ライトレールとは、軽量軌道交通(Light Rail Transit:LRT)のこと。本来は都市間路線や国際路線など、大型車両を用いる本格的鉄道(Heavy Rail)に対し、都市計画・地域計画等で位置付けられ、都市内やその近郊で運行される中小規模の鉄軌道全般を指す。
しかし、車道と併用した(併用軌道)路面電車として走行できるため、近年、都市内交通との親和を図った一部の路線が低床式の新型路面電車として注目され、新交通システムという認識が強い。
目次
1 LRTの概念
1.1 LRTと路面電車
2 歴史
3 導入事例
3.1 高速鉄道志向のもの
3.2 路面電車志向のもの
3.3 日本の事例
3.3.1 類似例
3.3.1.1 併用軌道のない路線
3.3.1.2 併用軌道を持つ路線
3.3.2 導入支援
4 脚注
5 関連項目
6 外部リンク
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「LRT」 はLight Rail Transitの略称である。これらは、1972年ごろにアメリカ連邦交通省都市大量輸送局( U.S. Urban Mass Transit Association:UMTA)によって制定された単語である。 LRTの定義の大要は「大部分を専用軌道とし、部分的に道路上(併用軌道)を1両ないし数両編成の列車が電気運転によって走行する、誰でも容易に利用できる交通システム」(現在でもこの定義は有効)となっており、高架鉄道や地下鉄よりも一回り小さいが、バスよりも大きな輸送力[1]を持つ交通機関である。簡易な設備による、低コストな建設を目指して開発された。「LRV」 はLight Rail Vehicle の略称で、これに使用する車両のことを指す。
したがって、本来の「LRT」「LRV」という言葉には「低床車」という意味はまったく含まれておらず、路面電車である必要もない。アメリカ・カナダ・イギリスなどのLRTは、高床車を用いる路線、あるいは路線の全線ないしは大部分が専用軌道の路線も珍しくない。
また、イギリスでLRTなどの情報をまとめている第三者団体、LRTA(Light Rail Transit Association)は各国の都市交通システムを"LRT"と"路面電車"などに区別して紹介している[2]。この中で、例えばドイツではStadtbahn(シュタットバーン)、オランダではSneltram(シュネルトラム)という路面電車を基本に専用軌道化・信号装置の改良などで輸送力の増強と高速化したものだけがLRTに該当し、他は路面電車としている。またフランスには普通鉄道を転用した専用軌道主体のパリ郊外T4線を除き、LRTはない。
こういった路線で使用される車両は車体幅が2300?2700mm程度、編成の長さはおおむね30?90mで、小規模な地下鉄に匹敵する。 また平均速度の面でも路面電車が17km/hなのに対し、 ライトレールは29km/h[3]と高速である。
したがって、LRVと同規格の車両を用いた地下鉄は「ライトメトロ」と呼ばれ、LRTの一種とされる。
「次世代型路面電車」と訳されることが多い日本とは、概念に差がある。 しかし、欧州の非英語圏国家では、これに似た事例が見られる。たとえば、ドイツ人は自国の、シュタットバーンではない「路面電車」についても英語ではLRTと紹介することが多い。また、フランス人も自国の路面電車の英語名称にLRTを使用するケースが多い。国によって、都市交通システムの相違が語彙の違いに出るためである。
現在の国際的なLRTの使用法では
英語圏の、アメリカ定義による中量軌道交通システム
非英語圏の新型路面電車システムの英語名称
の2つの意味があると言える。日本における定義は、2の非英語圏の新型路面電車の英語名称という意味においては、妥当と言える。
LRTと路面電車サンノゼ市内を走行するLRT
LRTは運行面のソフトを含めた総合的な「システム」である。
アメリカでの定義に基づけば、日本では路面電車より郊外電車に近いシステムであることを示す。 したがって、米国、カナダ、ドイツ、オランダ等での実例は、日本では多くの都市鉄道路線で実施されているものである。
一方で、新型路面電車としての意味に基づいた場合、従来の路面電車との差は、以下のような点にまとめられる。
都市計画・地域計画での位置付けなど政策的な裏づけ
専用軌道やセンターリザベーションによる定時性の確保および運行速度の向上(都心部では利便性向上のために併用軌道も可)
既存交通との連携
運賃収受制度の改良(プリペイドカードの導入など)
LRV形態の車両を路面電車に導入する試みは日本各地で行われているが、走行環境などシステムがそのままである限りはLRTと呼ぶのは相応しくない。
なお、LRTがトランジットモールを走行する事例があることから、この2つがセットで解説されることが多いが、実際にはトランジットモールはバスや路面電車での実例が多く、一方でトランジットモールを持たずに都心部は地下区間としているLRTも少なくない。
この言葉が生まれた1970年代初頭のアメリカでは、車社会化が過度に進んでいた。既に、路面電車や郊外電車(インターアーバン)は全盛期(1920年代初頭)の4割が廃止され、残存していた6割もゆっくりだがマンネリ化が進んでいた。この時点で、「世界最大の路面電車保有国」の地位をソビエト連邦(ロシア)に譲っている。この危機感から、経済格差のある同国では、弱者の交通手段確保が必要となった。このために、新たな軌道システムを構築する必要からうまれたのがライトレールである。
ライトレールの形態をした路線は西ヨーロッパでは1960年代から一部の都市に存在していた。中でも西ドイツでは、第二次世界大戦後、連節電車の大量投入・セルフサービス制の導入など、路面電車およびそれと同規格の郊外電車の輸送力増強・生産性向上を行っていた。