qu ([kw]), gu([gw])は aの前でp,bになり、他の母音では円唇性を失いc, gと合流する。 ただし疑問詞の場合はaの前でも(おそらく類推で)pにならずcになる。

ラテン quattuor > *quattro > ルーマニア patru (四)

ラテン equa > *[?pa] > *jepa > ルーマニア iap? (雌馬)

ラテン lingua > *lemba > ルーマニア limb? (舌)


ラテン quid > *ke > ルーマニア ce (何)

ラテン quand? > *kando > *kandu > ルーマニア cand (いつ)

ラテン sanguis > *sange > ルーマニア sange (血)

他に重要な変化は歯茎音の前に来る軟口蓋音の唇音化である。ct > pt, gn > mn, x > ps. となる。後にpsは大部分の単語でpが脱落する。

ラテン factum > *faptu > ルーマニア fapt (行い)

ラテン signum > *semnu > ルーマニア semn (しるし)

ラテン coxa > *copsa > ルーマニア coaps? (腿)

ラテン lax? > *lapso > *lasu > ルーマニア las (放つ、?させる)


初期ルーマニア語


r化

母音の間のlはrになる。この変化は二重子音の単音化の前でかつ上記の半母音化・下記の口蓋化の後に起きたものである。 ラテン語の二重子音llに由来するlや半母音化によって-lj- > [j]となったlには適用されない。

ラテン gelu > ルーマニア ger (寒さ)

ラテン sal?re > ルーマニア a s?ri (s?rire) (跳ぶ)


口蓋化

歯茎音 t, d, sが後続するi, j (二重母音のje < [?] < stressed eのj)を取り込んで口蓋化する。

ラテン testa > *[t?sta] > *tjesta > *?esta > ルーマニア ?east? (頭)

ラテン decem > *[d?ke] > *djeke > *dze?e > ルーマニア zece (十)

ラテン servum > *[s?rbu] > *sjerbu > ルーマニア ?erb (奴隷)

ラテン d?c? > *dziku > ルーマニア zic (言う)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki