ヤハウェ(YHVH, YHWH, JHVH, JHWH, IHVH, ???? , yahweh) は、旧約聖書中の、神(結果的には唯一神)を表すヘブライ語の単語を、推定の上、音訳したものである。 この4つの子音は「神聖四文字(テトラグラマトン Τετραγρ?μματον 、ギリシャ語で『四つの文字』の意)」とも呼ばれる。
目次
1 呼称
1.1 アドナイ、主
1.2 ヱホバ、エホバ
1.3 ヤーウェ、ヤハウェ
1.4 エル、エロヒム、シャダイ、神
2 概説
3 キリスト教における受容
4 発音について
5 意味について
6 参考文献
7 脚注
8 関連項目
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日本語ではヤハウェの他にヤハヴェ(YaHVeH ヘブライ文字 ? [w]は現代ヘブライ語読みで/v/と発音)、ヤーウェ(YaHWeHのaHを長母音として音写)などの表記が用いられる。また、ユダヤ人たちの間では、後述するように直接神の名を口にするのは恐れ多いと考えられ、神聖四文字を「アドナイ」と読み替えていた。YHWHに「アドナイ」の母音符号をつけると、エホウァやエホバ(YeHoVaH)となるのでそのように読まれることもある。
日本語訳聖書では、前述のユダヤの慣例を踏襲し、アドナイの訳語である「主」と訳すのが一般的である。日本聖書協会発行の『口語訳聖書』や『新共同訳聖書』、カトリック系の『バルバロ訳』などがこれである。ただし『新共同訳』では『創世記』第22章14節でのみ「ヤーウェ」とする。これはいわゆるイサクの燔祭の行われた「イエラエ」の地名を説明するために発音を示したものである。
またプロテスタント福音派系の『新改訳聖書』では太字で「主」とする。これは一般名詞としての主と「文語訳ではエホバ[1]と訳され、学者の間ではヤハウェとされている主の御名を」「訳し」[2]た「主」を区別するためである。
「エホバ」系の表記を採用するものもある。1887年日本聖書協会発行の『文語訳聖書』(明治元訳聖書)ではヱホバとなっている。[3]また、エホバの証人の翻訳による『新世界訳聖書』ではエホバが用いられる。[4][5]
「ヤハウェ」系のものは少数派であるが、カトリック系の『フランシスコ会聖書研究所訳』ではヤーウェである。また無教会派の関根正雄による旧約聖書ではヤハウェ、『中公バックス 世界の名著 13 聖書』(ISBN 978-4-12-400623-0)の中沢洽樹による旧約聖書では「ハ」を小書きにしたヤハウェが用いられている。また前述の通り『新共同訳』では一部ヤーウェとあるほか、巻末収録の用語解説でヤハウェの読みも紹介している。
旧約聖書では他に「神」という一般名詞であるエル(古典的なヘブライ語発音でエール)やエロヒム(同じくエローヒーム)などもヤハウェの呼称として用いられるが、一般に日本語訳聖書ではこれらの音訳は使用せず、これに相当する箇所は漢訳聖書での訳語を踏襲し神とするものが多い。また、「全能・満たすもの」を意味するとされるシャダイの語を付してエル・シャダイとした箇所は全能の神などと訳される。
ユダヤ教成立以前の信仰をヤハウェ信仰と呼ぶ。ヤハウェは、元来はシナイ山で信仰された山の精などを指したのではないかと考える者もいる。ヘブライ人がカナンの地を侵略、定着する過程で、先住民カナン人の最高神であるエルやバアルの性格を取り入れ、後にバビロン捕囚などを経てユダヤ教が成立してゆく過程において唯一絶対神の性格を帯びるようになったとする説もある。四資料説においては、「エル」を神の呼称とする資料(エロヒム資料)に比べ、ヤハウェを神の名とする資料(ヤハウェ資料)は新しく、祭儀を祭司階級に担われたものと考える点などにおいて、先行資料と異なっている。
旧約聖書に於けるヤハウェは唯一神であり全世界の創造神とされているが、「宇宙の最高原理」というような抽象的な存在ではない。むしろ自ら人間たちに積極的に語りかけ、「妬む神」と自称するほど感情的であり、人間臭さすら感じさせる素朴な人格神として描かれる。また、『創世記』第32章第31節?や『出エジプト記』第4章第24節?などには自ら預言者達に試練を与える場面もあり、ヘブライ人たちがヤハウェを決して抽象的ではない、実在感のある存在と捉えていた事がわかる。
キリスト教においてもヤハウェは神の名と考えられる。すでに『ヨハネによる福音書』で「エゴー・エイミ・ホ・オーン」(?γ? ε?μ? ? ?ν、「私は在る」の意)という言葉はイエスと結び付けられ、その神性を現す意図で多用されている。「私は在る」とは『出エジプト記』第3章第14節においてヤハウェが名乗ったもので、イエスはこれを多用して自分がヤハウェと密接な関係にある事を暗に示したのである。正教会において、イエスの聖像、とりわけマンディリオンにおいてその光輪にギリシア文字 "Ο・Ω・Ν"(? ?ν 『在るもの』) を記す習慣もこれに関連する。