セーフティカー(safety car)とは、モータースポーツにおいて、マシンがコース上でクラッシュし、路面に脱落したパーツやその破片が散乱、またはマシン本体がコース上に止まっている場合、散乱したパーツによる損傷や二次クラッシュを防ぐ目的でレースを先導する車のことである。大雨などの荒天のときも、レースを先導することがある。
インディカー・シリーズ(IRL)やNASCARなど、アメリカにおいては一般にペースカー(pace car)と呼ばれる。
通常トラブル時にコースインするセーフティカーは1台だが、ル・マン24時間レースの行われるサルト・サーキットのようにコース長が非常に長い場合には、同時に複数台のセーフティカーがコースインする場合もある。
目次
1 F1など
1.1 手順
1.2 F1における歴史
1.3 性能
2 インディ500
2.1 運用
2.2 歴史
2.3 ドライバーたち
3 NASCAR
4 フォーミュラ・ニッポン
5 外部リンク
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F1や主にヨーロッパのその他のレースにおいては事故車両そのものによってコースがふさがれてしまった場合、特に他の車両がその際散らかった破片を踏んでしまいタイヤがパンクする恐れがあるときや、レースを中断するほどではないが車両の走行が困難なほどの大雨に見舞われるなどのレースを安全に遂行する上で危機的状況に陥った場合に際して、競技参加者やオフィシャルの安全を確保し、競技車のペースをコントロールするためにセーフティカーが導入される。
セーフティカーがコースに入る際は、コースの全ての区間において、危険を知らせる黄色い旗が振られるとともに、「SC」と書かれたプラカードが掲げられ、ドライバーは走行速度を落とすことを求められる。「SC」とはSafety Carの略である。
これらの合図が提示されてからセーフティカーが先導している間は、競技車両は、先行車がトラブルでスローダウンした場合などのやむをえない場合を除き、一切の追い越しが禁止されている。
セーフティカーは車体上部に緑と黄色のランプを備えており、セーフティカーはコースに入ってしばらくは緑のランプを点灯する。このランプが点灯している間は、競技車両がセーフティカーを追い越すことが認められている。レースの先頭を走っていた車両(その時点で1位の車両)がセーフティカーの後ろに追いついた時点で、セーフティカーは黄色のランプを点灯し、この時点でセーフティカーの追い越しが禁止となる。
隊列を先導している間、セーフティカーは黄色のランプを点灯させ、コースの安全が確認され、次の周の前にピットに入ることになると、ランプを消灯し、次の周からレースが再開されることを知らせる。
セーフティカーがレースに介入すると、その副作用として、セーフティカーが入る以前の段階で後続車との間に大きなリードを築いていたとしても、そうした差が全て縮められることになるため、その後のレースがより白熱したものとなるという効果がある。
F1においてセーフティカーが初めて使用されたレースは1973年のカナダGPである。しかし、このレースでは、誤って1周遅れのドライバーの前で先導してしまったためレースに混乱を招き、レース終了後、勝者を確定するまでに数時間を要することとなった。
その後、1992年にルールが制定。1993年のブラジルGPまでの間、F1においてセーフティカーが使用されることはなかった。
1990年代の中盤には、セーフティカーは各サーキットが用意していたものを使用していた。しかし、サーキットによって保有する車両の性能がまちまちであるため、セーフティカーの性能が低い場合に、後続のF1カーに乗るドライバーは遅いセーフティカーのペースに付き合わされることで、タイヤの温度を高く保つことに苦労するなどの問題が生じた。
これに関しては、1994年のサンマリノGPの決勝において、レーススタート直後にJ・J・レートとペドロ・ラミーによる大きな事故が起きたにも関わらず、その時点でレースを中断してスタートやり直しとせず、セーフティカーに先導させるという決定がなされたケースについて、ナショナルジオグラフィックが2004年製作のドキュメンタリーの中で、この時のセーフティカーのペースが決して速いものではなかったため、結果として各競技車両のタイヤの温度は下がり、これがアイルトン・セナの死亡事故の一因となった、とする見解を提出しており、その適否はともかくも、この例が英語圏では広く知られる。
専用車両の登場
F1のセーフティカー(2005年、SLK55 AMG)
そうしたセーフティカーに関わる種々の問題に主催者のFIAは頭を悩ませたが、セーフティカー車両のテレビへの露出度の高さに目をつけたメルセデス・ベンツが、FIAに対してセーフティカーの供給を申し出たことで、1996年以降、AMG製の車両が整備費用などの維持費も含めて無償で提供されるようになり、公式セーフティカーとしてF1で利用されるようになった。
ドライバーはFIAに雇用される形で年間を通して同一の人物が担当するようになり、1997年以降は1995年のイギリスF3チャンピオンオリバー・ギャビン、2000年以降はドイツツーリングカー選手権などでのレース経験があり、同種の車両の扱いに長けたベルント・メイランダーが、その任に当たるようになった。
1997年のカナダGPにおいて、オリビエ・パニスの事故によりセーフティカーが導入された際は、レース続行が困難と判断されたことで、セーフティカーが隊列を先導したままレースが終了するという珍事となった。F1では、セーフティカー先導の状態でレースが成立してしまった唯一の例である。
歴代ベース車両
セーフティカー用のこの車両は、AMG製の同名の市販車とは、外観は同じでも中身は基本的に別物である。ただし、AMGはセーフティカーと同一性能の車両の販売も特注という形で受け付けている(ヨーロッパのみ)。