モルヒネ(morphine モルフィン、モヒともいう)はアヘンに含まれるアルカロイドで、チロシンから生合成される麻薬のひとつ。ベンジルイソキノリン型アルカロイドの一種。分子式 C17H19NO3。分子量285.4。モルヒネからは依存性のきわめて強い麻薬、ヘロイン(塩酸ジアセチルモルヒネ)がつくられる。CAS番号は57-27-2。
目次
1 概要
2 医療への応用
3 作用機序
4 副作用
5 毒性
6 法的分類
7 歴史
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塩酸塩・硫酸塩は鎮痛・鎮静薬として種々の原因による疼痛(とうつう)の軽減に有効であるが、依存性が強い麻薬の一種でもあるため、各国で法律により使用が厳しく制限されている。
名前の由来は、ギリシア神話に登場する夢の神モルペウス (Morpheus)。夢のように痛みを取り除いてくれることから。
主にアヘンから取り出される。
医療においては、癌性疼痛をはじめとした強い疼痛を緩和する目的で使用される。モルヒネは身体的、精神的依存性を持つが、WHO方式がん疼痛治療法に従いモルヒネを使用した場合は、依存は起こらない。薬剤の剤形としては錠剤、散剤、液剤、坐剤、注射剤があり、それぞれ実情に応じて使用される。
軍事用途でも、戦闘による負傷による強い疼痛を軽減する目的で、主に注射剤の形で使用され続けている。資格を持った衛生兵だけが携帯でき、トリアージを行っている間に投与処置を行うこともある。
モルヒネはオピオイド神経を興奮させ、下降性疼痛制御により、侵害受容器(痛みを感じる受容器)で発生した興奮の伝達を遮断し上行性疼痛伝達をとめることにより中枢鎮痛作用を示す。
モルヒネの副作用には依存、耐性のほか悪心嘔吐、便秘、眠気、呼吸抑制などがある。便秘はほぼ 100%、悪心嘔吐は 40%?50% の症例でみられる。眠気はモルヒネ使用開始から1週間の間にみられ、その後は自然に改善することがほとんどである。
毒としてみた場合非常に強い塩酸モルヒネを例ととると薬物でヒト(経口)LD50:120-250mg、 500mg。非経口中毒量:30mg。ヒト経口致死量:70-500mg、マウス皮下注(LD50)456mg/kg、マウス静注(LD50)258mg/kg。ただし耐性獲得者では1gでも耐える。乳児・ 小児では感受性が高い。数量にするとヒトにたいし0.1〜0.5gであり、数分から2時間程度で死亡する。江戸川乱歩の短編「屋根裏の散歩者」で使用されていることでも有名。
法的分類
日本において、モルヒネは「麻薬及び向精神薬取締法」において麻薬に指定されている。
イギリスにおいて、モルヒネは「1971年薬物誤用法」 ( Misuse of Drugs Act 1971 ) の基でクラスA薬物として記載されている。
アメリカ合衆国において、モルヒネは「規制物質法」の基でスケジュールII薬物として分類されている。
オーストラリアにおいて、モルヒネは「医薬品法」 ( Therapeutic Goods Act 1989 ) の基でスケジュール8薬物として分類されている。
国際的には、モルヒネは国際法である「麻薬に関する単一条約」に基づく分類I ( Schedule I ) 薬物である。
1804年、ドイツの薬剤師フレードリッヒ・ゼルチュルナー( ⇒Friedrich Sert?rner ) により、初めて分離される。モルペウスにちなみ、モルフィウム ( morphium ) と名づけた。しかし、1853年の皮下注射針の開発までは、モルヒネは普及しなかった。鎮痛の為に用いられ、また、アヘン・アルコール中毒の治療として用いられた。南北戦争ではモルヒネは広く使用され、軍人病(モルヒネ中毒)による40万人を超える被害者を生み出した。また普仏戦争において、同様のことが西欧で起こった。
1874年に、ヘロインはモルヒネを材料に生成された。ヘロインが使用され始めるまでは、モルヒネは一般的に最も誤用された麻薬性鎮静剤であった。 カテゴリ: アルカロイド | 麻薬
更新日時:2008年6月20日(金)11:53
取得日時:2008/07/21 22:35