量子条件(りょうしじょうけん、quantum conditon)とは、物理学において、量子力学的な系で実現可能な物理状態を定める条件である。デンマークの物理学者ニールス・ボーア(Niels Bohr)が唱えた、水素原子内の電子が安定に存在するための条件(ボーアの量子条件)や、アーノルド・ゾンマーフェルトがより一般的な形式にまとめたボーア・ゾンマーフェルトの量子条件が知られる。
目次
1 ボーアの量子条件
1.1 解説
2 物質波による解釈
3 ボーア・ゾンマーフェルトの量子条件
4 関連項目
5 外部リンク
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加速度運動する荷電粒子は電磁波を放射することが古典電磁気学の法則として知られている。原子核の周囲を回る電子は、電荷間に働くクーロン力によって原子核からの引力を受け、加速度運動をしている。電磁気学の法則からすれば、電子はその運動エネルギーを連続的に電磁波として放射してしまい、失った運動エネルギーの分だけ急速に原子核に引き寄せられるはずだった。しかし、現実には原子核の周囲を回る電子は電磁波を放射せず、原子核に落ち込むことなく運動を続けている。どのようなメカニズムが電子を安定させているかが物理学の大きな問題だった。1913年、ニールス・ボーアは、この矛盾を解決するためにいくつかの仮説の下、これを説明する原子模型を提示した(詳細はボーアの原子模型の項目を参照のこと)。
ボーアの条件により、電子は原子核の周囲を回るときに、特定の軌道しかとることができないことが結論づけられる。これを原子軌道という。最も内側の原子軌道を回る電子は、それ以上原子核に近づけないので、原子核にそれ以上吸い寄せられることもなく安定して軌道を回ることができる。また、軌道に応じて電子のエネルギーの値が決まるので、電子は特定の離散的なエネルギー準位しか実現できないことになる。電子が別の軌道に移るときは、エネルギー準位の差と同じエネルギーを与えられるか放出しなければならない。これは、原子はなぜ特定の波長の電磁波だけを放出したり吸収したりするのかという疑問をうまく説明するものであった。
量子条件で説明できないこともあった。水素原子以外の原子では、原子核の周囲を複数の電子が回っている。長い時間には全ての電子は電磁波を放出して最も内側の軌道を回るようになるはずであるが、実際には特定の軌道を回る電子の数は限られていた。この問題はパウリの排他原理によって解決された。
後にド・ブロイの唱えた物質波の理論の観点では、ボーアの量子条件は「原子核の周囲を回る電子の物質波が定常波であるための条件」と解釈できる。これは原子核の周囲を運動する電子軌道の長さが、物質波の波長の整数倍でなければならないということを意味する。もし整数倍でなければ、干渉効果によって、物質波は自分自身を打ち消してしまう。
ゾンマーフェルトは1自由度(円運動)に限られていたボーアの量子条件を多自由度の場合まで拡張し、次の形にまとめた。
ここにhはプランク定数、は一般化運動量、は一般化座標であり、積分はの1周期にわたる。これをボーア・ゾンマーフェルトの量子条件またはゾンマーフェルト・ウイルソンの量子条件と呼ぶ。同様の結果は、W.Wilsonや石原純によって得られている。ゾンマーフェルトはこの条件を再び水素原子の問題に適用することで、ボーアの理論で1つの量子数nで指定された電子軌道が、さらにいくつかの電子軌道に分かれることを示した。
外部リンク
⇒九州大学の解説記事
カテゴリ: 量子力学
更新日時:2008年8月12日(火)17:38
取得日時:2008/10/09 12:30