ホウネンエビ
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ホウネンエビ
分類

動物界Animalia
節足動物門Arthropoda
亜門甲殻亜門Crustacea
鰓脚綱Branchiopoda
亜綱:サルソストラカ亜綱
Sarsostraca
:無甲目(ホウネンエビ目)
Anostraca
:ホウネンエビ科
Chirocephalidae
:ホウネンエビ属 ⇒Branchinella
:ホウネンエビ
B. kugenumaensis

学名
Branchinella kugenumaensis
(Ishikawa, 1895)
和名
ホウネンエビ
英名
Fairy shrimp

ホウネンエビ(豊年蝦)は、水田などに発生する小型の甲殻類である。タキンギョ、オバケエビなどとも呼ばれる。
目次

1 特徴

2 生活史

3 名称など

4 分類

5 参考文献

6 関連項目

7 外部リンク

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特徴

ホウネンエビは、節足動物門 甲殻亜門 鰓脚綱(ミジンコ綱)サルソストラカ亜綱 無甲目(ホウネンエビ目)に属する小型の動物である。日本では初夏の水田で仰向けに泳いでいるのがよく見かけられる。

体は細長く、弱々しい。全体に白っぽく透明感があるが、緑を帯びた個体、青みを帯びた個体も見られる。頭部からは、左右に一対の複眼が突き出している。第一触角は糸状に突き出す。第二触角は雌では小さく、雄では雌を把握するために発達する。その形はなかなかややこしいもので、言葉で説明するのは難しい。普段は象の鼻を丸めたようにして、雄の頭部に乗っているが、頭の大きさの半分程もあるので、雌雄の区別は一目で分かる。伸ばすと先が枝状に分かれている。

頭に続く体は、細長く、多数の鰓脚がつく胸部と、鰓脚のない腹部に分かれる。胸部は十対以上あって各節に一対の鰓脚がある。鰓脚はどれもほぼ同じくらいの長さがある。鰓脚の最後の部分にの入る保育のうがある。保育のうは細長く、腹部の腹面に沿ってぶら下がる。腹部は細長く、最後に一対の尾叉がある。尾叉は木の葉型で平たく、鮮やかな朱色をしている。

常に鰓脚を動かし、水中を泳いで生活している。基本的な姿勢は腹面を上に向けた、仰向けの姿勢である。水中の中ほどか、水面近くでその姿勢を保ってあまり動かないか、ゆっくりと移動するのがよく見られる。驚いた時には瞬間的に体を捻って、跳躍するように移動することがある。それが素早いことと、体色が紛れやすいことから、一見では瞬間移動でもしたかと感じてしまうほどである。

餌は鰓脚を動かして水流を作り、腹面の体軸沿いに口元へ水中の微粒子を運んでいる。

光に集まる性質があるので、夜に照明を当てると容易に捕獲できる。


生活史

卵は乾燥に耐え、冬は泥の中で過ごす。水田に水が張られると、数日のうちに卵は孵化する。最初の幼生はノープリウスで、体長1mmたらず、やや赤みを帯びた白で、三対の付属肢をもつ。幼生は次第に体節を増やし、胸脚を増やし、細長く成長すると同時に、第二触覚は小さく目立たなくなって、成体の姿となる。

繁殖の時には、雄は雌の後方から追尾し、接近すると一気に把握器を伸ばす。把握器の先端は枝状に分かれている。雌を把握した雄は体を曲げて交接する。卵はすぐに孵化することはなく、水がなくなって次に水が入るまでを卵の状態で過ごす。 この長期の乾燥に耐える現象は、クマムシネムリユスリカなどのクリプトビオシスと同様に、二糖類のトレハロースを含有することが深く関与している。



名称など

水田に多数発生し、その姿がおもしろいことから、古くからそれなりの注目を受けた。和名のホウネンエビは豊年えびの意味で、これがよく発生する年は豊年になるとの伝承に基づく。ホウネンウオ、ホウネンムシの名も伝えられる。ホウネンエビの名は、上野益三が本種を図鑑に収録する際に、ホウネンウオの名を元にして、ではないからと海老に変えたものらしい(参考文献の上野(1973)にその旨の記述がある)。地域によってはタキンギョ(田金魚)という呼び名もあるようである。尾が赤いのを金魚にたとえたことによるらしい。

近年では子供たちからオバケエビ(お化け海老)と呼ばれていることもある。これは、その姿からの連想と共に、子供向けの科学雑誌が、アルテミアの飼育セットを販売する際にこれを「オバケエビ」と呼んだことに基づくようである。英名のFairy shrimpもこれに通ずるものがある。

実用的な価値はほぼ無きに等しいと言え、田の草取りに役立つ気配もなく、害虫駆除をしてくれる様子もない。しかし、稲に害を与えたり、噛み付いたりすることもない。江戸時代には観賞用に取引されたこともあったようではあるが、すくってきて水槽にいれても、寿命は短い。

ホウネンエビの学名は「Branchinella kugenumaensis (Ishikawa, 1895) 」といい、農科大学(帝大農学部の前身)の石川千代松博士が命名した。明治25年(1892年)7月から8月にかけて神奈川県高座郡鵠沼村(現藤沢市鵠沼地区)の海岸の砂地に、雨で一時的に出来た水溜まりで、同じ鰓脚類の仲間のミスジヒメカイエビと一緒に発見され、『動物学雑誌』第7巻(1895年)に英文で報告されている。石川が記載した学名は最初「Branchipus kugenumaensis」だったが、その後「Branchinella kugenumaensis」と属名が変更された。属名の「Branchinella」は「鰓脚(さいきゃく)類の」という意味で、このホウネンエビが「鰓(えら)状の脚」をもっていることを示している。なお、中国ではこの学名から「鵠沼枝額虫」とも呼ばれている。



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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:Mamenoki